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ルディエンス伯爵の三男アランがエリナに模擬戦を挑む。

この作品を選んで、お読で頂き、ありがとうございます。

この物語はフェイクションです。


物語中の世界観は独自の世界観で書いておりますので、法律、慣習、習慣、常識等に異質な部分が多々ありますが、其れ含めて楽しんで読んで頂きたいと思います。

 エリナが乗せてもらった馬車が公爵領に向けて街道を軽快に走って向かっていると、アランがエリナを見て頼み事をする。


「エリナ嬢は剣術も出来るのですか」


「剣術ですか、一応ですけどお世話になっているルドルファン伯爵家の衛兵達と稽古はしていますけど」


「あの一度お手合わせお願いしますか、今の自分の実力が冒険者のエリナ嬢に通じるか試したいのですが」


「別に構いませんが、どこで致しますか」


「うん、それはぜひ見たいですね、アランは一応ですね剣聖のスキル持ちでして、子供の割には剣の腕が経つんです。実績のあるエリナ嬢にどのくらい通用するか私も確認したいので、公爵閣下の屋敷に着いたらお願いします」


「そうですか、分かりました。私も剣聖のスキル持ちとお手合わせしてみたいです」


エリナは剣聖のスキル持ちの剣筋が見られると思い楽しみにする。


 エリナを乗せてから走り出して途中休憩を挟んで三時間ほどで公爵領の入場門に到着すると門番が獣人の衛兵でサラナに驚く。


「伯爵、あの衛兵は獣人ですよね」


「あぁ、そうだね、何かしたんですか」


「はい、獣人を見るのが初めてだったのでチョッと驚きました」


「あ~、そうですか、この国は基本的に人族の国家ですからね、公爵領は国境が近い分交易が盛んでして隣国が獣人の国なので、その影響ですか公爵領に獣人が割と多く住んでいるんですよ」


「そうなんですか、獣人の女の子って可愛らしいでしょうね、会ってみたいです」


「アハハ、そうですか、公爵邸には獣人の侍女も居ますけどね」


「ようこそ、ルディエンス伯爵様の馬車ですか」


「そうですよ、これが証明の証です。こちらが三男のアランと冒険者のエリナ様です。あのエリナ嬢も冒険者証を衛兵に見せてあげてください」


ルディエンス伯爵はエリナの冒険者証を見て衛兵がどんな反応するか見てみたくてわざとエリナを冒険者として衛兵に紹介した。


「あっ、はい、どうぞ冒険者証です確認してください」


「エリナ・ユリシアナって、失礼しました。どうぞお通り下さい」


獣人の衛兵は冒険者証の名前を確認すると、驚いて慌てて冒険者証をエリナに返して敬礼する。


 エリナは初めてお母様の故郷でもある公爵領の街の中に入ると街並みも綺麗で民達も活気があり、始めて見た獣人の人達も割と多く住んで居て各店先にも人でごった返していた。


「わぁ~、ここがお母様の故郷でもある公爵領の領都ですか。お爺様が治めている街なのね、随分と活気があるのね」


エリナは馬車の窓から街並みと民達を見て感動する。


「そうですね、公爵領は国境に面している広大な領地でもありまして、隣国の一つの獣人の国とも交易がありますが、それ以外でも国境が接している国々とも交易をして儲けていますし、耕作地帯もあるので可なり豊かな領地ですよ」


「そうですか、あのクズにも資金援助していたくらいですもの、裕福なはずです」


エリナは思い出すだけで胸糞悪い元の父親にも資金援助できた理由が理解が出来た気がした。


「まぁ、エリナ嬢のお気持ちは察しますがね」


ルディエンス伯爵はエリナが口にしたクズと聞いて、クズと同じ立場の父として何んとも言えぬ複雑な心境になる。


 馬車で街の街路をゆっくり走り一時間後に公爵邸の門扉に着くと門番の衛兵にエリナが冒険者証を見せると、直ぐに馬車と護衛騎士達を門の扉を開けて中へ通してくれた。


 広い庭園の真中の遠路を通り、三階建の豪勢な屋敷の玄関前に馬車が停まると若い夫婦が玄関の前で出迎えてくれた。


 ルディエンス伯爵の馬車の扉を御者が開けると先にルディエンス伯爵が降りて、次にアランが降りてからルディエンス伯爵がエスコートしてエリナが降りて最後にコランが降りる。


「これはケイディス様とカレン様、出迎えありがとうございます。来る途中で盗賊に襲われた際にエリナ嬢に助太刀頂いて、助けてもらった礼に馬車でお送りした次第です」


「そうですか、それはありがとうございます。君がエリナかい、初めまして公爵家の長男のケイディスです。隣にいるのが妻のカレンだよ、よろしくね、しかし、エリナは姉にそっくりだね」


「エリナです。この度はお世話になります。え~と、一応お兄様と呼んだ方が良いのでしょうか」


「アハハ、そうだね、一応義理の兄になるからね、僕はまだ18歳だからね。叔父様と呼ばれるよりはお兄様の方が良いな」


「そうですか、お兄様、お姉さま、これから五歳のお披露目会が終わるまで、お世話になります」


「うん、エリナの部屋は姉のレイミナが使っていた部屋にしたからね、その方が良いかなと思ってね」


「本当ですか、嬉しいです。お母様の想い出の部屋に泊まれるなんて最高です。あの私の従魔も一緒でも構いませんか」


「あぁ、勿論だよ、父上から賢い従魔だからエリナと一緒に泊めても問題ないと聞いているからね」


「あのエリナさん、私もこの子を撫ぜても良いですか、凄く毛並みが良いので撫ぜたいのですか」


妻のカレンがコランを見てモフモフしたくてウズウズしていた。


「はい、お姉さま、優しく撫ぜて下されば大丈夫ですよ」


「ありがとう、わぁ~、凄く気持ちいいかも良いわね、このモフモフ感が何とも言えないわ」


「お姉さまもモフモフが好きなんですね」


「えぇ、王城に住んでいた頃は猫を飼ってましたけど、流石に嫁ぐ時に王城に置いてきました。住まいが変わるとストレスで病気になって早死にすると言われてしまったので断念しました」


「あのお兄様、先に騎士の訓練場に連れて行ってもらえませんか、アランが私と剣で模擬戦をしたいと申しまして私もお手合わせしたいのでお願いできますか」


「あ~、エリナは既に冒険者で実績があるからね、私も興味があるから良いでしょう、カレン悪いけど父上に訓練場に来て貰える様に伝えてくれるかい」


「いいわよ、お義父様も多分見たいでしょうから、エリナさんの実力を実際に確認したいでしょうから」


「うん、それじゃ、案内するね、さぁ、どうぞ中に入って下さい。屋敷の中を通った方が近いからね」


ケイディスは玄関の扉を開けて中へエリナ達を招き入れる。


「ありがとうございます。あっ、君達はここで待機してくれるかい、アランとエリナ嬢との模擬戦が終ったら直ぐに宿屋に向かうからね」


「はっ、畏まりました」


ルディエンス伯爵が護衛騎士達に待機する様に伝えると、護衛騎士の隊長が返事をする。


 エリナは玄関ホールに入ると大きな魔核のオブジェが玄関ホールの中央に飾られていて、義兄のケイディスがエリナに微笑みながら伝えた。


「これはエリナが討伐したジャイアントサイクロプスの魔核だよ、父上が自慢気にエリナの事を褒め称えていたよ」


「あ~、この大きな魔核があの時のですか、私は初めて見ました」


「しかし、間近で見ると本当に大きな、オークションの時は後方の席だったから、それでも大きくは感じたけどね」


ルディエンス伯爵が間近で魔核を見て、改めてその大きさに感動する。


 魔核のオブジェを見た後にそのまま裏へ出ると両サイドに別館の建物が立ち並ぶ中央の回路を通り騎士団の訓練場へ向かう。


 訓練場に着くとエリナとアランが軽く準備運動をしていると、カレンと共にお爺様も訓練場へ姿を見せてエリナ挨拶をする。


「おぅ、エリナか来たか、来て早々に行き成り模擬戦とわな元気で何よりだ」


「あっ、お爺様、ご無沙汰してます」


エリナはお爺様を見て笑顔で手を振る。


 ルディエンス伯爵もお爺様の所に行って挨拶を交してから、息子のアランをエリナ嬢の婚約候補にさり気なく売り込む。


「それじゃ、そろそろ模擬戦をはじめようか、二人とも構えて」


「「はい」」


エリナとアランは向合い木剣を構えて、審判役のケイディスに返事をする。


「はじめ」


ケイディスが模擬戦を開始する合図を出す。


「エッイ」


開始早々にアランが最初にエリナに切り込んでいく。


カーン


エリナはアランの初手を軽く捌く。


 エリナはアランの初手の剣筋が早くて良い剣筋をしていると判断して少し気を入れて捌いてから距離を取り、もう少しアランの剣筋が見たくなり防御に徹する。


 エリナはアランに攻められていても、立っているその場から動かずアランの剣撃を捌き、アランは攻めていても全てを剣で捌かれて剣筋を見極められている事にエリナの強さを実感する。


「エッイ―」


エリナがそろそろ良いかなとアランに一撃を加えて、アランの持っている剣を空へ弾き飛ばした。


「勝負あり、エリナの勝利だ」


「ありがとうございます。僕の完敗です。エレナ嬢に剣筋を完全に見切られていましたね、エリナ嬢に勝つにはまだまだ剣の鍛錬が必要ですね」


アランは改めてエリナ嬢の強さを体験して、まだまだ自分には鍛錬が必要だと素直に実感する。


「ありがとう、でもアラン様の剣筋はなかなかのものでしたよ、私と一緒に鍛錬してる衛兵の人達とはレベルが断然上でした。良い剣筋を見させて貰って良かったです」


「アハハ、エリナ嬢の実力は大したものだよ、魔法だけでなく剣技も素晴らしいとは末恐ろしいですね、いずれアランが冒険者になったらパーティーを組んで欲しいですね」


アランの父親のルディエンス伯爵がエリナを称賛して、ぜひ剣聖のスキル持ちのアランの嫁にしたいと惚れ込む。


「うふふ、それまでにアラン様が鍛錬を積んでもっと強くなっていれば、パーティーを組んでも良いですよ」


エリナも本格的に冒険者をするにはパーティーを組むのは必須だと考えているので、アランもパーティーメンバーの候補に入れる。


「僕も冒険者になったらエリナ嬢とパーティーを組めるようにもっと鍛錬して実力を認めて貰える様に頑張るよ」


アランも冒険者になったら、ぜひエリナと一緒にパーティーが組みたいと純粋に思った。


「それでは公爵閣下、またエリナ嬢のお披露目会の時にお邪魔しますので、例の件も考えておいてくださいね」


「あぁ、そうだな条件としてはエリナと冒険者パーティーを組めたら考えよう」


「あぁ、なるほどそれは良いですね、それでは失礼します」


ルディエンス伯爵は公爵閣下に丁寧にお辞儀をしてから、侍女に案内されて息子のアレンと共に、表玄関で待機している馬車に向かう。


「さぁ、エリナおいで、ヨイショ、う~ん、エリナも随分と成長したの」


お爺様はエリナが寄ってくると抱きかかえて成長ている事を重みで実感する。


 お爺様はエリナを抱きかかえたままリビングに向かい、久しぶりにエリナに会ってみてますます成長して一人娘のレイミナに似てきた孫との触れ合いを嚙みしめる。

お読み頂きありがとうございます。

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