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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

公爵令嬢は悪役であることを知らない


 あら、どうしたのでしょう?

 思い切り転んでしまわれた様ですけれど大丈夫かしら?


 えっ?私のせいですの?

 私、立っていただけなのですけど……。

 触れてもいないと思うのですけど……。

 

 あっ、去って行ってしまわれたわ。

 膝を擦りむいていらしたみたいなのに大丈夫かしら?



*****



 あら、先日お転びになった方だわ。

 膝はもう大丈夫そうね。

 良かったわ。

 なんだか私が原因だったみたいなので心配しておりましたの。


 えっ?教科書を切り裂かれて?

 まあ酷い。誰がそんなことを……。


 えっ?私ですの?

 どういうことかしら?全く身に覚えがないのですけれども。

 私にそっくりな方がいらっしゃるのかしら?


 えっ?間違いなく私なのですか?

 そうなのですか。見ていたと……。


 身分が上だから怖くて止められなかったと。

 でも今は他の方々がいる場所だから勇気を出しておっしゃったと。


 そうなのですね。

 困りました。

 私は本当に身に覚えがないのです。


 あら?驚いた顔をなさってどうなさったの?

 まだ早いってどういうことですの?

 あっ、お待ちになって!


 ……行ってしまわれたわ。

 急にどうなさったのかしら?


 あっ、殿下、いらっしゃったのですか?


 どうしましょう?

 私、何かの病気なのでしょうか?


 心配ないと言われましても、あの方は私が切り裂いている所を見たとおっしゃったのですよ?

 

「テンセイシャ」ですか?

 それはどういうものですか?


 気にしなくていいのですか?

 わかりました。殿下にお任せすればよろしいのですね?


 もちろん、信じておりますわ。



*****



 殿下、もう一曲踊るのですか?

 でも同じ方と3回連続で踊るのは夫婦だけですわよ?

 えっ?来月結婚するから問題ないのですか?

 ても、はしたないと思われないでしょうか?

 あら、皆さまから拍手が。


 なんだかお断りする雰囲気ではございませんわね。

 喜んでお受けいたしますわ。



 ふふっ、私たち、晴れて夫婦になるのですね。


 はい、とても嬉しいです。


 あっ、ありがとうございます。

 私も殿下のこと、その、ずっとお慕いしております……恥ずかしいですわ。


 そうですね、色々ありましたわね。


 学園祭の劇が楽しかったですわ。殿下は本当の王子様だけあってとても素敵でした。


 魔術大会も剣術大会も殿下は圧倒的な強さで、たくさんのご令嬢が憧れの目で見ていらっしゃいましたわね……あら、そういえば、あの方はどうなさったのかしら?私が教科書を切り裂いたとおっしゃって……


 えっ?あの後すぐに転校なさったのですか?

 そうなのですね。私、存じ上げなくて。

 お元気でいらっしゃるのかしら……。


 えっ?そうですわね、きっとお元気ですわよね。


 はい、せっかくの卒業パーティーですものね。

 楽しいことを考えますわ。


 もちろん殿下のことですわ。


 ふふっ、ありがとうございます。

 私、とても幸せですわ。




いつも誤字報告ありがとうございます。

とても助かっております。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 主人公、無自覚に悪いことをしていた……訳ではなくて、本当に何も知らなさそうですね。 実は被害者が嘘をついていた……?
[良い点] むちゃくちゃ新鮮でした! 読み進めているときは「え、なになに?」と不思議に思い、そしてタイトルに戻ったら、「そういうことかーっ!!」と納得しました。 とっても面白かったです!! ありがとう…
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