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祈唄  作者:
第1章:出会い
39/71

39.異変

 気がつくと優一の前でユウは、泣いていた。

 何故だろう?

 他の人の前では泣けないのに。そう玲の前でだって。

 (でも、不思議と優君の前では素直になれるんだよね、良い意味でも悪い意味でもさ)

 そんな事を考えていると、自分の前にすっと紙ナプキンが差し出された。

 「ほら、これ」

 少しぶっきらぼうにでもその優しさが嬉しかった。

 「ありがとう」

 ユウは、受け取ると鏡を取り出して目元を拭く。

 (良かった、マスカラ落ちてない。ケチらなくて良かった)

 普段、あまりメイクはしない方で持っている数は少ないが、道具や化粧品に関してはケチらないことにしている。

 以前、つい安いからと使ってみたら散々だった。

 (ちょっとトイレで直してこようかな…………。うん?)

 そう思いふと目線を上げると目の前の優一の様子がおかしい。

 顔が青ざめ、呼吸の間隔が極端に短くなっている。

 (もしかして!?)

 優一の異変がもし自分の考えているものだとしたら、大変だ。

 急いでカバンを漁ると底のほうに持ち歩いている紙袋を見つける。

 (まずは落ち着かせなきゃ)

 ユウは、強く握りしめられた優一の拳に自分の手を重ね合わせる。

 「大丈夫よ、落ち着いて息をして。慌てちゃだめ」

 優一の目を見て優しく語りかけると彼の目に力が戻ってくる。

 「はい、これ使って」

 取り出した紙袋を優一に手渡す。すると、優一の顔に驚きの表情が浮かぶ。

 「私も時々なるのよ。大丈夫、一人じゃないわ。ね?」

 優一は頷くと差し出した紙袋を取り出して口元に近づけていく。

 しばらくそれを繰り返すと顔色がだんだんと戻ってきた。

 優一を襲った異変。それは過呼吸。

 それを引き起こす原因は人それぞれ。

 でも多くの人はストレスや不安から起す。

 だけど、一緒にいて特におかしなことはなかったと思う。むしろ、自分のほうが泣きだしたり愚痴を言ったりして迷惑をかけていた。

 (何がきっかけなの? 何かあったのかしら?)


一応、過呼吸についてネットで調べたりはしたのですが、何かおかしな点があったら許してください。

死にいたることはないと書かれていましたが、患者さんにとっては死ぬほどつらいのだと想像します。


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