13.宝物
午前11時。
バイトがすべて休みだったユウは、寝だめをしていた。
しかし、さすがにお昼近くになりゴソゴソとベッドから起き上がりリビングへと向かう。
「……おはよ」
一応、声をかけてみるが返事はない。
壁にかけてあるホワイトボードを見ると玲からのメッセージ。
『泊まりこみで仕事があります。一週間くらいで帰って来るから』
ユウは、軽くため息をつくと洗面所へと向かう。
パシャパシャと顔を洗いタオルでふく。
「あっ、そうか」
鏡に映った自分の顔を見て思わず呟く。
昨日、街で出会った少年。どこかで会ったことがあると思ったら何のことはない自分の顔に似ていたのだ。
薄い茶色の髪に外国の血が少し混ざった顔立ち。
まぁ、何分の1か入ってれば似たような感じに見えるってね。
ユウは、そう結論付けると身支度を整える。
外を見れば、きれいな青空が広がっている。
せっかくだから買い物にでも行くか。
そう思いたち、いつものバッグを手に取る。
「いけない! 忘れてた」
玄関のドアに手をかけていたユウは、大切な物を思い出す。
部屋に戻り、枕元に置いていた小さな袋を手に取る。
それは、古い着物で出来た小さな袋。
中にあるのは、手のひらサイズの漆塗りの鏡。
ユウの本当の親が残してくれたもの。
この鏡があるからこそ、自分を保てる。
ユウの大事な宝物。
「よし、ちゃんといつもの位置に入れてっと」
ユウは、袋をしまうと今度こそ出発した。




