ターゲット1 始まりの朝
ミーンミーン・・・
嗚呼、暑い、暑い・・・、ついに蝉まで鳴きはじめたのか・・・。空の上で憎たらしいほど輝く太陽が笑っているように感じる。周りに目をやるとクラスメイト達が下敷きをパタパタとうちわの代わりにしてあおいでいる。
紹介が遅れたな。初めまして坂本大地です。高校一年生です。よろしく。
「よお、ダイチ!暑そうだな」
爽やかボイスが聞こえた。この声は・・・
「ああ、おはよう・・・、お前の方が暑そうだけどなトシ」
幼馴染の倉岡俊だ。彼の爽やかな声だけ聴くとイケメンに思えてしまうが顔と声がマッチしていない。
熊のように大柄な体格は彼の心の広さを表し、メガネはその瞳に宿る知性の光を強調している|(本人談)。まあ、横に広い、どんな学校にもいる横に大きくなっている奴だ。
「おい、なんか変なこと考えただろ」
「いえいえ」
「まあ、いいや。なんか今日、転校生が来るらしいぞ。」
「転校生?この時期に?」
「親の事情だとよ。金持ちらしいし。」
「ふーん。てか、なんで知ってんの?」
「ゴリさんが言ってた。あと、美少女だとよ」
ゴリさんとは、生活指導の先生だ。この学校で長いこと働いていて保護者や生徒からも人望があり、生徒や教師の間では困ったことがあれば親の前にゴリさんに相談しろと言われている。
「ま、俺の嫁よりか劣るがな」
俺の嫁とは、彼の名誉のために言っておくが正真正銘人間の女の子|(しかも美少女)でありトシの彼女だ。決して、決して彼の妄想ではない。
「ああ、亜紀に会いたくなってきた・・・。どうしよう」
「きもいわぁ・・・」
なんで、お前に彼女ができるか疑問に思う。
「うるせぇ、お前も彼女作ればわかるよ。お前もそれなりの顔してんだから作ればいいじゃねえか」
彼女か・・・、別に好きな子とかできたことないしなぁ
キーンコーンカーンコーン
「おっと、HR始まるな、じゃあ後でな」
「おーう」