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ぬいぐるみ小話短編集  作者: 武菊 御名行


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『かっぱが来た』

ぞうさんのぬいぐるみが、ふいに「カッパが見たい」と言いました。


カッパのぬいぐるみを買ってほしいのかと思って、きょうこさんはインターネットで検索してみることにしました。まくらの形をしているものや、丸っこいもの、平たくて手の長いものなどたくさんの種類があります。きょうこさんは、手ごろなサイズのカッパのぬいぐるみをひとつ注文しました。


3日後、小さな段ボールに入ってカッパのぬいぐるみが届きました。箱をあけると、ぬいぐるみたちが一斉に集まってきます。


「カッパだ」「しっぽがないね」わいわい騒ぐぬいぐるみたちに囲まれて、新入りのカッパのぬいぐるみはどぎまぎしてあたりを見回しました。

「ねえ、カッパって本当にいるの?」


ぶたさんのぬいぐるみが話しかけると、みんなはしんとなって耳を傾けました。


「ぼくはぶたっていう動物のぬいぐるみなんだ。ねこも、うさぎも、実際にそういう動物がいるのを見たことがあるよ。ぞうは見たことはないけど、動物園にいるんだって」


「カッパのぬいぐるみなんだから、あなたならカッパを見たことがあるんでしょう?」


ねこさんのぬいぐるみが言いました。

「わたしたち、カッパが本当にいるのかって話になって。いるなら、見てみたいねって言っていたの」

「えっ、えっと、本当に、って…」

カッパのぬいぐるみがおずおずとたずねました。

「カッパは想像上のいきものでしょう。実際には存在しないっていわれてるの」

うさぎさんのぬいぐるみがそう言うと、ぬいぐるみたちは口々にカッパはいる、いない、と議論をはじめました。


カッパのぬいぐるみは、みんなの話を聞きながらだんだん下を向いて、黙ってしまいました。


きょうこさんは、優しくカッパのぬいぐるみを持ち上げて、寝室に連れて行ってこう言いました。

「今日は一緒に寝ようね。カッパはきっといるわよ」

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