異世界転生して伯爵家の長女エリナと名付けられる。
この作品を選んで、お読で頂き、ありがとうございます。
この物語はフェイクションです。
物語中の世界観は独自の世界観で書いておりますので、法律、慣習、習慣、常識等に異質な部分が多々ありますが、其れ含めて楽しんで読んで頂きたいと思います。
ポン・ポン・ポン・ピー・・・
大橋 絵里は享年15歳の若さでこの世を去りました。
難病を患い10歳の頃から徐々に身体か細っていき食事も段々と食べられなくなり、原因不明の病にかかり入退院を繰り返して今息を引き取った。
絵里は死ぬ間際に色んな後悔というかやりたい事が何一つできずに健康で丈夫な身体だったら何でもできたのかなと思い、可愛い白い犬とか小さくて可愛い動物たちとモフモフしたかったなとか、そんな事を考えながら意識がなくなっていった。
「ウンギャー、ウンギャー、ウンギャー・・・・」
「奥様、元気な女の子ですよ、奥様と同じ金髪の可愛い子です」
「はぁ、はぁ、そうなの、私と同じ金髪なのね、良かったわ、はぁ、はぁ・・・」
母のレイミナは産まれた私を横に置かれると優しく頭を撫ぜてくれた。
【あれ、私ひょっとして転生したのかな、金髪って言ってたわよね、外国なのかな、何だか眠くなったから寝ようっと、すぅ、すぅ・・・」
「ウンギャー、ウンギャー・・・・」
【お腹空いたよ、何とかしてよ、泣く事しか出来ないよ】
「あら、エリナったら、お腹が空いたのかな、今お乳を上げるわね、はい、どうぞ」
「はむ、チュウ、チュウ、ゴクンゴクン・・・・」
【お乳か、意外とチョッと甘味があって美味しいかも、お母さんの顔がまだ良く見えないけど、美人そうだけど】
「まったく、旦那様ったら、乳母も用意しないなんて何て薄情なんでしょうか、公爵家に頼んで手配いたしましょうよ、奥様」
「ダメよ、サマンサ、そんな事をしたら主人の立場が悪くなるわ、今は我慢しましょうね、それにこの子には私のお乳を飲ませて上げたいの」
「奥様、なんてお労しいのですか、本来ならあの旦那様にはもったいないお方なのに」
【あれれ、ひょっとして夫婦仲があまり芳しくないのかな、お母様は優しい感じだから、父親の方が問題有りなのね、私も警戒しなくちゃ、あれれまた眠くなったわ、寝よう】
「ゲップ~、すぅ~、すぅ~・・・・・・」
「うふふ、エリナったら眠ちゃったわね、可愛い子ね」
母のレイミナは我が子を抱いたまま頭を撫ぜながら、しばらく寝顔を見つめる。
三ヶ月が過ぎた頃には目がハッキリ見えてきてお母様の顔を見て、予想通り金髪の美人さんでしたがどことなく儚さを感じたエリナであった。
目が見えてくると、部屋の灯りを灯す蝋燭にお母様が魔法で火を付けるのを見て、エリナはその様子をじ~と見て魔法が使える世界に転生したのだと知り内心喜んだ。
10か月するとハイハイで動けるようになると屋敷内を探検してうろうろすると、お母様とサマンサの二人で私を探す事が多くなる。
しかし、10ヶ月も経つのに父親の姿を見た事がなかったので、これは夫婦の仲が良くない事が確定したとエリナは思い、父親への警戒レベルがMAXになった。
生後一年が経つと祖父である公爵家の当主ディスラン・ユリシアナ様がお忍びで娘でもある母のレイミナに会いに来た。
「彼奴はこの屋敷に近寄らんのか、娘を孕ませてお終いとはいい度胸をしておるな、サマンサ、何かあれば直ぐに連絡を寄こしなさい」
「はい、畏まりました」
「儂の親友の頼みだからレイミナを嫁がせたというのに、親友が事故死した所為でこの様か、レイミナ戻ってきても良いだぞ、お前と孫の居場所なら儂がつくるぞ」
「いいえ、もう暫く待ってみます。それでも私に心を開かなった時は諦めます。ただエリナの事もありますから、もう少し時間をください」
「おぉ、エリナは母親似で金髪で美人ちゃんだな、きっと素敵な令嬢になるだろうな」
「あぶ、あぶあぶぶ・・・」
【いいえは私は令嬢なんぞになりません、目指せ冒険者ですよ】
エリナは赤ちゃん言葉で令嬢になる事を否定する。
「さてと、レイミナ、儂はそろそろ帰るが身体は大切にするんだぞ、レイミナは決して身体が丈夫な方ではないのだからね、サマンサ、レイミナとエリナをよろしく頼むぞ」
「はい、公爵様、お任せください」
エリナを抱いたレイミナとサマンサは公爵様がお忍び用の馬車に乗って、そのまま帰路に就くのを見送る。
エリナは祖父の公爵様が来訪してから二ヶ月が経過した頃には歩けるようになって伯爵家の書庫に入り浸る様になった。
エリナはなぜか文字が読めたので魔法を早く使える様になりたくて、魔法の本を読み漁り魔法の基礎である魔力循環から鍛錬をする必要があると知る。
【うん、なるほど魔法の使えるようになるには魔力循環と魔力操作ができる様にならないとダメなのね】
エリナは魔法の初級編の最初に書いてあった魔力循環から練習を始める。
「エリナったら、またここにいるのね、あら魔法の初級編を見てるの、エリナは魔法に興味があるのね」
母親のレイミナはエリナを抱き上げて質問する。
「あぶ、あぶ」
エリナは顔を上下に振り答える。
「まぁ、エリナは天才なのかしらね、もう言葉が理解できるのね」
「あぶ、あぶ」
サラナはまた顔を上下に振って答える。
「そうなの、なら、魔法の初級編も一緒に持って行きましょうね」
レイミナは魔法の初級編を異空間収納に仕舞う。
「あぶ、あぶ、あぶ」
【えっ、今の異空間収納よね、お母様教えて欲しいわ】
「うふふ、あら異空間収納に興味あるのね、もう少し大きくなってからね、今は流石に無理よエリナ」
「あぶー、あぶ、あぶ」
【え~、そうなの、絶対に覚えたい魔法の一つよね、便利だし】
それからエリナは眠っている時以外は魔力循環の鍛錬を始めて、時々疲れて眠り魔力回路と魔力袋を鍛える。
そんな日々を過ごして一年が経つと言葉もある程度話せる様になって、母親のレイミナに異空間収納の魔法を教わる。
「お母様、魔力量もそれなりにあるから異空間収納の魔法を教えてよ」
「うふふ、本当にエリナは天才かもね、異空間収納の魔法ね、そうね、イメージするのよ、空間に一つの部屋がある感じのね、そこに一つ扉があって、扉を開けて物を仕舞うイメージかな、出す時はその逆かな」
「そんな事で出来るの、そうかイメージね、やってみる。それじゃ、この紙を仕舞ってみる」
エリナは頭の中にイメージして一つの箱をイメージして扉を開けてその紙を仕舞うイメージすると成功した。
「あっ、お母様、出来ました」
「えぇ、出来たわね、エリナはやっぱり天才ね、今度は仕舞った紙を出して見て」
「はい、分かりました」
エリナは今度は箱から仕舞った紙を扉を開けて出すイメージをするとまた成功する。
「お母様、出せました」
「うふふ、本当に天才ね、仕舞うのが出来ても出すのが意外と難しいのに、たいしたものだわ、でも今日はそのくらいにしましょう、異空間収納の魔法は魔力を結構消費するから、使い過ぎには注意してね」
「はい、分かりました。もっと魔力量を増やす鍛錬をします」
エリナはその時点で火魔法と水魔法と治癒魔法も使えるようになっていた。
エリナが魔法の鍛錬とお母様から魔法の使い方を学び楽しい日々過ごし、二歳の誕生日を迎えてお母様とサマンサの三人で祝宴した。
しかし、そんな楽しい日々も誕生日から半年経った頃に、母親のレイミナが病に倒れて寝込んでしまいエリナの三歳の誕生日の翌日に帰らぬ人となった。
その時祖父の公爵様がお忍びで見舞いに来ており、孫のエリナに誕生日祝いにドレスの贈り、その翌日に母のレイミナの容態が急変してをエリナは祖父と共に看取る事になった。
レイミナが亡くなった事を知り直ぐに父である伯爵も飛んで帰ってくると、祖父の公爵様にきつい一発を喰らって後方に吹き飛んだ後に土下座をして謝る。
「お前はいったい、どこで何をしていたんだ。レイミナが病で倒れていたんたぞ見舞うことすらせんで、この愚か者めがお前にはもう援助を打ち切る。孫のエリナも連れて帰るからな」
「それだけはご勘弁を、エリナは私の娘です。私が責任を持って育てますから、援助の打ち切りだけはご勘弁ください。お願いします」
「ほぉ、責任を持って育てるとはどうやって育てる気だ。今まで放置していたのだろう」
「それは私が傍に居てちゃんとエリナを養育していきます」
「言っとくが愛人をこの屋敷に入れたら即孫を引き取り援助は打ち切る。約束を違えるなよ、今度はお前と愛人の首が飛ぶことになるからな分かっているな、これでエリナの身に何かあったら伯爵家を取潰す」
「分かりました。今度は約束を必ず守ります」
「レイミナの遺体は儂が貰って帰るぞ。これがこれからの資金援助の誓約書だ。サインしろでなければ援助は無しだ」
「分かりました。えっ、これはどういう事ですか、エリナに万が一の事があれば伯爵家は取潰すとなっておりますが」
「当り前だ。お前が信用できる人間なのか娘のレイミナを不幸にしたお前が、嫌なら孫のエリナとサマンサを連れ帰っても良いだぞ、貴様に俺の気持ちが分かるか」
「わ、わかりました。直ぐサイン致します」
父のゼランズは慌てて新しい資金援助誓約書にサインをして公爵様に渡して、公爵様もゼランズのサインを確認して執事に預ける。
「いいな、ゼランズ、エリナも粗雑に扱った時点で引取りに来るかな分かっているな、サマンサ、エリナの事を頼んだぞ」
「はい、畏まりました」
サマンサはエリナを抱きしめて、レイミナの遺体の棺を乗せた馬車を見送る。
サラナは父が帰ってくる前に母の遺品を全て異空間収納に仕舞い、父には渡さずにすべて祖父の公爵様が棺の中に入れて持って帰った事にした。
「なんだ、レイミナの遺品が何もないではないか、サマンサどういう事だ」
「はい、公爵様が全てを棺の中に一部入れて後はお持ち帰りなりました。エリナお嬢様が成人した時に遺品を全て引き渡すという事の様です」
「くそ、あのくそ爺め、まぁ、いい俺は一旦戻るから留守は頼んだぞ」
父のゼランズは愛人の待つ別邸へ戻って行った。
「あの様子ではあてにしない方がいいですね、お嬢様お気をシッカリ持ってくださいね」
「うん、お母様には色々と教わったから大丈夫よ、それに私にはまだサマンサが居るからね、あの人は父でも何でもありません、私にとってただの敵ですから」
エリナは産まれてから初めてこの屋敷に来た父の声だけ聴いて、サマンサの後方に居て顔は一切見ずにただ敵認定しただけであった。
ゼランズは一旦戻り荷物を持って屋敷に戻り伯爵としての執務をする様になり、母のレイミナがしていた仕事を一応引き継いだ。
それからは週に二日は愛人の元で暮らしく五日は屋敷で過ごす二重生活を送る様になったが、父との交流は全くなくエリナも食事も自室で済ませて会おうとはしなかった。
しかし、それから三月後にサマンサも突然倒れて急死してしまいエリナが完全に一人なった時に、父のゼランズはチャンスとばかりに愛人三人と娘を屋敷に呼び寄せた、
ゼランズはサマンサが急死してショックを受けたエリナを愛人でもある侍女の二人に命じて、街の近くの森の中にある小屋に監禁した。
エリナもサマンサが急死したショックで気力もなくなり抵抗する事なく愛人の侍女の二人に連れられて、街の近くの森の小屋で監禁生活が始まる。
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