49.不安
予期せぬ彼女からの電話にユウは、混乱していた。
――――――見捨てないであげて。
この言葉の意味がさっぱり分からない。
だって見捨てられるとしたら、それは自分のほうだから。
ユウは立ち上がり、窓に近づきカーテンを少しだけ開く。その隙間から自分が住んでいる部屋の窓を確認する。
この位置からだと、ちょうどリビングの部屋が見えた。カーテンの隙間からわずかだが光が漏れている。
(菜月さん、また来てるんだ)
菜月は、玲とユウが同居し始め頃は頻繁に顔を出していた。
理由は、玲に人の面倒が見れると思わなかったからといつだったか笑って自分に話してくれた。
しかし、それもだんだんと減っていき最近は、時々打ち合わせで来る程度だった。
時間を作ってくれと言うくらいだから、自分に対して用があるんだろうけど。
ユウは、カーテンを閉じると布団に寝転がる。
(もしかして玲と結婚するとか?)
ふとよぎった考えにユウの心臓は鼓動を速めていく。
2人は、婚約を解消しても仲が良く、何で解消したのか分からないと周囲の人達は思っている。もちろん、ユウも。
ユウが玲と出会った頃には、2人はもう婚約解消していたから理由は知らない。
(元サヤとか。…………あり得る。また1人になるのかな、私)
気が付くと目から涙が零れていた。急いで手でこすると力を入れ過ぎたのか目元がひりひりする。その痛みにまたポロリと涙が零れた。
「………………一緒に居たいよ、玲」
ユウは、1人ポツリと呟いた。




