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お題シリーズ4

歌を歌うという事

作者: リィズ・ブランディシュカ



 ステージに立つ時はいつも緊張するわ。


 私という存在を、観客たちは、彼等は受け入れてくれるだろうか。という風に。


 味方になってくれる時は楽しいけれど、ホールいっぱいに満ちた者達が敵になるのは恐ろしい事だもの。


 売れるようになってからも時々、下手だ下手だと罵詈雑言をなげつけられていたへっぽこ時代の悪夢を思い出してしまうわね。




 私にとって歌を歌うという事は、自分を表現するという事。


 芸術とは、これまでに見たもの、聞いたものでできていると思うから。


 歌を歌うという事は、私を表現すると言う事と同じなのだ。


 だから私は、私を思う。


 歌を歌う時には、目いっぱいに私という存在を深く追求する。


 私は何で、何を思っていて、どこからきて、どこへ向かうのか。


 それを追求して、高みにのぼった時。


 私は一流の歌手になれるのだろう。


 その時のことを考えると、胸が高鳴ってしょうがない。


 だから私は、日ごろから自分を豊かにするため、様々なものを見て、触れて、聞いてきた。


 それらが全部、私の歌になるのだから。


 私の外にあるものを私なりにかみくだいて、この体の中にとりこんでいく。





 大勢の人達が私の歌に耳を傾け、私の世界を共有し、心を動かして拍手をならす。


 一つになれない人の心が、一つになれたと錯覚するその瞬間が、私はとても待ち遠しい。


 歌で表現しきった私という存在を、多くの人達が受け入れてくれるその瞬間は、何物にも代えがたい高揚感をもたらすのだろう。




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