エリナの5歳のお披露目会が開催されて波乱が起こる。
この作品を選んで、お読で頂き、ありがとうございます。
この物語はフェイクションです。
物語中の世界観は独自の世界観で書いておりますので、法律、慣習、習慣、常識等に異質な部分が多々ありますが、其れ含めて楽しんで読んで頂きたいと思います。
エリナは母親のレイミナの部屋で、お披露目会が開催される2日間で母親の温もりに浸りハクランとコランと過ごした。
その間に義兄の妻で第3王女であるカレンがハクランとコランとモフモフがしたくて入り浸り、エリナとも王家の話やケイディスとの馴初めなどの会話を楽しむ。
王家の話も沢山して貰いエリナも感心を持って聞いていたけど、義兄のケイディスとカレンの馴初めは王家と公爵家が決めたのでなくカレンからケイディスに告白して付合い始めて結婚していた事に驚いた。
「えっ、お兄様との結婚は親が決めた結婚ではなかったのですか」
「そうよ、私達は学園で知り合って私がケイディスに一目惚れして告白したのよ、彼ね剣術も凄く強くて優しいし私の好みだったの、だから私から告白したのよ、ケイディスはモテてたから早くしないと他の令嬢に奪われちゃうからね」
「えっ、カレンお姉さまから告白したのですか、でも婚約者とか居なかったのですか」
「私は親に自分で探すから絶対に勝手に決めないでねと言っていたわ、でも学園に入学して1年生の間に婚約者を決めなさいと条件を出されたわ」
「お兄様にも婚約者が居なかったのですか」
「ケイディスはお父様から自分で探せと言われていたらしいわよ、公爵家は代々後継ぎになる者は自分で婚姻相手を探す仕来たりみたいね、それで親が認めて結婚して初めて後継者の資格を得るみたいなの」
「そうなんですか、知りませんでした。カレンお姉様は王家だったからお爺様に認められたのですね」
「う~ん、それだけてはダメなのよ、チャンと戦争やスタンピートなどの緊急事態の時に戦力にならないとね、私が魔術師としてそれなりのレベルに達していたから認めてもらった感じね」
「えっ、女性からしては結構きつい条件ですね」
「そうでしょう、だからデートはいつも森へ行って魔物退治してたわよ、魔術師としての実践訓練も兼ねてね、私もケイディスの妻になる資格があると認めて貰えるために必死だったわ」
「そこまでして、実際に結婚してからは幸せに暮らせてますか」
「えぇ、ケイディスは相変わらず優しいですし愛してくれてる実感が持ててるわ。それだけでも幸せだわ、お父様も意外とお気遣いして下さるしね」
「あの王城で暮らしている時と今の暮らしとどっちが居心地が良いですか」
「うん、当然今の暮らし方が良いに決まっているわ、王城に住んでいる頃わね、いろんな場面で気を張らないといけないから大変なのよ、従者は勿論だけど役人やそれに貴族の方達も沢山居るし他国の貴族何かも出入りしているでしょう」
「でも、公爵家もそれなりに従者も居ますし役人も居ますし人の出入りも結構あると思うのですが、ある程度は気を張る必要があるのでは」
「うふふ、公爵家は礼節を然程気にしてないので気が楽なのよ、王家はやはり国の頂点ですから礼節を重んじるんです。でなければ他国からバカにされてしまいますからね」
「あ~、そう言うのも気にしないといけないのですか勉強になりました。やはり私は王家に関わりたくないですね」
「エリナちゃん、忠告しとくけど王家にもエリナちゃんと釣り合う王子がいますから早めに婚約者を決めた方がいいわよ、出ないと無理矢理王子と婚約されかねないわよ、いくらお父様が公爵の地位があると言っても流石に王家には逆らえないわよ」
「えっ、私は確かに公爵家の養女になりましだが平民みたいなものですよ」
「エリナちゃん、感じんな事を忘れていない。エリナちゃんも私と同じ王家の血筋の金髪なのよ、それだけでも資格があるのよ、これだけは忘れてはいけないわよ」
「あっ、そうだったわ、うわ~、どうしよう、もしそうなったら地獄だわ、もうこうなったらアランにでも頼んで、虫よけの仮初の婚約者になってもらおうかしら、アランが私に見合う強さになれば結婚しても良いしね」
「うふふ、お父様に相談してはどうかしら、飽くまで可能性の話だけど、エリナちゃんは有名だから陛下の耳にも届いている可能性もあるから早めに手を打った方が良いかもね」
「うん、そうするわ、ありがとうカレンお姉さま、今からお爺様の所に行ってくるわ。ハクラン、コランはそのままカレンお姉さまのお相手をしててね」
エリナは直ぐにお爺様の執務室へ向かう。
コンコン
「お爺様、エリナです。ご相談したい事があります」
「おぅ、エリナかお入り」
「はい、失礼します。お爺様、率直に伺います。私が王家の王子様と婚約させられる可能性はありますか」
「何じゃ、行き成り、王家の王子と婚約させられる可能性とな、まぁ、あるだろうな」
「私は王家に関わるのは嫌です。何とか回避する方法はありますか、カレンお姉さまにお聞きしたのですが早く手を打った方が良いと言われまして」
「まぁ、回避するにはそれなりの相手と婚約するのが一番の方法だが、誰か居るのか」
「こうなったら剣聖のスキル持ちのアランと仮初の婚約をするのはいかかですか、彼がいずれ私に見合う強さになれば結婚も考えてもいいですし」
「そうか、分かった。その話をルディエンス伯爵と打ち合おう、ルディエンス伯爵も歓迎するだろうし直ぐに纏まるであろう、ただし期限は18歳までだぞ、それまでに結婚の賛否の結論を出すのだぞ 、それ以上は相手もある事だから先延ばしは出来んぞ」
「分かりました。その様に致します」
エリナは何とか王家の王子との婚姻を避けるためにアランとの婚約を決意する。
その翌日にはお爺様がルディエンス伯爵の泊まる宿に訪問して、アランとの期限付きの婚約誓約書をつくりサインしてアランとエレナの婚約が成立した。
そして王家にはルディエンス伯爵の三男のアランとエレナの婚約が成立した証明として、婚約成立書を作成して王家に届け出てアランとエレナの婚約が既成事実であるように王家に知らしめた。
この事はエリナのお披露目会でお爺様はエレナが婚約した事を発表する気がなかったが、発表せざる負えない状況が起きる事になる。
エレナの希望で母親のレイミナが5歳のお披露目会に着たドレスと同じ色の純白のドレスを着て、二階のフロア―にお爺様と共に姿を見せると会場にいた招待客が金髪で愛らしいエリナに見てざわつく。
「うっほん、今日は我が孫でもあり。先日私の養女にしたエリナだ。5歳の誕生日を無事迎えてこうして皆にお披露目できる様になった。エリナ、皆さんにご挨拶をするのだ」
「はい、私はエリナ・ユリシアナと申します。お爺様の助けを借りて無事に5歳の誕生日を迎えられ、皆様にご挨拶出来る事を大変喜ばしく思います。若輩者ですが、どうぞ皆様よりご指導ご鞭撻のほどお願い申し上げます。本日は私の為にお集まりいただき誠に感謝致します」
エレナは挨拶を終えると華麗にカーテシーをきめて締めくくる。
エレナが挨拶を終わると眼下の招待客から拍手が起こり、エリナも無難に挨拶がする事が出来て一息つくとお爺様から一言云われる。
「エリナ、とても5歳の子供がする挨拶ではないぞ、アハハ、オマセにもほどかあるな、さぁ、下に降りて皆からの挨拶を受けよう」
お爺様にエスコートされて階段を降りて招待客の挨拶を受け始める。
招待客はエリナと同い年の子を持つ貴族の家族が50組程で、特に男の子を持つ貴族の売れ込みが凄く、エリナが時々ドン引きする事もしばしばあった。
ルディエンス伯爵と三男のアランの時は簡単な挨拶と雑談をして済ませてくれたので、エリナも一息いれられて終わるとアランに小さく手を振った。
流石に自分の息子の売り込みが凄くて、顔見せの挨拶が終ってからも引切り無しで続き、お爺様もこれはいかんと思い起ち、ルディエンス伯爵と三男のアランを呼んで急遽婚約発表する事になった。
「あ~、皆に聞いて欲しい、先日内々にルドルファン伯爵家の三男のアランとエレナの婚約が成立したので、この機会に発表させてもらう。二人共同じ冒険者を目指す者同士であり、意気投合して婚約する事になった」
「「「え~、それはまた・・・」」」
会場にいた貴族達は婚約発表を聞いてざわつき、納得いかないといった感はあったが公爵家には流石に文句を言えずパラパラと拍手が送られた。
「まぁ、アラン君は剣聖のスキル持ちという事で、初代の国王に憧れて冒険者を目指しておる。孫は既にご存知のとおり、冒険者としての実績もあり今は暫定ではあるがDランクの冒険者である」
「「「おぅ、5歳でDランク・・・」」」
会場がどよめく。
「まぁ、エリナはまだ5歳と云う事で、それ以上はランクは上げられないのが現状だ。エリナが12歳になったら直ぐにCランクになると聞いている。実力は冒険者ギルド側も認めておる」
お爺様は会場を見回してから一呼吸してから続ける。
「エレナは決して貴族の家庭には入らないと言っておる。儂もエレナの好きな様に人生を生きて欲しいと願っておるので、同じ冒険者を目指す剣聖のスキル持ちであるアランとの婚約を認めたという事だ」
公爵のお爺様がエレナを見て、『エレナは決して貴族の家庭には入らない』という言葉に貴族の親達も事情を把握しているので『あ~』とあきらめムードになる。
こうして何とかその場を丸く収めて、エリナは同じ5歳の令嬢達と談笑するが、会話がいまいち嚙み合わず親しい友人が出来ずにお披露目会は終わった。
お披露目会の後にルディエンス伯爵とアランと公爵家との会食会が行われて、エリナとアランが隣同士に座って親睦を深めた。
「アラン、ゴメンね、私の都合で婚約者にしてしまって、もし好きなの子が出来たら言ってね、直ぐに解消するから」
「いいや、エレナ嬢の婚約者になれて光栄だと思っているよ、それに恥じぬように僕も鍛錬してエリナ嬢とパーティーを組んで貰える様に頑張るよ」
アランはまだ恋愛については深く考えず、ただ憧れを抱くエリナに認めて貰える様に頑張る事を誓う。
「うふふ、意外とエリナちゃんとアラン君はお似合いかもね」
カレンがエリナとアランの二人の様子を見て微笑みながら話す。
「まぁ、先の事は分かりませんが、アランが立派な冒険者になってくれればと願っています。その結果として二人が結ばれれば幸いですけどね」
アランの父親のルディエンス伯爵は婚約については意識することなく、アランが冒険者として一流になって欲しいと願って、父親として二人を見守る事を決めた。
「エレナ、一応言っとくが13歳になったら王立アマランズナ学園に入学してもらうからな、全寮制だからなルドルファン伯爵の娘のフランナと言ったか、その娘と一緒に入学してもらうからな」
「はい、フランナと一緒なら別に構いませんわ、今日会った同い年の令嬢とは話が合いませんでしたので大変でした。趣味とか遊びに関しても噛み合わなかったです」
「勿論アランも入学しますがね、あのフランナと言う子も冒険者を目指しているのですか」
ルディエンス伯爵は興味を持って尋ねる。
「いいえ、魔術師団の魔術師を目指してますね、私と一緒に魔法の鍛錬をしてますわ」
エリナはフランナの事を簡潔に話す。
それから会食は和やかに終わり、玄関先までルディエンス伯爵とアランを見送り、会食会の席で婚約者として定期的にアランがエリナに会うためにルドルファン伯爵家に訪問する事が決まった。
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