24.歌声
「入れよ。適当に座って」
優一は、2人をリビングへと通し、冷蔵庫から飲み物を持ってくる。
「すごいね。でも何で一人暮らしなの?」
杏奈は部屋を見回しながら尋ねてくる。
「俺の家は、市内から少し外れてて通学に不便だから」
(まぁ、それだけじゃないけど)
杏奈は答えに納得したのか、たいへんだねーと呟いていた。
優一は、2人の為に客間に布団を出したりと忙しく動いていた。
そのせいかユウのおかしな様子に気がつかなかった。
明日も学校なので早く休もうということになり3人とも早々に眠りについたのだった。
数時間後、優一は眠りから覚めた。
時計を見るとあと2時間程で起床時刻だった。
普段1人で暮らしている優一にとって同じ屋根の下に誰かがいるという状況は、神経を過敏にするには十分な理由だったらしい。
「今さら眠っても仕方ないか」
優一は、再び眠るのは諦めて音をたてないよう気をつけながらリビングへと向かう。
リビングに入るとスーッと涼しい風が吹き抜けた。
(ヤバい、窓閉めるの忘れてたか)
慌てて奥に進むとベランダのカーテンが風に揺れていた。
そして風に乗って細いけど響く、不思議と耳に残る歌声が聞こえてくる。
(白木じゃない。ってことはユウ!? 普段とイメージが違い過ぎる)
この曲って何だっけ? ああ、カントリーロードだ。
優一は、ベランダに近いソファーに腰かけてその歌に聴き入る。
気づくと最後まで聴いていた。そして思わず拍手をしてしまう。
「えっ? 優君?」
(………しまったぁ)
「悪い。お前、歌うまいのな」
「そうでもないよ。でも、ありがとう」
「お世辞じゃないぞ。耳に残る印象的な声だと思う」
ムキになって反論する優一を見て、ユウはクスクスと笑っていた。
(何してんだか、俺は…)




