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17/32

time to believe now 17

今回、ちょこちょこ名前が出ていたあの人が登場しますが、全く話には絡みません。ちょっと顔出しさせとこうかと……。


 一月三十日 日曜日 夕刻前




 ――ガラガラガラ……


「失礼しますっ! 一年一組、因幡志朗ですっ! 谷垣先生はいらっしゃいますかっ!?」


 職員室に入るなり、俺は声を張り上げた。


「……お、おお、因幡。ん? 俺か? 広瀬川先生でなくて?」


 谷垣先生はすぐ近くに居た。何故谷垣先生を指名したかと言うと……。


「谷垣先生! 伊波千夏さんは何部ですか!?」


 これを訊きたかったからだ。


「いや、そんな大きな声じゃなくても聴こえるって。んで? 伊波の部活? 確かバドミントンだけど、それが……?」


「ありがとうございました! 失礼しますっ!」


「て、おおい、因幡!?」


 目的の情報は得られたので、俺は速やかに職員室を後にする。今は何をするにも時間が惜しいのだ。


「おっと志朗……」


 職員室から出た直後に、父さんと鉢合わせた。


「ああ父さん、俺、お先するから、広瀬川先生によろしく言っといてっ」


「こらこら志朗、焦ったってしょうがない。落ち着いて行動しなさい」


「解ってるっ、じゃ!」


 落ち着いて行動。父さんの忠告だけはしっかりと聞いて、俺は廊下を疾走し……てはいけない。落ち着いた行動、落ち着いた行動。俺は猛然と歩いて・・・体育館に向かった。

 応接室での父さんとのやり取りの後、俺は水沢ひかるを探すべく部屋を飛び出た。まではいいが、やはりどこから探せばいいのか皆目見当がつかず、伊波千夏の協力を仰ぐべき、という判断に至った。しかし、彼女がどこの部活動に所属しているかを聞いていなかった為、彼女の担任であるところの谷垣先生に訊ねたという訳だ。

 部活中に邪魔するのは少し気が引けるが、ナツさんならば水沢の事を優先してくれる筈。いや、水沢に関しては、ナツさんを外して考える事は出来ない。水沢の父親と同じく、彼女は現状を知るべき人物の一人だ。

 やがて、東校舎から体育館へと続く渡り廊下へと辿り着いた。アルミニウム製の簀子が敷き詰められた床を踏みしめ、やや校舎から離れた場所に建てられた体育館を目指す。

 そこで、ある問題が浮上した。

 体育館には、部活に精を出している生徒が沢山居る事だろう。そこから人目を避けてナツさんを呼び出す事は至難。しかも、この俺が呼び出したともなれば、非常に注目を浴びてしまう可能性がある。そんな事を気にしている場合ではない事は解っているが、それはナツさんにとって、あまりにも迷惑になるのではないだろうか。

 体育館の扉はしっかりと閉ざされている。

 今日の冷え込みの所為で閉め切っているだけだと思われるので、鍵が掛かっている訳ではない筈。しかし、開けた時に、中の人達の目を引きそうで開けづらい。そして、人の目を引いてる中では、ナツさんに声を掛けづらい。


「うう~……。……ナツさん、ホントごめん……っ」


 やはり事態はひっ迫していると考え、迷惑承知で声を掛ける事にした。


「――あら~、志朗さんではないですか」


「へ?」


 体育館への扉に手を伸ばしたところで、後ろから女性の声。

 その声に振り返ると……


「あ、み、瑞穂さ……じゃなくてっ、七篠先輩! こ、こ、こんにちは……!」


「ええ、こんにちは~」


 ……俺の従姉がそこに居た。

 ふわふわと柔らかそうなその長い髪と同じ形容が利く、物腰、面持ち、雰囲気。それに加えて、高校生離れしたそのしなやかな肢体。

 まるで、典雅という言葉を具現化したような女性、七篠(ななしの)瑞穂(みずほ)さんだ。

 今日が日曜日である事も相俟って、まさか遭遇するなどとは、露にも思っていなかった。


「どうなさったんですか? こんな所で」


「え、えーと……た、体育館に用事がありまして……」


「まあ、うふふふ、それはそうですわよね~、ここに居るんですもの、ふふふ」


 思わず見とれそうになる笑顔だった。――本当に俺と同じ血が流れているのだろうか。とよく疑問に思う。


「では、何故中に入らないのかしら~?」


「そ、その、中の人を、どう呼び出そうかと……」


「ん~?」


 俺は瑞穂さんに事情を説明した。


「――でしたら、わたくしが呼んできて差し上げましょう」


「え!? いいんですか!?」


「もちろんよ~。志朗さんは色々大変な方ですからね、助けて差し上げませんと。それに、わたくしも体育館に用があって来たんですもの。つ・い・で、ですわ」


「あ、ありがとうございます」


「それで、どちらの方をお呼びすれば?」


「ああっと、バドミントン部の伊波千夏さんです」


「あら? 女の方ですのね。……こう言ってはなんですが、応じて下さるかしら?」


「ング……。こ、今回ならば大丈夫かと……」


「そう。では、お声、掛けてきますね~」


「た、助かります」


 瑞穂さんが体育館に入ろうとしたので、俺は慌てて扉を開いてから、道を開けた。


「まあっ、どうもありがとう」


「い、いえ」


 そうして彼女は、たおやかに俺の前を過ぎ去り、中へと入って行った。

 それを確認した後、扉を閉める


「……ぷはぁ」


 相変わらずあの人の前では、必要以上に緊張してしまう。

 自分でも理由はよく解からない。

 ともあれ、首尾よくナツさんを呼び出せそうだ。


「う~、さむい……」


 渡り廊下を吹き抜ける風は、非常に冷たい。中に入りたい衝動に駆られるが、ナツさんを呼び出したのが俺だとばれてしまう。仕方なく寒さに耐えつつ待っていると、目の前の扉がゆっくりと動き出した。


「……因幡?」


 開いた扉からちょこんと顔を出した一人の女子。


「あ、ナツさん、出て来てくれたか」


 それは正しく伊波千夏だった。瑞穂さんに感謝だな。


「驚いた~、いきなり七篠先輩が声掛けてくんだも~ん。てか、生徒会長パシらせるとかって、アンタ何者?」


「パシッ!? ちちち違うっ! 俺がナツさんをどうやって呼び出すか悩んでたら、偶然現われた七篠先輩が手を貸してくれたんだ! 彼女の厚意であって、決してパシらせた訳じゃないっ!」


「ちょ、ちょっとちょっと、なんでそんな必死なわけ?」


「あっ、い、いや……なんでもないです」


「それに、何を悩む必要があるのよ。普通に呼べばいいじゃない。会長なんか使うから、メッチャ緊張しちゃったわよ」


「つ、使うって……。俺はただ、人前で呼び出したらナツさんに迷惑かと思ってさ……」


「はあ? 何言って……あ、ああ、そういう事か。気ぃ遣ってくれたんだ?」


「ま、まあ……。って、そんな話してる場合じゃないっっっ!」


「きゃっ!?」


 目的を思い出した俺は、真剣な表情でナツさんを見据える。今の彼女はスポーツウェア姿で、自慢の髪はポニーテールにしていた。……自慢かどうかは知らないが。って、観察も後っ!


「ナツさん、水沢の事で大事な話がある」


「へ? い、いきなりね……。部活終わってからじゃダメ?」


「違うんだ、お昼に言った事じゃない。今すぐ水沢を見つけないと、大変な事になるかもしれないんだよ」


「ま、待って待って。え? 何? 大変な事って?」


「よく聞いてくれ。急いでいるから要点だけでなんとか理解して欲しい。いいか? 水沢が、お母さんの死を認識したみたいなんだ」


「えっ……?」


「このままだと、母親恋しさに後を追ってしまう可能性がある」


「ッ!?」


「だけど水沢の居場所が判らないんだ。ナツさんの心当たりを教えてくれ」


「すとーーーっぷ! ちょっとちょっとアンタ、話が早過ぎ! まじ? 今の話、本気なの? 何かの間違いっつーか、思い過ごしじゃなくて?」


「それは否定できないけど、可能性がある以上は放っとく訳にはいかない。水沢のお父さんもすでに探し始めてるんだ」


「おじさんもっ!? うそ……嘘……ひかるは……? ひかるはどこに居んのっ!?」


 ナツさんは、目に見えて狼狽えだした。


「因幡、教えな! ひかるはどこっ!?」


「落ち着いてくれっ! ……それが判らないからナツさんに訊きに来たんだよ。一番親しい君なら、何か思い付く事もあるんじゃないか?」


「ええっ!? え、えっと……ひかるの行きそうなトコ、ひかるの行きそうなトコは……ううう、どこよどこよ~……」


 唐突な展開に、ナツさんの思考は定まらないようだった。無理もない事だが、なんとか思い付いて欲しい。


「ナツさん、とにかく思い付いた場所を挙げてくれ」


「え? えとえと……が、学校? 高良(たから)公園? テンパチ? 御和(みわ)とか? だったらマルショーにリンドン?」


 どうやら水沢の行動範囲を挙げているようだ。水沢は、八年前に母親が行った場所に居ると思われる。だから学校は無いだろう。高良公園は有りそうだ。御和市は、当時八歳だった水沢が夜中に行けるとは思えない。あとの三つは店だから有り得ない。


「水沢の家って高良公園から近いのか?」


「わ、わりと……」


「じゃ、まずはそこへ……」


「あ、ああ、ちょ、ちょっと待って! アタシも行く、アタシも行くから!」


「分かった。でも、上着を着て来た方がいい」


 今のナツさんは半袖に短パン、右手にはラケット。急いでいるとはいえ、それで往来を歩くのは問題がある。何より、今日はひどく寒い。


「ああう……。ま、待っててね!? 先行っちゃヤだかんね!?」


「昇降口に居るから」


「おっけ。部長! アタシ急用ーーー……!」


 そう叫びながらナツさんは、体育館の中へと戻って行った。

 その後、ジャージとコートを着こみ、自分の荷物を抱えたナツさんと合流し、走って高良公園に向かった。

 高良公園は、穂ノ上市で最も大きな公園だ。特徴として、そのやたらと広い中央広場には数多くの移動販売車が集まり、俗に言うネオ屋台村が形成されている。お昼は公園の周りのオフィス街のサラリーマンやOL達で賑わい、夕方は学校帰りの学生達の寄り道スポットと化す。そんな広場の外周は遊歩道となっており、絶好のジョギングコースとして市民に親しまれていた。俺もこの辺りに住んでいたなら、間違いなく利用した事だろう。

 そんな市民の憩いの場に、俺達はやって来た。


「――ナツさん、手分けだ! 俺はこっち回り!」


「ハァハァ……わ、分かった」


 高良公園に到着するなり、俺達は二手に分かれて公園内の捜索を開始した。


「水沢ーーーっ! 水沢ひかるーーーっ! 返事しろーーーっ!」


 とりあえず、遊歩道を走りながら彼女の名を叫ぶ。ちらほら居るジョガー達に不審な目を向けられたが、気にしてなんていられない。


「水沢ーーーっ! どこだーーーっ!」


 正直、水沢の精神状態を想像すると、返事をしてくれるとは思えない。俺は単に不安から声を張り上げているに過ぎなかった。


「ハァ……ハァ……こんな広いトコじゃ、フゥ……埒があかない……」


 この公園は、ウチの学校の敷地の四倍はある。無暗に探しても時間を食うばかりだ。

 俺は立ち止まり、考えを巡らせる。

 もし、本当に水沢が希死念慮に駆られているのだとしたら、人目の付くような場所には居ないのではないだろうか。しかも、そこは八年前に水沢の母親が殺されたかもしれない場所。

 それを鑑みた上で、この公園の事を考えてみる。

 俺の今いる遊歩道には、ずらりと照明が立ち並んでいた。これのおかげで夜間でもここを走るジョガーは少なくない。この公園は、とてもじゃないが、人目に付かない場所とは言えない。

 ここである可能性は低くなった。


「……くそっ、俺の浅慮の所為で時間を無駄にしたじゃないかっ」


 そう独りごちながらケータイを取り出し、今日登録したばかりの番号を呼び出す。


 トゥルルルル…… トゥルルルル…… プツッ


「……も、もしもし?」


「ナツさん、仕切り直したい。中央広場のモニュメントまで来てくれ」


「は? なんでよ」


「多分ここじゃない。説明するから来てくれ」


「ああもうっ、分かったわよっ」


 ケータイを切って、俺もすぐに中央広場へと向かった。

 広場まで来ると、人の数が一気に膨れ上がる。どんなに寒くても今日は日曜日。平日と違って、時間帯は関係無しに賑わっていた。


「因幡ーーーっ!」


 モニュメントを目指すまでもなく、ナツさんが姿を現す。俺もすぐに彼女の元へと駆け寄った。


「ハァハァ、今、ね……ハァハァ……おじさんから、電話あったの……フゥ」


「え? 水沢のお父さん? もしかして見つかったのか?」


「ああ違う違う。ひかるの行きそうな場所を訊かれたわ」


「そう、か……」


「それで、こっちの状況を伝えたの、私達も探してるって。おじさんの方は、自宅周辺を探したけど見つけられなかったみたい。今は、もう少し広い範囲で探してると思う。で、私達は友達関係を当たってくれないかって」


 隆三氏は早くも手詰まりなのか?

 父親としてもっと思い当たる事はないのだろうか。


「……友達って言われてもさ、こういう時に、アタシ以上に頼れる友達が、ひかるに居るとは思えない」


「そうなのか?」


「確か言ったと思うけど、あの子、男子には人気でも、女子にはちょっとね……。あ、男の所に転がり込んでるのかも」


「お、男……?」


「うーん、でもそれだと連絡先が判んないよ……。ええっと、ウチの学校の三人を何とか調べて……あとは、中学ん時の元カレに連絡入れてみよっか……。ああ~、この間紹介された人のメルアド捨てちゃったんだっけ……」


「…………」


 水沢ってそんなに男が……。

 ショ、ショックなんて受けてませんよ?


「ナ、ナツさん、その必要はないと思う。誰かと一緒に居るなら、自殺する心配はないし」


「あ……それもそうね」


「ナツさん、簡単に説明するからよく聞いてくれ――」


 俺は自分の知っている事を、幽霊云々の(くだり)は抜きにして、手短に話した。水沢の母親が事件に巻き込まれた可能性。母親が居なくなったとき、水沢がそれを追った可能性。母親に何かがあった時、水沢がそれを目撃してしまった可能性。その時の心のトラウマが、記憶を封印してしまった可能性。……証拠を示せない以上、俺の推論という形で伝える他なかった。


「――水沢は解ってたんだと思う。その時の事を思い出してしまったら、悲しすぎて自分を保てないって。だから、お母さんの話が出ると、激しい拒絶反応を起こすんだ。その時の事を思い出さない為に……違うな、思い出しそうになると心が防衛機能を発動させる、かな。それがナツさんの言う、ヒス状態の水沢なんだ。……俺はそう考えてる」


「…………」


「だけど、水沢は思い出してしまった。悲しすぎて自分を保てなくなる程の出来事を」


「……ッ」


 ナツさんが息を飲んだ。話は真剣に聞いてくれていたようだが、信じてくれるかは自信が無い。証拠を求められてしまったら、この話はそこで終わってしまう。


「…………。ひかる……急いで探さなきゃ」


「信じてくれるのか? 他でもない、俺の言う事だぞ?」


 徳英での俺は異常者扱いだ。その俺がこんな話をしても、通常なら妄言と切って捨てられる事だろう。


「アンタの話が本当なら、ひかるの性格にも納得がいくわ。あの子の危うさは、きっと誰よりもアタシが理解してる。過去にそれくらいの事でもなきゃ、あんな風にはならないわよ。……やっぱりひかるはアタシが護らなきゃ」


「…………」


 正直、ナツさんの庇護欲の強さにも危うさを感じる。水沢の為に自らを蔑ろにしてしまいそうな勢いだ。何故ここまで献身的なのだろう。


「けど……なんで因幡が、ひかるの事をそんなに知っているのかは疑問ね。先週会ったばっかりなんでしょ? アタシは二年以上の付き合いなのに、そんな事全然知らなかった」


 まあ、当然の疑問だ。


「それは事が済んでからにしよう。心配しなくても、包み隠さず全部話すから。確かあのホテルの前でも言ったよね?」


「……そうね、今はひかるが先決だわ。で? なんでここを探すのやめるの?」


「ん? ああ、そうか。……さっきの話を踏まえると、水沢の行き先は、八年前にお母さんを追って辿り着いた場所だと思うんだよ」


「ふんふん、それで?」


「その場所で母親が亡くなっているのだとしたら、未だに見つかっていない以上、人目に付く場所とは思えない」


「あっ、そうね。んじゃ、この公園の線は薄いか。いつも人居るし、夜中はカップルが茂みに……ッ、な、なんでもない」


「カップルが……何?」


「いいから続き! このムッツリ」


「ムッツリ!? ……ぐ、そ、それに加えて、当時八歳だった水沢が行けるような場所だから、自宅のわりと近くなんじゃないかな?」


「でも、おじさんは見つからなかったって……」


「ああ。だからさ、逆転の発想で、水沢の行きそうな場所じゃなくて、行かなそうな場所を探そうと思うんだ。ナツさん、その線で考えてみてくれないか?」


「え? ひかるの行かなそうな場所? んとんと……男湯とか男子トイレとか?」


「……いや、それ水沢というより、女性が行かない場所じゃん」


「ああ、そっか……。うーん……ねえ? 行かなそうな場所なんて、挙げてたらキリなくない?」


「何かないか? そこは水沢にとって辛い場所の筈だから、無意識にでも避けてるんじゃないかな」


「あっ! 避けてる場所! 千杜橋(せんとばし)!」


「千杜橋?」


 千杜橋は、穂ノ上市街地と東の阿神山(あがみやま)地区を隔てる、深い渓谷に掛かる橋だ。


「そこの近くにひかるの家があるんだけど、あの子、高所恐怖症だとか言って近付かないのよ。今にして思えば、おかしな話だわ。だって学校の屋上で一緒にご飯食べた事あったし」


「……うん、有りそうだ。すぐに行こうっ」


「ええ!」


 俺達は再び走り出した。

 ここから千杜橋までは一キロも無い。全力で走れば五分と掛からないだろう。


「ハァ……ハァ……因幡、ゴメン……少しペース……落として欲しいかも……」


 そう言われて初めて、ナツさんが辛そうなのに気付く。


「ハッ……ハッ……荷物、貸して。俺が持つから」


「ハァ……ハァ……た、助かる~……」


 俺は走りながら彼女のスポーツバッグを受け取った。


「って、重っ!?」


 それは想像以上に重かった。こんなのを持って走ってたら、辛いのも当然だ。


「な、何入ってんの……?」


「ハッ……ハッ……乙女は、色々入り用なの……訊かないのがマナーよ」


 乙女の秘密らしい。寧ろ気になるのが、正しい男子の有り様ではないだろうか。


「ハッ……ハッ……ほら、ムッツリ……ペースあげるわよ」


「ハァ……ハァ……ムッツリは……カンベン……」


 身軽になったナツさんがペースを上げる。乙女の秘密の重さに四苦八苦しながら、なんとか彼女に衝いて行く俺。ふと気付くと、背中側からオレンジ色の陽光が俺達を照らしていた。時間は間もなく四時。日が落ちる前になんとか水沢を見つけ出したい。


「ハッ……ハッ……み、見えた……千杜橋よ……」


 ナツさんの声に、意識を前方に戻す。

 千杜橋は比較的大きな橋だ。片側二車線通行で、長さも百メートル前後はある。だから一目見ただけでは、水沢が居るかどうかは判らないだろう。


「ひかるーーー! 居るーーー!?」


 橋に足が掛かった辺りで、ナツさんが水沢の名を叫ぶ。今、橋を歩いて渡っている人間は、俺達を除いてたった一人。予想に反して、一目で水沢が居ないと判ってしまった。


「居ないじゃないっ!」


 ここは国道上の橋なので車通りは多いが、歩いて渡る人は実は少ない。れっきとした歩道が無いからだ。この先の阿神山はいわゆる湯治場で、それ以外の目的で行く事はあまりないだろう。基本的に、阿神山を越えた先の御和市へ行く為に通るのが主だ。最近では新しい県道が開通し、山を越えずに御和市へと行けるようになった為、一頃に比べれば、車通りも大分減少している。夜になってしまえば、この辺りは閑散とする事だろう。つまりだ、ここは「人目に付かない」と言う条件に当てはまる。


「ナツさん、下だ、橋の下を探そう」


「えっ!? ……ま、まさか、手遅れだった……わけ? ひ、ひかる、ここから……」


「ちょっ!? 違う違うっ!」


 手遅れ。

 今、最も聞きたくない言葉だった。


「ここは夏場に渓流釣りが出来るから、下に降りれるようになっているだろ? 今の時期なら、人目を避けるのに最適だ」


「……な、なんだぁ、そういう事か。もう、脅かさないでよね」


「それはこっちの科白なんだが」


 そして俺達は、阿神山地区側まで橋を渡り切り、そこに在った下に降りる為の螺旋階段までやって来た。


「ねえ、立ち入り禁止になってるんだけど」


「まあ、十月から五月までは禁漁だからな」


 階段の入り口には立ち入り禁止の札が立て掛けられていた。別に門扉がある訳ではないので、降りられない事はないのだが、多少気が引けてしまう。


「別に釣りしに行く訳じゃないからいいよね? そんな事よりひかるの方が大事」


「そう……だな」


 俺、ナツさんの順で螺旋階段を下りて行く。谷底までは二十メートルも無いだろうが、螺旋の為か、普通の階段よりも時間が掛かってしまう。


「ちょっとちょっと、なんでそんな遅いわけ?」


「……え? 別に遅くなんてないだろ?」


 後ろからのナツさんのクレームに、俺は振り返って反論した。


「……ねぇ、アンタ、顔が変じゃない?」


「悪かったなっ!?」


 クレームに続いていきなりの罵詈。


「そうじゃなくて……なんでそんなしかめっ面してんのよ。もしかして、因幡って高いトコ駄目?」


「いや、そんな事はないけど……」


「けど?」


「た、立ち入り禁止の場所に入ってるんだから、緊張もするって!」


「そうなの? 小心者なんだ。でも、ラブホの時はあんなに……あっ、ムッツリだから」


「ムッツリはもういいっつの! ほら、行くぞ!」


 俺は不機嫌さも隠そうとはせず、乱暴に足を踏み鳴らしながら、一気に螺旋階段を下りた……


「んだから、遅いっつーの!」


 ……つもりだった。


「んぐ……だったら先に行けばいいだろっ!?」


「……ちょっと……そんな怒んなくても……」


「あっ……」


 ナツさんの怯んだ表情が目に入り、一瞬で熱が引く。


「ご、ごめん。その、ナツさんが先に行ってくれる?」


「…………。いいけど……」


 俺はナツさんに前を譲った。

 ……解ってる。

 自分でも気付いている。

 今の俺は冷静じゃなかった。そう自覚があっても、この場所ではどうにもならないのだ。


「……ねえ、手、繋いだげよっか?」


 俺の前に出たナツさんは、階段を下りもせずにそんな事を言い出した。


「え?」


「やっぱ高いトコ怖いんでしょ? 因幡の怯え方、なんかひかると重なる」


「怯え……」


「ひかるも怯えると、今のアンタみたく感情的になったわ」


「…………」


 ナツさんは俺の目を真っ直ぐ見つめている。

 俺は少しだけ思い違いをしていたのかも知れない。

 ナツさんの庇護欲は、水沢にのみ発揮されるものとばかり思っていたが、どうやらその限りではなかったらしい。その証拠に、俺を見つめる彼女の瞳には、まるで母親のような慈愛が込められているように思えた。


「……って、母親の慈愛なんて憶えちゃいないだろうが」


「はい?」


「いや、なんでもないよ。……ナツさん、俺さ、実は怖いんだ」


「やっぱりね」


「ただ、高い所がじゃない。そうじゃなくて、この下にあるもの」


「下?」


 ナツさんが谷底へと目をやる。


「……ひょっとして川?」


「ああ。……俺、水辺恐怖症なんだ。海、川、プール、風呂、水溜り。そういう場所では不安定になってしまう」


「そ、それはまた……なんて言うか、難儀ね。前の三つは避けようもあるけど、後の二つは……って、お風呂!? お風呂入れないの!?」


「あ、いや、シャワーは平気。バスタブにお湯を張れないだけだから」


「あ、水じゃなくて水辺って言ってたわね。へえぇぇ、そんな事ってあるんだ……。水は平気だけど、水際は駄目。なんか想像つかない感覚だわ。ねえ、コップの水は?」


「え? そりゃさすがに平気だけど……」


「バケツ」


「……まあ、平気かな」


「タライ」


「それは駄目かも……」


「ふーん、量の問題って訳ね……バケツとタライの差って何よ」


「人が入れるか入れないか、かな」


「……なんとなく分かったかも。因幡、溺れた事あんでしょ」


「……そういう事」


「じゃあ、アンタはここまでにしとく?」


「いや、目に入らなければ平気だから行くよ。でも、自分のペースで行かせて欲しい。だからナツさんは、俺の事は気にせず先に行って、水沢を探してくれ」


「まあ、それでいっか。じゃ、アタシは行くけど、アンタは無理する事ないからね?」


「ナツさんも、足元には気を付けて。ぼちぼち日が落ちてきた」


「了解」


 カンッカンッカンッカンッ……


 ナツさんは軽快に階段を下りて行った。俺は彼女の荷物を抱え直してから、ゆっくりと足を踏み出す。水面にさえ目を向けなければ、あの女の人を見る事はない筈。

 俺は視線を足元に固定し、下の景色が目に入らないようにして進む。


「……大丈夫、今は冬だから水嵩(みずかさ)は減ってる。雪解けにはまだ早いから、きっと今が一番少ない時期だ。それにもうすぐ日も落ちる、水面は見え難くなるさ。大丈夫、あの女の人は出て来ない……」


 自分に言い聞かせる為に、敢えて独りごちながら階段を下りる。

 そして、とうとう河原へと辿り着いてしまった。

 さて、水沢を探す為には辺りを見渡さなければならないのだが、俺の視線は真下。……役立たずにもほどがあるだろ。


「因幡ーーー! ひかる居たーーー!」


「何っ」


 ナツさんの声に思わず顔を上げる。彼女がもたらしてくれた吉報は、川へと向けられていた俺の意識を、完全に逸らさせてくれた。


「こっちーーーーーっ!」


 再び聴こえたナツさんの声を辿り、遂にその姿を捉える。一番近くの橋脚の陰、そこに二人の姿があった。俺は脇目も振らずにそこへ駆け寄る。


「ナツさん! 水沢!」


 水沢は、いわゆる体育座りをして、橋脚を支える橋台に背中を預けていた。そんな彼女を気遣う様に、ナツさんが傍で片膝を付いている。


「……因幡君? なんで……」


「アタシと一緒にアンタの事を探してたのよ。ここに居るかもって、因幡が推理したんだ」


「よく……分かったね……」


 水沢が力無く俺に声を掛けてきた。なんだか眠そうな表情だ。


「水沢、身体は平気か? 今日……その……学校で会った後、何かあったんだろ?」


 彼女は高井先生に、おそらくは眠剤を投与されている。


「…………」


 水沢は何も答えない。ただボーっと俺を見つめてくるだけ。


「……! ナツさん、水沢の顔を触ってみてくれっ」


「は? こう?」


 ナツさんは水沢の頬を撫でた。


「冷たっ!? ちょっとちょっと、ひかる! アンタいつからここに居たわけっ!?」


「……いいから、ほっといて……」


「馬鹿っ! このままじゃ死んじゃうわよっ!」


「……それでいい」


「ひかるっ!?」


「とにかく救急車を呼ぼう、話はそれからだ」


 俺はすかさずケータイを取り出した。


「ダメ……! ヤメテ……! 余計な事しないで……!」


 しかし水沢から制止の声。そして彼女は、地を這うように俺の元へと近寄り、そのまま俺の足へとしがみ付いて来た。


「……ママに会うの……! 邪魔……しないで……! こうすれば、ママに……ママに……」


 ――パァンッッ!


「ナ、ナツさん……」


 ナツさんが横合いから、水沢の頬を張った。崩れ落ちた彼女を、ナツさんはさらに掴み上げる。


「しっかりしなっ! こんな事したってママに会える訳ないじゃないっ!」


 水沢に顔を寄せて強く言い聞かせるナツさん。しかし……。


「……ナツまで邪魔するの……? アンタは、絶対、私の味方してくれると思ってたのに……」


「アタシはひかるの味方よ! だからこんな事させる訳にはいかないの! 解ってよっ!」


「……解んない。……解んない解んない解んない! だってママに会えるのよ!? 味方なら邪魔する筈ないじゃん!?」


「会えないの! もうママには会えないの! どうして解ってくれないの!?」


「会える……! 会えるもん……! こうすれば会えるって言われたのっ!」


「!?」


「水沢……」


 くそっ、高井先生、貴方は何故こんな事が出来るんだ。ただでさえ苦しんでいた水沢に、どうしてこんな事をするんだ。


「ナツさん、今はまず……」


「――誰?」


「ナツさん?」


 ナツさんの声は、今までには無い色をしていた。深く深く暗い色だ。


「……誰に言われた? ねえ、ひかる、それ、誰に言われたの?」


「…………」


「言いなさいひかるっ! 誰がアンタにそんな事をっ!?」


 ナツさんは、水沢の身体を激しく揺さ振りながら、問い詰め始めた。


「……あ……あう……」


「ひかるっ! 言いなさいよっ!」


「ナツさん! 落ち着いてくれ!」


「だけどっ!」


「水沢は消耗している、そんな風にしちゃ駄目だ。それに、いつまでもこんな場所に居たら、水沢が本当に凍え死んでしまうぞ」


 俺は、ナツさんが水沢にしたように、顔を寄せて言い聞かせた。


「…………」


 ひとまず、声を荒げるのだけはやめてくれたようだ。表情も少し落ち着きを取り戻している。俺は安堵しながら言葉を続けた。


「まずは救急車、だろ?」


 ナツさんの目の前にケータイをかざして、彼女の反応を待つ。


「……そう、ね」


「よし」


 彼女が冷静さを取り戻したのを確認してから、俺はケータイを開いた。


「待って、因幡君。……分かった、分かったから。……私、うちに帰る……帰るから、救急車は……呼ばないで。大事に……しないで」


「え、でも……」


「お願い……大人しく帰るから……。身体は大丈夫、ちょっと……冷えただけだから……」


「…………」


 俺は確認を取るようにナツさんと視線を合わせる。彼女がコクンと頷いたので、俺はケータイを仕舞った。


「じゃあ、帰ろ? ひかる、話はアンタが回復してからでいいわ」


「ナツ……ごめんね……」


「いいわよ。ほら、立てる? 肩貸す?」


「あ、俺が背負うよ」


「出たよ、このムッツリが……。ひかる、因幡に変なトコ触られないようにね」


「おい! そんなつもりじゃないって!」


「……何? 因幡君てムッツリなの?」


「違うっ、断じて違う!」


「焦ってるのが証拠よ、ひかる」


「別に焦ってないっ!」


「そんだけ声荒げてたら説得力無いでしょ」


「ぐ……別に焦ってないよ?」


「遅いっつの」


 有り難い事に、場の緊迫感が霧散し始めていた。どうやら今日のこの場はなんとか乗り切れたようだった。しかし、問題が解決した訳ではない。これからの水沢の事も、母親のさとみさんの事も、そして、あの高井先生の事も。


「クスクス……意外。ナツと因幡君が仲良かったなんて……思ってもみなかったよ」


 不意に水沢がそんな事を言い出す。彼女の顔はとても穏やかに見え、俺とナツさんに、一層の安心感を与えてくれた。


「はぁ……よかった。ひかる、笑ってくれたね。一時はどうなる事かと……」


「ああ、よかったよ。じゃあ水沢、どうする? やっぱり俺が背負うか?」


「……うん、そうね。お願いしちゃおっかな……」


 水沢は承諾したので、俺は彼女に背を向けてしゃがんだ。ナツさんも、今度は余計な茶々を入れず、水沢が俺の背におぶさるのを手伝ってくれた。

 背中の水沢の身体はやはり冷たい。実はかなり危機的だったのではないだろうか。いや、今は彼女の無事を喜ぼう。

 背中の確かな重みに安堵を覚えながら、俺は螺旋階段を上って行く。


「……ていうか、ナツさん。荷物、持ってくれないの?」


 今の俺は、右肩にナツさんの荷物を掛けつつ、水沢をおんぶしている状態だ。


「ああ、えっと……頑張れ男の子」


「ご声援ありがとう」


 持ってくれないらしい。


「……ホントに意外ね。ナツ達って、昨日会ったばかりなんでしょ? ……なんかそうは見えない」


 俺の肩口で不思議そうな声を出す水沢。彼女に言に俺も同意だ。ナツさんはなんだか話し易い。


「なになに~? ひかる、やきもち~? 心配しなくても、アタシとアンタは何があっても親友よ」


「親友、か……。今日もそうだけど、私が辛い時って……いつもナツが居た気がする」


「当り前よ」


「……それだけナツには迷惑掛けてるって事よね」


「別に……そんなの解ってて親友やってんだから」


「……いつも、色々ごめんね? ナツ……」


「ま、これからも任しときなさい。ずっとアンタの近くに居てあげるから」


 俺の後ろで絆を確かめ合う二人。完全部外者の俺は、呼吸すら潜めて、邪魔をしないように努めた。人一人を背負って階段を上るのは非常に骨が折れるが、二人のやり取りを聴いていたら、そんな辛さも気にならなくなってしまう。そのお蔭か、自分で思っていたよりもずっと早く、橋げたの上へと辿り着けた。


「ナツさん、タクシー来たら止めてくれ。早いトコ水沢を暖かい所にやりたい」


「そうね、分かったわ」


 すでに日は落ちて、辺りは暗い。俺の身体は火照っているが、ナツさんの寒そうな様子から、かなり冷え込んでいる事が判る。ずっと身体を動かしていない水沢の冷え具合がとても心配だった。


「タクシー来た! ……ああん、客乗ってる~」


 こういう時に限って車通りが少ない気がする。タクシーを待つより、このまま水沢の自宅に直行した方がいいかもしれない。近いらしいし。


「ナツさん、タクシー、いつ来るか判んないし、とりあえず水沢の家に向かうか?」


「それがいいかもね」


「……因幡君、降ろして、自分で歩くから……」


「え? いや、大丈夫だって」


「ひかる、無理しなくていいんだよ?」


「ううん、ほら、歩いた方があったまるし……」


「歩けるのか?」


「……平気」


 俺もナツさんもかなり心配だったが、本人がそう言っている以上、降ろす他なかった。


「ひかる、ホントに大丈夫? ホントに歩ける?」


「もう、ナツは心配し過ぎ。ほら、見てて……」


 そう言うと水沢は、一人で千杜橋を渡り始めた。その足取りは思いの外しっかりとしており、いっそ軽快とも言える程だ。


「……なんだ、大丈夫なんじゃん」


 俺の隣でナツさんがホッと息を吐く。

 しかし俺は、俺達からどんどん距離を取っていく水沢に、何故か酷い胸騒ぎを覚えてしまう。


「ッ! 水沢っ! 止まれっ!」


「わっ、な、何よ因幡……」


 俺が突如張り上げた声に、ナツさんが驚く。

 水沢はというと、一瞬だけチラッと、こちらに目を向けた。

 そんな水沢の目。

 その目を見た瞬間、俺の足は自然と地面を蹴る。


「水沢ーーーーーっ!」


 俺は全身全霊の力を脚へと込めて、水沢の元へと走った。彼女の居る場所はほんの数メートル先、それこそ一秒もあれば辿り着ける。しかし、その一秒は、とてつもなく長い時間だった。

 わずか一秒。

 されど一秒。

 俺が水沢の意図に気付いてからの、たった一秒後。

 その長い長い一秒間で、水沢ひかるは、悠々と、橋の欄干の上に登り詰めてしまっていたのだ。


「ひかるうううううっっっ!?」


 俺の背後から、ナツさんの驚愕の叫び声。

 その声に顔をこちらへと向けた水沢は、そのまま――意図的に――足を踏み外してしまう。


「いやあああああああああああ……!」


 夜の帳の下りた橋の上に、伊波千夏の絶叫が響き渡ったのだった。

ひかるちゃんの運命やいかに。

シロ君頑張れ。

……前回の後書きと同じこと言ってますね……。

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