51:それぞれの朝
目が覚めると、ソファの上で眠っていた。
そして自分の体にタオルケットがかけてあることに気がつく。
体を起こし、リビングを見渡したが誰もいない。
(あれ? 加納さんは?)
優一は、眠りから覚めたばかりで思うように働かない頭を軽く振って眠気を飛ばす。するとテーブルに置かれた一枚のメモに気がついた。
メモに手を伸ばし書かれた内容を確認する。
――――呼び出しがあったので先に出る。鍵はかけてポストに入れておく。ちゃんと帰るようにあの不良娘に言っておいてくれ。まぁ、何かあったらまた話を聞いてやるぞ。
そう締めくくられたメモには携帯の番号があった。
「ありがとうございます」
優一は、立ち上がりカーテンを開ける。外はもう夏の眩しい太陽の光で照らされていた。
雲一つない青空に優一は、微笑む。
「さて、帰る準備でもしますか」
「おはようございます、菜月さん。こんなに朝早くすみません。はい、近いうちに時間をとってもらえますか? はい、じゃあその日に」
ユウは、窓辺に立ち電話をしていた。もちろん、相手は菜月だ。
通話を終えると今度は違う相手に電話をかける。
「おはよう。今から帰るから」
「ああ」
「じゃあね」
短い、必要最低限の会話。
でも、とてつもなく緊張した。けど、いつもと変わらない低い優しいトーンの声に嬉しくて泣きたくなった。
この優しい声とちゃんと向き合わなければいけない。
どんな形にせよ、一緒にいたいから。
「さてと、帰るか」
バッグをつかむとユウは歩きだした。
自分の信じる明日の為に。
優一とユウの新たな一歩により、物語は加速する。
その先に待つ、別れの時に向かって。
ここで一旦話をくぎります。
第2部は、優一サイドは妹について。ユウサイドは、大人達の過去とユウとの関わりになります。
気長に書きたいと思いますので、よろしければこの先もお付きあい下さい(^0^)/




