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ターゲット6 実家2

 俺が実家にトラウマがあるのは絶対に親父のせいだ。

 うちの親父は褒めることがない。悪いことをしたら往復ビンタ、善いことをしたら当然だと言われる。トラウマになるのも当たり前だ。

 まあ、今は実家から出て(逃げ出して)一人暮らししているからいいけど。


「ついた・・・」


 ついに、帰ってきてしまった・・・。

 10メートルはありそうな塀に許可したもの以外が通ろうとすると問答無用で電撃が走る門。その奥に待ち構えるは、選りすぐりの警備員さん達。彼等もしくは彼女等は特殊な訓練を受けていて、なんと人類の敵である黒い悪魔、通称『G』にも動じず、新聞紙も使わずに素手で握りつぶすほどだ。


「ああ・・・、変わらない実家」


 懐かしいなあ・・・。そういえば実家の敷地内の森で遭難させられたっけ(親父に)、実家の所有する無人島に放り出されたっけ(親父に)、警備員さん達100人とバトルさせられたっけ・・・。

 あれぇ?おかしいな、目から水が・・・。


「ん?大地君?大地君じゃないか!」


「あ、渡辺さんお久しぶりです」


 門から出てきた人は渡辺さん、この家の門番さんだ。

 渡辺さんは警備員の中でもワンランク上の実力があり信頼も厚く俺やトシもお世話になった人だ。


「いやあ~久しぶりだね、どうだい?一人暮らし。充実してる?」


「はい!本当に・・・、渡辺さんの説得のおかげで家を出ることができましたから」


 実は俺が家を出ることができたのは渡辺さんも説得に協力してくれたからだ。渡辺さんは俺の恩人だ。


「まあ、入りなさい。お姉さんたちも待ってるだろうから」


「はい、ありがとうございます」


 俺は渡辺さんに連れられ家に入った。


「大ちゃん!お帰りなさい!」


 階段から美しい女性が髪をなびかせながら降りてきた。坂本美華さかもとみか俺の姉だ。


 姉さんは走りながら階段を下りて俺の胸に向かって飛び込んだ・・・・・・

 が、飛距離が足りずべタンと床に倒れた。


「毎度のことだけど大丈夫?姉さん」


「うん、慣れてるから」


 姉さんは鼻を抑えながら傷がついた場所に絆創膏を貼る。

 姉さんはドジっ娘で日頃から生傷が絶えないため絆創膏を常備している。


「それでは改めまして、大ちゃん、お帰り」


「うん、ただいま」


 姉さんはニコニコと笑いながら俺の手を取って立ち上がる。


「そういえば、涼太はd「あん?帰ったのかよ兄貴」


 奥の方の部屋から美少女・・・もとい弟が現れた。


「久しぶりだね涼」


 俺の弟、坂本涼太。自称ワイルドな男。現実はチョー可愛い男の娘。少し長めの髪(本人は長い髪がワイルドだと思っている)に姉さんとにたパッチリ開いた目に柔らかそうな唇、完全に美少女だ。


「ケッ、逃げた野郎が今更何をノコノコ帰ってきたんだ。てめェはお呼びじゃねえんだよ」


「こら!涼ちゃん、大ちゃんの悪口言ったらメッだよ」


 と言いつつ姉さんは涼の整った顔にパチーン!と綺麗に響くほどのビンタをかました。


「い、痛い!何するんだ!ボケ!」


「もう・・・、何回言えば気が済むの!」


 もう一発パチーンと音が響く。

 暴君だ・・・暴君がいる・・・


「うえっえ、ううぅ、ごめんなさい・・・叩かないで・・・」


 涼は真っ赤にはらした両頬を抑えながら姉さんに謝る。

 涙目が可愛い。


「私じゃなくて他に謝る人がいるでしょ!」


「うあぁう、兄貴、ひっく、ごめん・・・」


「お兄ちゃんでしょ!」


 バチーン!と響く前に俺が手で制して姉さんを止める。


「ね、姉さん涼も悪気があったわけじゃないんだから!ね?俺全然怒ってないし!」


 さすがにこれ以上はまずい、今もまずいがさらにまずい。


「大ちゃんがそう言うなら・・・」


 と言って姉さんは振り上げた手を降ろした。


「うわぁぁん・・・ひっく、おにぃちゃん、うえっく、ありがとうぅ・・・」


 涼が俺の腰のあたりに抱きついてくる。

 こいつ、ホントはそこまで俺のこと嫌ってないんだよなぁ・・・。

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