11 いまのボクなら、だれにも負けない
礼拝を始めて、もう十分は経ってるっていうのに何も起こらない。しかも、礼拝中に目を開けて『魔力可視化』のスキルを使って少しまわりを見てみたけど、この階にいる人で特にそれっぽい魔力の人とかいないし。
てかこれ、1時間続けるとか、頭おかしいんじゃないの!?
足きちぃ。
ボクはそんなことを考えつつも、下を向いたまま、また少し目を開いてみた。
ずっと目を閉じてるの、あんま好きじゃないし。
と、その瞬間。
ボクの目には、黒と水色の入り混じった魔力が映った。
?!
ボクは瑞稀の方を向き、小さな声でこう言う。
「いた。たぶんボク達の少し後ろの方に例のやつがいる。しかも、ザクトさんを殺したやつと同じ。」
瑞稀はそれを聞いた瞬間、180度体の角度を変えて走り出した。
それを見てボクも走り出す。
その瞬間、目当てのヤツ以外は全員がボクたちの前に道を作るようにはけた。国王の近くにいたから、おそらく、ボク達を国王に関係ある人とでも思っているんだろう。
そんなことを思いながらも、ボクは剣を抜き構えながらそいつの方へ近づく。
あいつ、ボク達と同じようなローブを……。
近づいても、そいつのフードの下の顔は見えない。まあ、それがどうしたってこと。
ボクがこうして走っていくと、瑞稀は途中で止まって杖を構えた。
なるほどね。
思いつつもボクはそれを避けるようにして走っていく。
すると、ボクの後ろから炎魔法があいつの方へ飛んでいく。
これですきができたところでボクが斬る!
そう考えて、ボクは地面と水平に斬るように剣を構えて、聖炎魔法があいつにあたるタイミングに合わせて斬りかかりに行く。
あいつは、横に謎の黒い穴を作ってそこから細い剣を取り出して、プランと持っている。
あいつ、なめてんの?
ただ、あいつの目の前にはもう聖炎魔法が迫ってきている。
どうやら、ボクが斬るまでもないみたい。
ボクがそう思いながらも、一応構えて走って言ったその瞬間、聖炎魔法は左斜め上へ曲がった。
ど、どういう事?!
瑞稀は曲げるわけないし……まさかあいつが……!
こうなったら斬るしかない!
ボクは構たままあいつの前へ行き、地面と水平に右から斬りこむ。
しかし、あいつはそれを後ろに避け、剣を振り下ろしてきた。
ま、そう来るのは『剣の読み』のスキルでそれはお見通しなんだけどね!
ボクはそれを難なく右にかわし、あいつに斬りかかる。
とその瞬間、ボクがかわした相手の剣が床にあたり、床にひびが入った。
う、嘘でしょ!?
このコンクリートみたいな素材で作られた床が壊れるとか……。
今までいろいろな経験をしてきたボクでも、流石にこれにはビックリし、一瞬たじろいでしまった。
それでも、ボクは剣を止めず斬りかかる。
しかし、相手はそのたじろいだ一瞬のすきを見逃さず、ボクのお腹に蹴りを入れてきた。
「ガハッ!」
剣の読みでは、相手の剣がどう動くかしかわからない。
つまり、完全に油断していた。その無防備なボクのお腹に、ものすごく重い蹴りが入った。
その蹴りの強さはすさまじく、ボクの体は宙に浮いたのが、自分で分かった。
そのままボクの体は天井まで吹き飛ばされ、ボクは天井に背中を打ち付け、地面に落下した。
落下の衝撃で動かない体の首だけを動かし、瑞稀の方を見ると、瑞稀は魔法を放っていた。
しかし、相手はそれを大きく跳躍してかわした上で、天井を蹴り、近づき、瑞稀を魔法で壁まで吹き飛ばした。
そのまま瑞稀はもう動けるような様子ではない。
そして、敵を見ると、敵はこちらに背を向け、勝ち誇ったように歩き去ろうとしている。
……。
くそ……!
まだ、あきらめたく……ない!
ボクは、血の流れた背なかを少しかばいながらも、全力で立ち上がった。
そう、まだ勝負は終わっていない!
そう思った瞬間、魔力が湧いてきたのが自覚できた。
ボクはそのまま一歩を踏み出す。
ボクが一歩を出した瞬間、ボクはもう相手の目の前にいた。
いまのボクなら、だれにも負けない!
ボクは相手に斬りかかる!
とその時、相手は振り向き、顔に刃が当たるギリギリのところで、ボクの刃を剣で止め、蹴りを入れてきた。
「うっ!」
その蹴りによって、ボクの体は今度は後ろに吹き飛ぶ。
しかし、今度は、ボクは壁にぶつかる前に、自分の力で止め、体の態勢を整えたうえで剣を敵に向けた。
そしてこういう。
「殺してやるよ、あんた。」
そう、それはザクトさんのかたき討ちってわけでもある。
だからこそ、ここでは勝たなきゃいけない!
ボクは、決意を固め、剣に魔力を込めた。
その瞬間。
この階にいた人が国王も含め皆階段から下へ降りたというのに、一人の人が階段から現れた。
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