11.ファーストコンタクト
1人で夜道を歩いていると闇に飲み込まれて自分が無くなるような感覚に陥る。
この感覚は、物心ついてからずっとだ。
夜道に限定したものではないのかもしれない。
多分私は、闇が怖いんだ。
私の中に巣くう何かが溢れ出してきそうだから。
そんな時、私は胸に下げた袋を握りしめ、確かめる。
自分は大丈夫だと、自分は存在していいんだと。
この習慣は、養父母に引き取られても止めることは無かった。
無意識に感じていたのかもしれない。自分は、変わらず1人だということを。
ある週末の夜、いつも通り路上ライブを終えての帰り道。
今日は、玲が仕事で留守なので1人歩いていた。
(夕飯、どうしようかな。コンビニでいいか)
普段なら夕飯は作るけど、今日は1人だからな。
そんなことを考えながら歩いているとビルとビルの隙間の細い路地からケンカらしき声がする。
「すかしてんじゃねーよ」
「慶修のお坊っちゃんは、家でママにでも甘えてろ」
どうやら1人に対して数人に暴行しているらしい。
(関わりたくないんだけどな)
しかし、このままにしておいたら寝覚めが悪くなること間違いない。
「お巡りさん、人が殴られてます。助けてください」
ユウは、ありったけの声を出して叫ぶ。
そうすると男達は、反対側の道へと走り去った。
いなくなったのを確認するとユウは、殴られていた人物に歩み寄る。
「大丈夫?」
殴られていたのは、慶修の制服を着た少年。
よく見るとかなりの美少年だ。
「……いってぇ」
少年は、自ら立ち上がった。
(これなら平気か)
「こんな時間にそんな姿でいたらカモにされて当たり前。こりたならもうこんな時間に外出しないのよ。じゃあね」
ユウは、さっさとこの場から立ち去ることにした。
さっきの奴らが戻って着たら面倒だ。
それにしてもさっきの少年、何処かで見た気がする。
「気のせいか。さてと、さっさと帰ろ」
これが彼との最初の出会いだった。




