21.発見
バイトを終えて店を出ると人影がまばらだった。
(終電も出ちゃってるし、当然か)
「早く帰ろうっと」
携帯をチェックしようとカバンから取り出すと何件もの不在着信とメールがあった。
「何これ?」
チェックしてみると全部浩一からだった。
ユウは、急いで電話をする。
するとワンコールで浩一は出た。
「ユウ! 杏奈、そっちに行ってるか?」
「杏奈? 知らないよ、私今バイト終わったとこだけど」
「おばさん達とケンカして飛び出したらしい」
「浩一、今どこ?」
「地元の駅前。適当に捜してみる。じゃあな」
ブツ。
相当慌てているらしく、電話を切られてしまう。
「地元じゃないとしたら……、私の家は知らないはずだし」
ユウは考える。
親ともめったってことは、浩一の家には行かない。
母親同士仲がいいから、帰るように諭すはず。
なら、地元じゃない。
私を訪ねようと思ったならこっちに出てきてるな。
ユウが以前住んでいた街は、慶修がある駅からは5駅離れている。
今は、慶修があるこの街に住んでいるのだ。
「………もしかしてあそこかも!」
ユウの脳裏にある場所がひらめく。そしてその場所へと走り出した。
「いるかな?」
目的地に着いたユウは、キョロキョロと辺りを見渡す。そこは、ユウがいつも歌っている場所。
するとビルの柱の影に座り込んだ杏奈を発見した。
「杏奈!」
ユウの声に反応してゆっくりと杏奈が顔を上げた。
「………ユウ」
「こらっ、何してるの?浩一が捜し回ってるよ」
「ごめんなさい」
ユウは嘆息をつくと杏奈の隣に座る。
「原因は?」
「言いたくない」
杏奈は小さな声で呟くと顔をそむけてしまう。
そんな杏奈を見て何となくだが理由が分かってしまった。
(分かりやすいな〜。とりあえず、浩一に電話しておくか)
「あっ、浩一?杏奈、発見したよ。ふっ、当然でしょ?私と杏奈は、ラブラブなのよ。今日は、預かるからあんたもさっさと帰りな。じゃね」
電話を切ると杏奈は、ユウの腕に自分の腕を絡ませピタッとくっ付いてきていた。
そんな杏奈の頭を優しく撫でながら、これからのことを考える。
さてとどうするかな。さすがに部屋に連れてく訳にはいかないし。
ファミレスに入っても女二人じゃな……、優君!
ユウは、早速電話をかける。
………出ない。
負けるものかとユウは再度かけなおす。
「はい」
(機嫌悪〜)
「優君? 今すぐ駅前のファミレス集合」
言うだけ言って電話を切る。
「よし、行くよ」
ユウは杏奈を立たせて引きずるようにファミレスへと向かった。




