子爵様の娘のフランナの病を完治させた後にスタンピートに挑む。
この作品を選んで、お読で頂き、ありがとうございます。
この物語はフェイクションです。
物語中の世界観は独自の世界観で書いておりますので、法律、慣習、習慣、常識等に異質な部分が多々ありますが、其れ含めて楽しんで読んで頂きたいと思います。
子爵家の屋敷の客間でエリナは侍女に寄って湯浴みさせられて、部屋着用のドレスを着せられてからお茶菓子を出すと侍女たちは退室する。
エリナは久しぶりに美味しいお茶と菓子を頂きながら、コランとハクランとモフモフをして一休みしていると子爵様が訪れて娘のフランナの部屋に案内された。
「エリナ様、娘のフランナと会って頂けないですか、もちろん従魔もご同行頂ければ幸いですけどねけ」
「はい、分かりました。ハクラン行くわよ、コランもおいで」
エリナはコランを抱き上げて、ハクランと共に子爵様と共にフランナの部屋へ向かう。
コンコン
「ミランダ、エリナ様を連れてきたよ、入るぞ」
「はい、貴方、どうぞ」
子爵様の妻のミランダが返事をする。
「ようこそ、エリナ様、お越し頂き感謝致します。どうか娘のフランナの話し相手になって頂けませんか」
妻のミランダは丁寧にエリナを応対して、ベッドの脇にある椅子から立ち上がる
「失礼します。エリナと申します。フランナ様ですか、お加減はいかがですか」
「ありがとう、そうですね、身体が思う様に動かないです」
「そうですか、フランナ様、チョッと鑑定させて貰いますね」
「えっ、鑑定ですか、はい、どうぞ」
「では失礼しますね」
サラナはフランナを鑑定すると魔力回路異常と鑑定された。
「子爵様、フランナ様は魔力回路異常となっている様ですけど、お医者様はそれも分からなかったのですか」
「魔力回路異常ですか、それは難病指定されています。何て事だ。直すには王城の魔術師団長クラスではないと直せないと言われてます」
「そうなのですか、私でも直せそうなんだけど試していいですか」
「えっ、でもかなりの魔力量が必要とされてますが、それこそ異空間収納を自在に扱えるくらいに、あっ、エリナ様はそう言えば使えましたね」
「うふふ、今の段階なら私でも直せると鑑定に表示されてます。これ以上酷くなると流石に無理ですけど」
「貴方、エリナ様にお願いしましょう、それで完治するのならお願いします。これ以上苦しむ姿を見たくありません」
「そうだな、エリナ様お願いします」
「はい、では早速やってみましょう、フランナ様両手を出して貰えますか」
「はい、お願いします」
「それではフランナ様の左手から魔力を流しますのでリラックスしていて下さいね」
「はい、分かりました」
エリナはフランナの両手をお互いに軽く握り、目を瞑り魔力右手から流す。
エリナがフランナの左手から魔力を流すとエリナの身体から魔力が放出されて白く輝き出して、その白い輝きがフランナの左手から徐々に包み込むようにしてフランナの身体全体も輝きだす。
フランナの魔力回路はお腹の付近で詰まっていてその先で分断されていたので、まずは詰まった箇所の詰まりを解消してから分断された箇所へ魔力回路を修復しながら伸ばして繋ぎ直した。
「ふぅ~、終わった」
エリナは魔力回路の修復が終わると、直ぐに両手を離して床に座り込む。
「エリナ様、大丈夫ですか」
「はい、流石に疲れました。少し休ませて下さい」
「それではチョッと失礼しますね、ソファーまで運ばせて下さいね」
子爵様がエリナを抱きかかえて、ソファーまで運んで座らせる。
「あっ、ありがとうございまます」
「うっんん~、お母様、物凄く気分が良いです。なんかお腹がすきました」
フランナは上半身を起こして背伸びをしてから母親にお腹が空いている事を伝える。
「フランナ、顔色もいいわ、それじゃ、直ぐに消化の良いパン粥を作ってくるわね、エリナ様、ありがとうございます」
「フランナ、加減は良いのか」
子爵が改めて娘のフランナに確認する。
「はい、身体が動きます。今まで重く感じていたのが嘘みたいです。エリナ様ありがとう」
「うふふ、それは良かったです。でもリバビリは必要だから、ゆっくり焦らずに身体を動かす様にしてくださいね」
「はい、分かりました」
フランナは両手を握ったり開いたりして、思い通りに動く事に喜びを感じた。
「本当にありがとう御座います。しかしエリナ様は本当に四歳の子供とは思えないほどしっかりしてますね、凄いとしか言いようがないですよ」
「アハハ、そのくらいシッカリしないと生きていけなかったのです。その辺は察して頂きたいです」
「あ~、それだけ過酷な環境だったという事ですか、エリナ様の父親は本当に許しがたいですね、直ぐに公爵様にエリナ様の現状を手紙に記して送らせて貰います。では娘の事をよろしくお願いします」
子爵様は部屋を退出して、自分の執務室へ向かう。
「わぁ~、可愛い、この子はエリナ様のペットなのですか」
「この子は私の従魔よ、白狼の子供よ可愛いでしょう」
「はい、従魔ですか、ではそちらの大きい白狼さんの子供と云う事ですね」
「そうよ、この子達はいい子だから嫌がる事さえしなければ大人しいわよ」
「撫ぜても良いですか」
「コラン良いわよね」
「撫ぜるくらいならサービスします」
「撫ぜるくらいなら好いそうよ、はいどうぞ」
エリナがコランをベッドの上に乗せるとフランナがコランの頭を撫ぜる。
「わぁ、モフモフだ。気持ちいいかも」
「フランナ様も分かる。モフモフは最高よね」
エリナもハクランの背中を撫ぜる。
しばらくしてから母親のミランダがパン粥をお盆に乗せて持って来てフランナに与えると、フランナは美味しそうに食べておかわりして二杯も食べると、ミランダは食欲が出た事を喜ぶ。
子爵は自前の衛兵達10名に厳戒態勢を取るように指示だして、東側の門の守備を固める様にしてスタンピートに備える。
そして三日後にスタンピートが発生して、規模的には800体くらいの魔物たちがルーデンスの東側の森から突進してきた。
街の中にスタンピートが発生した鐘がカンカンと鳴らされて、街の民達は西側の門の近くの広場に避難をして衛兵が5人で警護に当たる。
子爵様は東の門の防御壁の上に上がり陣頭指揮を執り、門の外ではギルドマスターのボウガンが先頭に立ちBランク以上の冒険者パーティー58人と共に迎え撃つ態勢をとる。
エリナは子爵様の隣でハクランの背に乗って状況を見守り、決して参加しない様にギルドマスターから念押しされて言われた。
しかしエリナは状況によっては参戦する気満々で、ハクランと念話で相談しながら作戦を練り、コランは万が一に備えてフランナの傍で守ってあげる様に指示をしている。
エリナは母の形見の魔法の杖の短いものを持って、何時でも魔法が放ち援護が出来る様に待機し、ハクランは竜巻砲を何時でも放てるように待機している。
子爵様から冒険者用の装備服を新調して貰い、他にも部屋着用のドレスと下着なども沢山新調して貰って、食事もハクランとコランの分まで至れり尽くせりして貰って感謝している。
スタンピートの先頭の集団が見えた時に弓術師のよる一斉攻撃が始まり、次に魔術師による魔法攻撃が始まり、ある程度のも魔物が倒れたがそれでも数が多かった。
「ダメね、それでは私めが怒りのファイヤーボール」
エリナが怒りのファイアボールを先頭集団の端から端まで満遍無く5発放つと巨大な青白い炎の塊が魔物達の先頭集団に向かって行く。
青白い炎は勢いが衰えず次々と魔物を丸焼きにして、後方の魔物まで丸焼きにしていき、最後方の親玉の魔物のジャイアントサイクロプスの身体に引火して燃え出す。
「何だ、あの青白い炎の火球は、おいおい、四歳児の放つ魔法じゃないぞ、まったく仕方がない嬢ちゃんだな、オイお前ら今のうちに止めを刺しておけよ」
ギルドマスターのボウガンが青白い炎の火球を放った防御壁の上にいるエリナを見て呆れつつ、冒険者達に止めを刺す様に号令をかける。
「オォー、行くぞ」
冒険者の剣と槍の使い手たちが、サラナの放った青白い火球で燃え上がり藻搔いてる魔物達に止めを刺しに行く。
「エリナ、どうやら私の出番はなさそうですよ、親玉の魔物も燃えていますよ」
「あら、そうなの何か一気にレベルが上がった感じたけど、まぁ、いいか、終わり良ければすべて良しよね」
その20分後には勝利の鐘が街に鳴り響き、民達も避難場所から各々自宅に戻り店を開く準備を始める者や買出しする者などで街は平時に戻っていく。
門の傍で待機していたCランク以下の冒険者達も門の外へ出て魔物達の解体作業を始めて、冒険者も街の商人達もスタンピートの後の魔物素材による好景気に沸く事になる。
街に勝利の鐘が鳴り響いから30分後にエリナはハクランと子爵様と共に、冒険者ギルドの二階のギルドマスターの執務室のソファーに座り、ギルドマスターのボウガンが来るのを待っていた。
「お待たせいたしました。子爵様、今回の成果は上々ですぞ、誰かのお陰で被害も出ずに済みましたわ、嬢ちゃん冒険者証を出しな」
「えっ、何でまさか約束破ったから没収するんですか」
「違うわ、あんな魔法を放つ冒険者をいつまでもEランクにしておけるはずがないだろうが、Dランクにランクアップするんだよ」
「えっ、本当ですか、ヤッター、はい、冒険者証です」
エリナは喜んで万歳して、その時についで異空間収納から冒険者証を出して直ぐにギルドマスターのボウガンに手渡す。
「はぁ~、本当に嬢ちゃんは4歳児なのかよ疑いたい気分だよ、異空間収納も自在に使えるし、俺でも出来ないだぞ本当に」
ボウガンはサラナから冒険者証を受取ると呆れる様に溜息を吐く。
それから近くに居た秘書にサラナの冒険者証を預けると、秘書の女性はランクアップの手続をしてもらう為に一階の事務所へ向かった。
「まぁ、それにしても今回の親玉のジャイアントサイクロプスの魔核はかなりデカいな、幾らで値が付くか分からんな、それは一応嬢ちゃんの物だから楽しみにしてな」
「しかし、あんなデカいのは初めて見たが、異常変異でもあったのか」
子爵も防御壁の上から見た時は驚愕していた。
「さぁな、俺だって同じだぜ、あんなのに防御壁が一撃喰らったら、一溜まりもなく破壊させられていたな、まさに嬢ちゃん様様だよ」
「うふふ、一応私の保証人はギルドマスターのボウガンさんですからね、期待に応えただけですわ」
エリナは胸を張ってギルドマスターのボウガンに言う。
「アハハ、違いねえな、その調子でこれからも期待に応えてくれよ嬢ちゃん」
ギルドマスターのボウガンも高笑いしてエリナを褒める。
それからエリナはDランクに上がった冒険者証を受取り子爵様とハクランと共に馬車に乗り、子爵邸を戻りスタンピートの祝勝会を開き美味しい料理に舌鼓を打つ。
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