44.告白
(俺はどうしたんだろう。こんなにべらべらしゃべって………)
優一は、自分の行動についていけないでいた。初めて会った人間、それもどう見ても相談事を持ちかける人物に相応しくないのに。
「こんな立派な所に住んで、学校まで行かせてもらってるのに捨てられてるって思うのか?」
「そうですね、恵まれてます。でも、金銭的に恵まれていても精神的にはすごく貧しいです」
父親と面と向かって話す機会は、年に数回あればいいほうだ。母親は……。
「立木っていうと、あの立木か?」
加納は、地元でも有名な資産家の家を思い出す。
「そうです。一応、跡取りです」
「ふーん、そういや何で一人暮らしなんかしてんだ?」
「自宅から学校が遠いんです」
その答えに何かあると加納は感じ取る。一応、職業柄なのかカンは鋭いほうだ。
「本当にそれだけか?」
優一と視線を合わせじっと見つめる。すると、優一の視線が泳ぎ出した。
「………俺、中学に入って急激に背が伸びたんです」
突然、意味不明なことを語り出した優一に、加納は「そうなのか」とだけ返す。
「俺、どっちかというと女顔じゃないですか。だから、背が伸びるまでは平気だったんです、家にいても」
「何だ、天井の低い家だったのか?」
加納はわざと冗談を言ってみたが、優一の反応は無かった。
「背が伸びるまでは、出来たんですよ」
「何が?」
「女装をして妹の振りをすることが」




