ターゲット2 転校生
「よーし、じゃあHRはじめる。と、その前に転校生が来る」
ざわざわ、ざわめく教室
「せんせー、女の子ですかぁ?それとも野郎ですか?」
クラス公認の自称チャラ男の高岡君が質問する。
「喜べ、野郎ども。美少女だ」
オオオオオオオオオォォォォッッ!俺とトシ以外の男子が雄たけびを上げる。対して白い目を向ける女子。男子諸君、諸君らの女子からの人気は残念ながら現在右肩下がりだ。
「ッチ。うるせぇっぞ!糞ガキども!黙らねえともぐぞ!!」
なにを!?先生女性なんだしその言葉使い治して!
「よし。じゃあ入ってきてください。」
おおぉ・・・、クラスがどよめく。男子も女子からもため息が漏れた。
自分より少し小さいくらいの身長で華奢な体。黒く、夜闇のような美しい髪。無機質な目に美しく整った顔は十人に聞いたら十人が美しいというだろう。まさに大和撫子だ。
「初めまして。宝島沙織 (たからしまさおり)です。父の都合で転校してきました。これから仲良くしてください」
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HRが終わるとすぐに宝島さんの周りに人だかりができた。すごいな・・・
「ち、ちーす。お、お、お俺、高岡。さお、沙織ちゃん。遊ぼうずええ・・・」
嗚呼、高岡君かわいそうに。挙動不審すぎる。チャラ男キャラは失敗だろう・・・。
「いやです」
にこりと笑った宝島さんの目は凍える吹雪のようだ。あ、高岡君涙目だ。
「くっくっく、高岡泣いてるじゃん。」
「お、トシ。ああ、すげえな。」
「すげえが、うちの嫁に比べたら見劣るな」
確かにお前の彼女は可愛いけど、しつけぇ・・・。
「ダイチは、話しかけに行かないのか?」
「行くかよ・・・、暑そうだし疲れるし」
「ははっ、でも昼休みになったらうわさが広まってもっと人が来るだろうな」
「この教室に入るのかよ・・・」
「うーん、昼は屋上にするか」
「そうだな」