39.異変
気がつくと優一の前でユウは、泣いていた。
何故だろう?
他の人の前では泣けないのに。そう玲の前でだって。
(でも、不思議と優君の前では素直になれるんだよね、良い意味でも悪い意味でもさ)
そんな事を考えていると、自分の前にすっと紙ナプキンが差し出された。
「ほら、これ」
少しぶっきらぼうにでもその優しさが嬉しかった。
「ありがとう」
ユウは、受け取ると鏡を取り出して目元を拭く。
(良かった、マスカラ落ちてない。ケチらなくて良かった)
普段、あまりメイクはしない方で持っている数は少ないが、道具や化粧品に関してはケチらないことにしている。
以前、つい安いからと使ってみたら散々だった。
(ちょっとトイレで直してこようかな…………。うん?)
そう思いふと目線を上げると目の前の優一の様子がおかしい。
顔が青ざめ、呼吸の間隔が極端に短くなっている。
(もしかして!?)
優一の異変がもし自分の考えているものだとしたら、大変だ。
急いでカバンを漁ると底のほうに持ち歩いている紙袋を見つける。
(まずは落ち着かせなきゃ)
ユウは、強く握りしめられた優一の拳に自分の手を重ね合わせる。
「大丈夫よ、落ち着いて息をして。慌てちゃだめ」
優一の目を見て優しく語りかけると彼の目に力が戻ってくる。
「はい、これ使って」
取り出した紙袋を優一に手渡す。すると、優一の顔に驚きの表情が浮かぶ。
「私も時々なるのよ。大丈夫、一人じゃないわ。ね?」
優一は頷くと差し出した紙袋を取り出して口元に近づけていく。
しばらくそれを繰り返すと顔色がだんだんと戻ってきた。
優一を襲った異変。それは過呼吸。
それを引き起こす原因は人それぞれ。
でも多くの人はストレスや不安から起す。
だけど、一緒にいて特におかしなことはなかったと思う。むしろ、自分のほうが泣きだしたり愚痴を言ったりして迷惑をかけていた。
(何がきっかけなの? 何かあったのかしら?)
一応、過呼吸についてネットで調べたりはしたのですが、何かおかしな点があったら許してください。
死にいたることはないと書かれていましたが、患者さんにとっては死ぬほどつらいのだと想像します。




