18.ひでぇ奴ら
「しっ……死ぬ」
優一は、自分達がいたルームから何とか外に出ると廊下にしゃがみこむ。
ドアの隙間からわずかにだが浩一の歌が聞こえてくる。
「何であいつら平気なんだよ」
耳を塞ぎ思わず呟く。
「大丈夫? 優君」
目線を上に上げるとユウが楽しそうに笑っていた。
「何でお前らあれが平気なんだよ」
「おっ、いいね。大分くだけてきた」
ユウは隣に座り込み、クスクスと笑う。
「うるせー、あんなの聞いてたらおかしくもなるわ! あんな怪音!」
「あははは。怪音! いい、それ」
ユウは、けたけたと笑い声を上げながら床を叩く。
(ひでぇ反応)
ユウを見ながら思う。
「慣れよ、慣れ。そのうち味が出てくるよ」
「そんなもん出るか? あれ」
「まぁ、一度は洗礼を受けなさいよ」
「噂では聞いてたんだけどな。まさかあそこまでとは」
優一の言葉にユウは首を傾げた。
「噂?」
「空手部の奴らがな」
「ふーん。知ってて来たんだ」
「本人は歌うの好きだって話だから。まぁ、付き合ってやろうかと」
「優しいね、優君は。じゃあ、そんな優君にプレゼント。手出して」
「?」
とりあえず手を出すことにした。
「これがあれば、ちょっとはましだよ?」
そう言ってユウは再びルームに戻って行った。
握らされた物を見て思わず、優一は乾いた笑い声を出す。
「ははははは。………お前らが一番ひでぇ!」
握らされた物、それは小さな耳栓だった。




