禁術
少しグロ表現がありますので無理しないでください
突如現れたリヴァイアサンが首を後ろにしならせると俺に目掛けて叩き付けてくるが何とか避けに避けてダメージを喰らわずに済む。
それからリヴァイアサンの攻撃を建物に隠れつつゴブリン達を倒して近づくと皮が引きはがされて下半身埋められている人がいてマーリンの方を見ると頷きながら言う。
「あれがリヴァイアサンの本体だ」
「あれがか」
異常にデカイ鰐なのに本体は普通の人間で驚いたけどマーリンが懐から鉄で出来ていると思う風車の車輪の破片を取り出して詠唱する。
「我が作り出すのは鋼の風車輪なり! 鉄風車の翼辺!」
そう唱えると鉄風車の破片が風車輪になるだけではなく五個に増えてマーリンは投げる構えを取る。
「ハァ―!」
マーリンがリヴァイアサンの本体に目掛けて風車輪を投げるがリヴァイアサンは海中に潜り水ブレスで撃ち落とす。
続けて俺も鉄風車を唱えて投擲するが同じように撃ち落とされてしまう。
「こうなったら攻撃を避けつつ本体を攻撃するしかない」
マーリンはそう言うと柱の物陰から出て本体に向かい遅れてしまったが俺も本体に向かう。
リヴァイアサンは首を横に曲げて俺達を吹き飛ばそうと思いっ切り大きく振り薙ぎ払う。
「マーリン!」
「嗚呼!」
これだと吹き飛ばされてしまうので急いで懐から隼の羽を取り出して詠唱する。
「「我が力はハヤブサの如くの素早さなり! 隼の羽!」」
回避変化魔法で近くにあった倒れた柱で飛び蹴って避ける。
リヴァイアサンは薙ぎ払いが終わると今度は再び海中に潜り海水を吸い俺たちに目掛けて横一文字に噴き出すと同時に電流を吐き出して俺とマーリンは急いで回避変化魔法を使って柱に隠れる。
「クソ! 全然近づけないぞ」
あまりの強さに苦戦してどうすれば良いかマーリンを見ると少し迷っているが何かを決断して雰囲気を感じさせながら柱に出る。
「マーリン!?」
「すまないが後は任せた」
そう言うと呪詛に近い魔法と詠唱する。
「我が皮を代償に火炎蜥蜴を顕現せよ! 火炎精霊!」
詠唱し終えるマーリンの右腕から全身に火が燃え上がると炎の巨人が出てきて辺り一面が炎に包まれる俺は走って名を叫ぶ。
「マーリン!」
俺の体が炎に包みこまれるとリブロムの声がした。
〔これで十分だな我が物語の終演!〕
リブロムが魔法を唱えるとまた視界が白くなって気づけば宿泊所に戻っていた。
「響、僕たち確か……」
翔が信じられないものを見たように確認する。
「リブロム、お前の魔法は本の中に入れるのか?」
俺は今まで起きた事をリブロムに聞くと頷いた。
「半分正解だが半分外れだ、詳しく言えば俺の魔法は人々が書かれていた史実を追体験できることだ」
自分の右腕を見ると醜悪さはなく普通の右腕になっていた。
「だけどその右腕も明日に日記の右腕になるからな」
あの感覚を味わうと少し思うと吐き気が込み上がって来て急いでトイレに入って吐く。
「ウェ!」
追体験した不快感が溢れてまだ吐いてしまう。
しばらくしてようやく吐き気が収まって元の部屋に戻る。
「大丈夫? こっちはめまいがするよ」
「私も」
如何やら二人もあの感覚を思い出したらしい。
「情けねぇな」
リブロムは慣れているがこっちは何体も生贄にした所為でまだ感覚が残っていた。
「取り敢えず、お前らはこの本を読み続けて俺を読み終えると世界の真実が記されているぜ」
一応リブロムを開くと徐々に文字が現れてくる。
[リブロムの書…狂人たちの史実
狂人の前日譚
組織図
魔物辞典
魔法大全
とある魔法使いの遺言]
他の章があるが追体験をしないと進めないらしい。
「ちなみに俺を読み終えたものはだれ一人も居ない、理由はトウキョウ王国が何かを隠しているが明日はもう早いからもう寝な」
俺たちは儀式が控えているからベッドに入って寝ようとするがリブロムが俺を呼ぶ。
「お前は俺を広場に連れて行ってくれ」
リブロムをカバンに入れて広場に向かう。
着くと満月が出ていて初代トウキョウ王の像が月の光を反射して形が見えているがリブロムは少し懐かしそうに呟く。
「お前はこれで良いのかよ」
「何か言ったか?」
「何もないぜ、それよりもう戻ろうぜ」
他の人に見つからないように気を付けつつ宿泊所に戻って儀式に向けて早く寝る。
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