48.彼女からの電話
リビングを出たユウは、一人客間へと向かった。部屋には昨日と同じくきちんと布団が敷かれている。
布団の上に腰を降ろすと体育座りをし、おでこを膝に押し付ける。
(何で、あの人が来るのよ)
リビングに置いて来た加納を思い出し、ユウは顔をしかめる。
最初、車のビームがあてられ誰かが降りて来たと思った時、ほんの少しだけ期待していた。玲が自分の事を探しに来てくれたのかもしれないと。
(まぁ、そんなことあるわけないけどさ)
そんなことを思っている時だった、側に置いていた携帯が震えたのは。
期待してはいけないと思えば思うほど、期待感は増す。
震える携帯を持ち上げディスプレイを見るとそこには玲と表示されている。
(嘘!!)
「はい! もしもし?」
いかにも待っていましたと言わんばかりの自分が恥ずかしかったがつい嬉しさから勢いよく電話に出てしまう。
だけど、喜びは一瞬ですぐに現実に引き戻される。
「もしもし、ユウちゃん?」
聞こえてきたのは、涼やかな女性の声。もちろん、菜月だ。
「…………菜月さん? どうして…………」
「だって、今日もお友達の所に泊るなんて聞いたから」
「すみません」
「いいのよ、若いんだものしょうがないわ」
「それで、要件は?」
「実はね、ユウちゃんに話があるの。だから近い内に時間を貰えないかなって?」
「いいですけど、2人だけってことですか?」
「そうよ。2人だけで話したいことがあるの。それとね」
菜月の声が急に改まる。
「玲を見捨てないであげて」
「え?」
予想外の菜月の言葉にユウは、どう反応していいのか分からなくなる。
「今の玲には、あなたしかいないの。ううん、玲の側に寄り添っていける人間はあなただけ。だから、勝手なお願いなんだけど玲を見捨てないで」
(私が玲を見捨てる? 玲に寄り添えるのは私だけ?)
「じゃあ、近いうちに連絡するから。またね」
菜月はそう言うとさっさと電話を切ってしまう。
「なっ、何なのよ。あの人は…………」




