15.初めての会話
「暑いよ〜。………駄目だ、どっか入ろ。あそこでいいか」
ユウは、マンションから出たはいいものの、うだるような暑さにすっかりまいってしまった。
辺りを見渡してバーガーショップが目に入り、駆け込む。
店内に入ると冷房がよく効いていてまるで天国だ。
せっかくなので食事をしようといくつか注文して席に着く。
店内を見渡すと学校をサボっているであろう制服姿の集団がいくつかある。
(まったく学生ならちゃんと行きなさいよね)
でももし、自分も彼等と同じ立場なら同じことをしてるだろうな、きっと。
きっと学校に行けることが当たり前の状況では、行けることに対するありがたみが湧かないのは仕方ないことかもしれない。
ユウは、ハンバーガーにかぶりつきつつ、そんなことを考える。
その時、店の奥の集団から大きな声が響いてくる。
(うるさいなーって、あれは浩一?)
そして一緒にいるのは杏奈ともう一人。
大方、2人が浩一をいじめて遊んでいるのだろう。
ユウは、荷物を持ち後ろから近づいて浩一をどついた。
「浩一、他の人の迷惑だから叫ばないの」
「ユウ!」
杏奈が嬉しそうな声を上げて寄ってくる。
「どうしたの?」
ユウは、杏奈の問いに逆に聞き返す。
「そういう君達は、何してるのかな? 授業は?」
「えー、サボリ?」
杏奈のまったく悪びれのない態度にユウは、吹き出した。
「あはははっ。さすが、杏奈。で、浩一はいつまでそんな格好してるの?」
「おーまーえーがやったんだろうが!」
再び叫んだ浩一のスネを蹴り飛ばす。
「だからうるさい。ねぇ、そこ座っていい?」
ユウは、杏奈達と一緒にいる少年に問いかける。
しかし、少年は自分の顔を食い入るように見つめている。
(どうしたのかな。あたしの顔、何かついてるかな?)
ユウが首を傾げていると杏奈が少年の顔の前で手を振っている。
「おーい、優君? どうしたの?」
(あれ? この子…夕べの)
「ねぇ、君、夕べ殴られてた子?」
ユウの質問に少年は、ばつが悪そうな顔をしながら言った。
「隣どうぞ」
「ありがとう」
これが2人の初めての会話だった。




