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祈唄  作者:
序章
1/71

1.祈り

 『信じて欲しいの、あの人に。世の中には変わらない思いもあることを』

 彼女はそう言って微笑み去って行った。

 きっと今も彼の側で変わらず唄っているんだろう。

 自分の思いを唄にのせて、彼が人の温もりに気付いてくれるまで。


 『そんな悲しい顔をするくらいなら止めればいい。あいつが君の思いを受け入れるとは思わない』

 そう言った俺の顔を見て彼女は笑った。

 『別に受け入れてもらえなくてもいいの。ただあの人に幸せになってほしいだけ』

 そんな彼女の姿を見て俺は胸がひどくしめつけられた。

 −−−多分、俺がその姿を見るのがつらいから彼女も悲しいと思っていると思ったんだ。

 

 『幸せになってほしい』

 あれから随分と時間がたってしまったけど、君の願いは叶ったのかな?

 君と過ごした一夏は俺にとってかけがえない時間。

 そんな時間をくれた君に、感謝と祈りを。

 彼と君が幸せになりますように。

 同じ空の下のどこかにいる君へ願うよ。

 たった一人の俺の大切な妹。


 元気にしていますか?

 あの時、あんな奇跡のような出会いをした私達。

 何かに押しつぶされまいとしてもがいていた君。

 きっと私達は同じような思いを抱えていたんだね。

 全然違う境遇や育ち方をしたのに、抱えてしまうのは同じ思い。

 きっと淋しかったんだね、私達。

 でも、君と過ごした一夏で何かが変わった気がするよ。

 ひび割れかけた心に君との思い出は雨となって降り注ぎまた芽吹いたそんな感じがする。

 だから、大丈夫。まだ、唄える。まだ、諦めない。

 いつか、あの人に届くまで。

 

 君の側にはもう居られないけど、今の君なら大丈夫。

 きっと幸せになれるよ。

 だから、私はこの空の下で祈る。だって場所は違っていてもこの空はつながっているから。

 祈るよ、ただ一人の大切な私の家族の幸せを。

 不出来な妹でごめんね、お兄さん。

 『君が幸せになりますように』

 

 

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