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50 右手、思ったより問題ないわ。これ

わたしは魔の国に着くと、痛む右手を抑えながらも魔王城の魔王の部屋へと向かった。

そう、そこでは代理の魔王であるアテナが書類の整理をしているはずだ。


城内を駆け回り、部屋の前の扉に着くと、わたしは勢いよく扉を開き、中央の机で書類をにらんでいるアテナに言う。

「アテナ! ちょ、やばいんだけど!」

その声に、アテナは書類から目を離さず、面倒くさそうに口を動かした。

「今度は何の書類?」

「いや、わたし! 魔王様、マミ!」

わたしは、書類を持ってきた秘書と勘違いしているであろうアテナの机を通して対面側に立って言った。

アテナはそれを聞くと、焦り顔を上げて、わたしの顔を見るなり笑顔になった。

「マミ! どうしたの? やばいって……なにが?」

「ほら、これだって!」

さすがに指さしたりなんてしなくても、見ればすぐわかるでしょ。


わたしはそう思いアテナに、訴える。

しかしアテナは、人差し指と親指を顎に添えると、わたしの全身を見て首を傾げた。

「説明してよ……。」

それを聞き、わたしは若干あきれつつも左手で右肩を軽くたたいて言う。

「右腕、取れたんだけど……。義手とかない?」

アテナは「あ~。」といわんばかりの顔をしたかと思うと、少し笑いを交えながら口を開いた。

「あは、それね。」


どうしよう、こぶしで殴りたい……!


と、わたしが左こぶしを構えていると、アテナは慌てつつ言う。

「あ、別に煽ってるわけじゃないよ?! そんなことか~っていう意味なだけで!」

「そんなこと……?!」

アテナの発言を聞き、ついにわたしが左こぶしに魔力を込め始めたところで、アテナは笑顔で言った。

「マミは元々精霊で、体は魔力でできてるから、直せるよ?」

「え……?」

わたしは歓喜と唖然が合わさり、首を傾げた。

その様子を見たアテナは話を続ける。

「だから、マミって体は魔力が元になってるじゃん? つまり、右手の傷口に魔力を集中させれば、右手の一本や二本、ううん、7本くらいなら簡単に治せるよ。」


一本でいいんだけどなぁ……。

治るという事実を知り、余裕が出たところでそんなことを考えているとアテナは顔色を変えて言う。

「ところで、誰にやられたの?」

その問いに、わたしはアテナの言う通りに魔力を操作し、右腕に魔力を集中させながら答えた。

「ラファエルってやつ。」

「あ~、なるほど……。」

アテナは即答で納得したようにうなずいた。


そんなアテナの様子を見つつ、わたしが魔力によって修復することのできた腕を見て喜んでいると、アテナは口を開く。

「前にも一度話題に出したことはあったけど、あいつは正真正銘のバケモンだよ。」

わたしが右腕を動かしながらアテナの方へと視線を送ると、アテナは言った。

「あいつは、この世に四人しかいない4大天使の一人で、4大天使の中でも最強。使う魔法は、次元魔法。」

「次元?」

「うん、あたしが知ってる中では最強の魔法で、どんな防御も効かない。あたしはそれしか知らない。」


「要はヤバい?」

わたしが瞬きを増やして言うと、アテナは深くうなずいてこう言った。

「超やばい。」


そして少し間を開けたかと思うと、アテナは扉まで移動し、扉を開いてから話を転換した。

「そういえば、せっかくここに来たんだし、部下と城内の案内でもするよ。」


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