42.ふてぶてしい男
「どうぞ」
優一は玄関のカギを開け、扉を開くと2人を中へと招き入れる。
「ほほー、良いとこ住んでるなー」
「……………」
加納は、部屋に入るなり中を見渡して言う。ユウはと言うと、駐車場から一言もしゃべらなくなってしまった。
「ユウ、部屋の準備してくるから。加納さん、冷蔵庫に飲み物がありますから、どうぞ」
リビングに2人を残して、優一は客間へと向かう。
一触即発状態の加納とユウを2人にするのは心配だが、仕方ない。ユウがあの調子なら、喧嘩にはなるまい。
だが、万が一の場合もあるので、急いでユウの寝床を準備することにした。そして、5分程してリビングに戻ると2人を包む空気は更に険悪さをましている。特に、ユウが。
「ユウ、準備出来たから。もう、休んだら?」
優一の言葉にコクリと頷くと、ユウはソファから立ち上がり部屋へと消えた。
すれ違う瞬間、「ありがとう、それとごめんね」と囁いて。
ユウを見送った後、残されたのはソファで悠然とくつろぐ加納が1人。
「部屋はこれ以上ないのでソファで休んでください」
優一は、手に持っていたタオルケットを手渡す。それを受け取った加納は、「ありがとよ」と手を上げる。
(ふてぶてしいというか、何というか…………)
その姿を見て優一はわざと大きくため息をつくとキッチンへと行き、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出す。
「じゃあ、僕も休むので」
「少年、ちょっと話さないか? 色々とな」
部屋へと向かおうとした優一を呼び止めた加納は、にやりと笑った。最後の「色々とな」という部分にかなり物騒な気配を感じた優一は、さき程より更に深いため息をつくと加納の正面に座った。
(ついてない、昨日から。最悪だ………)




