3.墓参り<前編>
気が付くとその光景は当たり前だった。
特に親族が集まった日は、かならずと言っていいほどそれを見た。
自分には優しい祖母が、まるで別人のように母を罵倒する姿。ただ一方的に母を責め立てる姿に自然と祖母への反感が強まっていった。
罵倒されている当の本人はというと、ただひたすら頭を下げて謝罪していた。何故言い返さないのかとも思ったが、元々母は大人しい気質の人間だったのであの強い祖母に言い返すことは出来なかったのだろう。
ただ、祖母も良識がある人間なので子供である自分の目の前では、決して母につらく当たることもなかったが。
そのせいか、祖母と母の諍いの原因を知ることはなかったけど。
「坊ちゃん、お暇ならお墓のお手入れをしていただけませんか?」
「俺が? あの暑いの苦手なんだけど」
「坊ちゃん。ご先祖様を敬い、祀るのは当然のことです」
そう言った竹内の手にはすでに飾る花や線香などが入った袋がある。
「…………分かったよ。行って来るよ」
「お手入れといっても掃除は定期的にしてますので時間はそうかかりませんよ」
「行ってきます」
「行ってらっしゃいませ」
優一は、竹内から花などを受け取ると墓参りをするべく裏手にある山へと向かった。
立木の墓は先祖代々、裏の山に建てられている。さすがに全ての墓まいりをするのは無理なので祖父や妹が眠っている墓だけまいることにした。
竹内が言った通り、墓やその周囲の手入れは行き届いている。
「まずは花だな…………」




