いつもの日々・終わりの始まり
「すまない××…どうか無事で、、健やかに…」
あぁ、またあの夢だ。
小さい頃から何度も見る、同じ夢。
黒髪を肩のあたりで緩く結んだ青年は、痛ましげに目を細めながら、俺の首に銀色に鈍く光るペンダントをかけた。
「若様、…もう時間がございません。戦線は、既に崩壊目前でございます。」
白髪混じりの初老の爺さんが、目の前の青年に頭を下げて傅きながら重々しくそう口にした。
「分かっている。だが、此処で持ち堪えなければ、全て終わる。北軍が封印を行うまでは耐えてくれ。」
「御意…。我ら東軍、最後まで若宮様と共に…」
青年は頷きだけでそれに応えると、最後と言わんばかりに、俺の身体をぎゅっと抱きしめた。
「…不甲斐ない兄ですまない。どうか、無事で」
そう言い終わると、俺の身体は何者かに抱き抱えられた。みるみるうちに青年の影は小さくなっていく。そして先が真っ暗闇の穴に落とされた途端…
俺はいつものように目を覚ました。
額にはぐっしょりと嫌な汗をかいている。
…ホントに、嫌な夢だ。
「誠兄!起きろーー!!学校遅れちまうぞ!」
「分かってるっつうの!先に行っとけ!!」
「飯残しといてやんないからな!」
そう言って俺より4つも下の生意気なガキが、二段ベッドの上から飛び降りて廊下へとかけて行った。
それから直ぐに、シスターの怒鳴り散らす声が聞こえてきたから、運悪く、ガミガミシスターに捕まったんだろう。
俺が食堂に降りていくと、もう既に殆どの仲間が起きてきていた。
「おはよう、誠。今日も良い一日になると良いですね」
もう80歳近くであろう婆ちゃんシスターが俺を見つけるなり朗らかに笑いかけてくれた。
これが俺の日常。
騒がしくて面倒なことも多いけれど、それでも何処か暖かい…そんな場所だ。捨てられた俺にとって、此処は唯一の居場所だ。
だが、そんな日々は、唐突に終わりを告げた。
皮肉なことに、幸せと不幸の天秤は、必ず釣り合うようにしかできてはいなかったらしい。
学園祭の準備をすっぽかして孤児院に早帰りした俺が見たのは、一面に広がる赤い血と、クリスタルに覆われるような形で、息耐えた俺の家族だった。
皆様、初めましてになりますね。
いやぁ〜、書き始めちゃいましたよ、小説。
思いついた設定そのまま書き始め、全く構成練らずに始めちゃいました♩
やる気がある内はぼちぼちと不定期で書かせてもらうつもりなので、興味がある方は是非。
此処まで一読してくださった皆様、本当にありがとうございました!