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祈唄  作者:
第1章:出会い
5/71

5.玲

 ユウがそれに気づいたのは一緒に暮らし始めて2ヶ月程たってからだった。


 「玲、起きてるかな?」


 ユウは、スーパーの袋を両手に下げながらエレベーターに乗り込む。

 玲は、自宅でIT関係の仕事をしているらしく、しょっちゅう朝と夜とが逆転している。

 かなりの腕らしくこのマンションもかなり豪華だ。


 (でも、健康にはかなり悪いよね)


 初めてこの部屋に来た時の惨状には目も当てられないという言葉が一番似合った。

 よく生きてこれたなというのが正直な感想。

 それ以来、ユウが家事一切をするというのがルールになる。


 (心臓に悪いもの)


 部屋のある階に着きフロアに足を踏み入れると奥から男女の争う声がする。

 やだな、ケンカはよそでやってよ。

 角を曲がると男女の姿が見えた。その瞬間、ユウは思わず回れ右をし、引き返す。


 (はーっ。もめてるの玲だし)


 玲は、イケメンだし、お金もあるからもてる。でも恋愛は長続きしない。

 来る者拒まず、去るもの追わず、という感じ。

 今回も本気にならない玲に相手がキレたんだろうな。

 ユウは、仕方ないので階段に行き座る。そして携帯で時間を潰すことにした。


 (せっかくだし、昨日の続きでも考えよう)


 携帯に没頭していたユウは、自分の目の前に人が立ったのに最初気づかなかった。

 しかし、その影で画面が見づらくなりさすがに気づいた。


 「ユウ」


 顔を上げるとそこにいたのは玲だった。


 「ただいま。終わった?」


 ユウが首を傾げると、玲は微笑み、彼女の隣にあった袋を持ち上げ部屋に戻って行く。


 「待ってよ」


 ユウは、急いで玲の後を追う。そして彼が開けた扉が閉まる前にすべりこむように中へと入った。


 玲は、優しい人。そして悲しい人だと思う。何があったのかは知らないけど、酷く心に傷をおったのだと思う。

 だから、針ネズミのように自分を守って、他人を傷つけてしまう。そしてその分も傷を負うの。 いつか、彼を覆う針が無くなればいいと願う。


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