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夢ならいいのに

作者: 木村屋珈琲
掲載日:2026/02/24

「岸本さんがさ、2人目妊娠したんだってさ。うちらの夜勤、増えるじゃんね。腹立つ。」内科病棟の休憩室に入って来るなり、30代同士の看護師の先輩が、あからさまに言い放った。『自分らだって、子供居るでしょうが』佐藤結花は、喉まで出かかった言葉を溜息に変化させ吐き出した。

とは言っても、35歳を期に東京の病院から

群馬の実家に戻って来たばかりの結花にとっては、羨ましい話だった。3ヶ月前電話で「昔は嫁には行かせない〜って言ってたくせにお父さんまで、何よ」電話でした、親子喧嘩を思い出す。

戻って来たのは結婚を心配する親のせいだけでは無い。長く付き合い、優しかった健二と別れを切り出したのも、彼の趣味が競馬であった事も結婚を意識した自分が居たからだ。


地元の市立病院に来て3ヶ月、職場は家庭持ちの看護師ばかりで出会いなんて有りそうも無い。親は、出会いが無いならお見合いでもしなさい、と言う。気が進まないとはいえ、昨日初めてマッチングアプリを覗いた自分が居た。

 

2日後、結花が担当患者の指示を拾いに、パソコンを覗いていると、うちの病棟担当の原田義一先生がニヤニヤしながらステーションに入って来た。57歳でクシャクシャの髪のまま、見た目はだらしなくスタッフから皆に嫌われていた。嫌われてるのは見た目のせいでは無い。家庭が有るのに2人も愛人が居るのは有名な話だ。

しかしその日は、原田先生の後に着いて入って来た人物にスタッフ全員の視線が集中した。長身で、細身の若い男性が、青い手術着に 白い白衣を羽織っていた。絵に描いた様な「イケメン医師」だ。年の行ったオバサン看護師も、主婦看護師も皆、うっとりして彼を見つめた。彼はペコリとお辞儀をして入って来て、原田先生のデスクで何か説明を受けていた。その後原田先生が、ギャラリーに向かって、彼の肩に手を置いて声をあげた。「えー、みんなに伝える事がある。彼は、大阪から私の代理としてしばらく来て貰う事に成った医師だ。詳しい事は、師長に伝えてあるから、宜しくな。」そう言うと、2人は足速に出て行った。去り際、彼の切れ長の眼が、周りと同じく釘付けに成っていた結花の視線に合った気がし、結花は少しドキッとした。

「何、あのモデル医師〜、若いけど代理って研修上がり?」「独身かなー!」「指輪してなかったような」「チェック、早〜」看護師の声がはしゃいでいた。


午後、会議から戻った師長は、看護師から「モデル医師」についての質問攻めにあっていた。

35歳 独身。名門京都大学病院から原田先生からの依頼で、うちの病院にやって来たエリート医師だった。「才色兼備」とは、ああいう人の事を言うんだな、と結花は思った。

「あの先生の名前はね、えーと、珍しくて将棋で1番有名な人と一緒と、覚えたのよ。」「ふじい?そうた? ですか?」「そっちじゃない」師長は、紙に書き出した。

「土生雅治」

「はぶ まさはる」師長の文字を見て、読み上げたのは、結花だった。「そう!ハブ先生というの。佐藤さん、よく読めたわね」結花は、言った。昔、何処かで知った、珍しい苗字だったと。

仕事帰り、土生先生の苗字を、何処で知ったか思い出そうとした。看護師成りたてに関わった、患者さんかな、ご近所さんだったか。


そして、思い出した。小学5年生の時の小さな思い出を。


 結花の中学校に、小柄で、気の小さい女児が、転校生として来た。名前は「土生 菜々ハブ ナナコ」彼女は転校して来てから、何もしていないのにおどおどした様子に敏感に食い付く、活発な子供らに、案の定いじられる様に成り・・・そしてイジメを受けるように成った。正義感の強かった結花は、宙を飛ぶ菜々子の上履きを掴み取った。「皆んな止めなよ!行こう!土生さん!」結花は彼女の手を取り、体育館倉庫に走った。2人で跳箱の裏に隠れ、体育館マットの上に座った。結花は、幼いながらも、「おどおどしないで自信を持って」とか、「努力すれば夢は叶うから将来に向かって頑張ろう」とか、ありふれた励ましの言葉を並べて励ましたのを思い出した。

 その後、特段に仲良く接するように成った訳では無かったが、菜々子は、また6ヶ月後に転校して行った。親が転勤族であったために。

『菜々子さん、今は、何してるのかな。もうお互い35歳だから、ママにでも成って子育てでもしてるかな』結花は、今は自分の方が励まして欲しいもんだと思いながら、風呂上がりの缶ビールをプシュッと、開けてTVの前に座った。


 6月に、入り、病棟に原田先生と入れ替わって、土生先生が病棟担当として、毎日来るように成った。先生は、患者の引き継ぎの時間も取らずに、現場の患者を把握し、緊急時も落ち着いて対応し、看護師からの称賛はうなぎのぼりであった。休憩時間は、土生先生の噂話ばかりになっていた。結花を始め、独身の看護師にはオバサン看護師からの「土生先生、狙ってる?」等のからかいがあった。結花はくだらないと、思いながらいつも「私なんて足元にも及びませ〜ん」と請け合いに応じていた。しかしそれは本気だった。外見を褒めるのは自分の両親位だったし、医者なんて所詮原田先生と同じで、愛人を抱え込む生き物と思っていた。


しかし、ある日を境に、結花は集中的にからかいの的に成るように成る。

「患者IC」→患者の病態を家族を呼んで説明し、治療の方向性を決めたり、病気の治癒が見込めない等の、辛い宣告を伝える場に、結花は立ちあった。

 その日の患者は結花の担当の腎臓癌末期の男性患者であり、43歳という若さであった。IC内容は、手術が出来ない事の宣告と、理由説明であった。午後2時、到着した患者の家族は、患者と同い年の妻と小学生を含む、幼い3人の子供達であった。

土生先生は、患者のレントゲンを前に座った家族に話し出した。「この影が癌細胞で、右の腎臓の副腎という場所に出来て居ます。切除手術を、検討したくても場所が悪く・・メスを入れると副腎から分泌されるアドレナリンが大量に噴出して、お父さんの血圧が200/以上を超えて頭の血管が切れてしまう恐れがある為、出来ないのです。更に、血液を介して全身の骨に転移している事が分かりました。心苦しいのですが、後は残された時間をご家族と大切に過ごして頂きたいと思います。力が足りず、申し訳ありません。」土生先生は、深々と頭を下げた。妻は、タオルで口を塞ぎながら声を押し殺して泣いた。子供達は、不安と悲しさで母親の背中に集まり顔を埋めた。結花も、溢れる涙を隠すのに必死だった。頭を下げ、持ち上げた土生先生の目尻にも、光る涙があった。「・・分かり・・ました・・ありがとうございました・・」妻は、なんとか言葉を絞り出し、頭を下げた。そして子供達とステーションを出て行った。深刻で辛い空気に、師長や看護リーダーと担当看護師である結花もスッと立ち上がる事が、出来なかった。

土生先生は、立ち上がると、振り向いて結花の側に歩き、「大丈夫ですか?」と優しく声を掛けた。驚いた結花は立ち上がった。土生先生は、結花の椅子を畳んで片付け、ステーションを出て行った。

 それからだった。結花に集中的に嫉妬の言葉と、からかいが始まるように成った。「いいな~、佐藤さん、私も大丈夫って、言われたいー」「土生先生、佐藤さんの事好きだったりしてー」「そんな訳、ないですよー。たまたま担当だったからですよー」からかわれる度に、結花は、そう答えるしか無かった。


しかし、からかいが、真実に成る出来事が起こった。


 朝、結花が出勤すると、2週間ぶりに、原田先生が居た。出張とは言いながらも、詳しい出張内容は分からず、愛人との旅行なのではと、職場の中では噂されていた。

結花は、原田先生に、「おはようございます」と挨拶をした。原田先生は、結花を見付けるなり、「おう!佐藤!話しがあるんだ。こっち来て」結花は、驚きながら処置室に連れられ原田先生に告げられた。

「土生先生の事なんだけどさ、あいつは研修医の時から俺の事を慕ってくれててさ、だから今回も、2つ返事で、うちに来てくれたんだよ。」「はい・・」「でさ、土生がさ、お前と2人で、食事したいって言うんだよ。でも、付き合ってる男が居るかも知れないから、聞いて欲しいと言うからさ〜。で、居るの?」

「!!」結花は、驚いた。正に青天の霹靂だ。「今 お付き合いしている人は、居ませんが」「なら、どうだ?土生と食事しに、行けるか?」信じ難い状況に困惑していると、原田先生が携帯番号が、書いてある紙を渡して来た。「これ、アイツの電話番号だから。良いヤツだからさ、嫌じゃ無かったら、電話してよ。じゃ、な!」原田先生は、足早に出て行った。

結花は、自分の顔が熱く火照り、心臓が高鳴るのを感じた。『ほ、ほんとなの〜?!!』



その日、なんとか冷静に日勤の仕事を終えた。朝の原田先生の言葉を思い出すと、汗が噴き出しそうに成った。仕事にミスをしないようにと、集中し、落ち着いて事なきを得た。

「お疲れ様でした」着替えを終え、手に握り締めた電話番号の書かれた紙を見詰める。『土生先生が、私を好き?本当に?』想像もした事が無い現実を、何とか解釈しようとする。それよりも、重大な事があった。『私は、土生先生が好きなの?』自分に、問いてみる。考えた事が無いので、答えは出ない。先生と、レストランで食事をしている自分を想像してみた。また、心臓の鼓動が速く成って来た。そして恥ずかしさと嬉しさが込み上げて来るのを感じる。『仕事中の先生は、好印象。でも、プライベートの先生を私は、知らない』

 しかし自分は、結婚相手を探したくて、実家に戻って来たのではないか。願ったり叶ったりの状況だ。もう、電話するしか無いではないか。結花はゆっくり深呼吸をし、原田先生から受け取った番号に、電話を掛けた。


プルルルル プルルルル プルルルル プルルルル


ガチャ「はい、土生です」   

「もしもし、お疲れ様です。佐藤結花です」

少し間が合ってから、土生雅治が、声をあげた。「ああ、佐藤結花さん、お疲れ様です。電話、掛けてくれたんですね。ありがとう。・・という事は、食事 OKって事?」

「あ、そうですね、はい。そうです」

土生と電話で話し、7日後の土曜日に、土生が指定したレストランで食事をする事に成った。緊張はするが、ワクワクする気持ちが勝った。自宅に着くと、すぐに洋服棚を漁り、何を着ていこうかと土曜日を楽しみにしている自分を感じた。


 約束の土曜日までの7日間、結花は職場で土生と会ったのは、4回程だったが直接的に話をする機会は無く、互いに仕事に集中していた。あっという間に日にちが経ち、土曜日を迎えた。

結花は、ブランド品や高価な服は持ち合わせていないが、1番お気に入りの紺色の ワンピースを着てみて、キツく感じる場所が、無い事に安堵した。普段、化粧はしないが昨日はパックをして寝た。

夕方4時、派手に成らないよう化粧をし、約束の東京駅に向かった。待ち合わせ場所に、スーツを着た土生が既に立っていた。結花が近づくと、土生が「佐藤さん、来てくれてありがとう。予約した店があるんだ。そこに行こう。」そう言って先に歩き出した。ウキウキする気持ちを抑えて結花も着いて行った。


 高層ビルの中に入り、エレベーターで37階の高級レストランに2人は入って行った。『お値段高そう。流石は、お医者さん』結花は、改めて、自分が住んでいる庶民生活と医師の高級な生活の差を感じた気がした。

 結花は、全面ガラス張りで夜景の広がるレストランの1番奥のテーブルに案内された。jazz音楽が流れ、高級なだけでは無くとても雰囲気の良いお店だった。土生は、「佐藤さん、ワインか何かお酒呑みます?」と聞いて来た。「土生先生は、お酒呑まれるんですか?」と聞くと「僕は普段呑まないけど、今日は呑もうかな」と言って白ワインを頼み、結花も同じ物を頼んだ。ボーイにメインステーキの焼き加減の注文をして、ほどなく2人きりに成った。土生は、話しかけてこないが、口角を少し上げながら、じっと結花から視線を離さない。それでも、結花も少しずつ緊張が解け、自分から言葉を発した。「土生先生の苗字、難しいですよね。」

「そうだね。一目で読めた人は、今まで会った事が無いよ」

「そうですよね」

「でも、僕が今の病院に来た時、一目で読めたの、佐藤さんなんだよね。師長から聞いたよ」

その時、白ワインが運ばれて来た。「何に乾杯しようかな」土生が言う。「そうだな、再会に、乾杯」土生が自分のグラスを結花のグラスに近付けて来た。「再会?」結花の表情に、疑問がわいた。

チン!と、グラスがぶつかり、土生が白ワインを一口ゆっくり口に運んだ。結花は、聞き違えかと思いながら自分も一口呑んだ。土生は、仕事では見せない、ゆっくりとした口調で話し掛けて来た。「僕の苗字を読めたと、聞いて驚いたよ。佐藤さん、何故?」

「自分でも、何故読めたか長く考えたんですが、小学生の頃、同じ苗字の転校生が居た事を思い出したんです。」

「そうか。覚えてて、くれたんだね。それは小学5年生じゃないかな。」

「土生菜々子さんの事です。先生の親戚ですか?」

「そう。血の繋がった兄妹」

結花は、安堵した。「ああ、そうなんですか!同い年という事は、双子の妹さんですかね?」

「そうだよ」

結花は笑顔を取り戻しワインを呑んだ。

前菜から美しい料理が次々と運ばれ、2人は食事を楽しみ、会話を弾ませた。「菜々子がね、よく話してくれたよ。君の事。イジメる男子に注意してくれて、盗られた上履きを、ジャンプして奪い返してくれたって」結花は、少し照れながら言った。「私、凄いおてんば娘みたいですね。もう少し、おしとやかな方が良かったです」

「そんな事は無いよ。他人を助けられるって凄い事じゃない。君の今の仕事にも繋がってる。僕の仕事にもね」

「僕の仕事にも?」結花はほろ酔いながらも言葉につまづいた。土生は続けた。「君が菜々子に話した事葉、僕はとても感銘を受けてね、感動したよ。自分に自信を持って、努力をすれば夢は必ず叶うって、言ってくれたね」結花は、小学5年生の体育館での菜々子の顔を一生懸命思い出そうとしていた。自分が励ますばかりでその子は、ただ涙を流しながら聞いていた。

土生はボーイに向かって手を挙げ、ワインをもう一本注文した。「君はこうも言ったね。私の夢は、医者に成って、沢山の人を助けるんだって。だから一緒に努力しようって。そして菜々子ちゃんの夢は何?って」

土生の言葉は、正しかった。自分だけでは思い出せ無い言葉が土生の口から出て来る。

結花は答えた。「随分はっきりと菜々子さんは、お兄さんに話したんですね。私はあまり覚えてませんが医者に成りたいと、思っていました」土生はワインをグラスに注ぎながら話した。「医者の道は諦めたの?」「いいえ。成りたくても、医学部に通うには、学費が一桁足りませんでした。簡単に進める道では、ありませんでした」

「そうか。頑張れば必ず叶う事は無いって事、もう経験済みだったのか」土生は髪をかき上げ、ネクタイを、引いて首元を緩め、左手首の高級な腕時計を外した。

その時 結花は愕然とした。時計の下に隠されていたリストカットの無数の傷を見て。

「先生・・・!!」土生は、その傷を隠す所か結花によく見えるようにテーブルに差し出した。

「小学5年生の時だよ。僕は男なのに、少しづつ膨らむ胸、スカートもブラウスも、女装を強要されるような物だった。自分を自分として信じ、生きようとすればする程、母と父は、泣き喚いた。そのくせ、死のうとすると同じく泣き喚いて止めるんだ。ハハッ!! 馬鹿らしい」

結花の口から確信の言葉が出た。「菜々子さん、、、なんですね」

「そう。僕は、元、土生菜々子だよ。君が励ましてくれたから、君の言う通りに、死ぬより自分を信じて生きる事を選んだ。君と離れた後、自殺しない事と引き換えに親を脅迫して男性ホルモンを打ち、膨らんだ胸を切除したんだ」

結花の酔は、土生の言葉を聞く度に覚めて行った。


土生は手を組んで顎を乗せ、結花の顔を見詰めた。「今日、僕とデートしに、来てくれたんだろう?僕から好きだ、愛してるという甘い言葉を期待していたんだろう。他の女みたいに」

結花の体は、徐々に冷え、強張るように成っていた。土生は続けた。

「僕は、自分を信じて、手術で成りたい姿に成り、努力して医者にも成った。でもね、君等には、敵わない事があったんだ。」

土生の両目から、涙が溢れ出した。

「僕が研修医に成った時に出逢った、原田義一先生の事を、僕は愛してるんだ。その時、原田先生は、新婚したてで、奥さんの腹には赤ん坊も、いたんだ」

結花は愕然とし、無意識に口を手で覆った。土生は続けた。「原田先生に、一人目の愛人が出来て、2人目の愛人が出来た。周りの女はさ、原田先生の事を、最低って罵った。僕は、先生の3番目の愛人にも成れないんだ。ましてや、好きだなんて言葉を言ったものなら、あの人は2度と僕の前には現れ無いだろう・・」握った拳が、震え出した。「原田先生が、何人愛人を作ろうと、許せるのは、僕しか無いのに。僕以上に彼を愛している人間は、他には居ないのに。先生の妻も、愛人も、1番に成りたいとほざきまくる。今まで何度も、原田先生に、抱き締めて貰えたくせに!・・こんなに愛しているのに、僕には、気持ちを伝える事すら許され無いんだよ」


土生の心の暗闇に、引きずられる恐怖から逃れようと、結花は本能的に、立ち上がった。


土生は、泣きながら結花を、見上げた。「君等が羨ましいよ。生まれてから1度も、人を、自分を傷付けずに生きられる世界に生まれている。なのに、その幸せに気づかず、自分は不幸だ、周りが羨ましいだのほざきまくる・・残念だけど、僕が、君等を愛する事は、決して無いんだ。決して。分かったか?」


 結花は、土生に背を向けて、走り出した。流れる涙が止まらなかった。悲しく、苦しく・・それでいて裏切られたような苦痛と根拠の無い罪悪感や、言葉に出来ない悲しみから、逃れたかった。


 やっとビルの外に出た。震える手で、携帯を取り出し、電話を掛ける。

プルルルル プルルルル プルルルル

ガチャ「もしもし!!結花か!電話掛けてくれたんだね。君が居なく成ってから、趣味の競馬も食事すらも、興味が無く成ってさ・・なあ、結花、声を聴かせてくれよ、結花なんだろ!」


「・・健二・・」


「もしもし、どうした?!何があったんだ?会いたいよ、結花、今、何処に居るの?会おうよ、迎えに行くよ、結花!結花!」






























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― 新着の感想 ―
急展開にびっくりしました、オチが好みで面白かったです。
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