46 誰だかわかんねぇ~……。
「はっ!」
わたしは目が覚めてからすぐに、部屋に備え付けである時計へ目をやった。
すると時計は、短い針は5、長い針は10を指している。
つまり、
「5時50分?!」
やばいやばいやばい!
なにせ6時から礼拝で、6時を過ぎたら1時間、聖堂には入れてくれないらしいし……!
急ごう!
わたしは『作り手』のスキルで作った寝間儀を、すぐに普段着と着替え、一応のためその上から顔の認識不可の魔法がかかっているフードを羽織って、宿を出た。
わたしが宿を出ると、町の中は人通りがものすごく少ない。
まぁ、朝早いからっていうのもあるんだろうけど、きっと礼拝があるからだよね!
そんな礼拝の開催地である聖堂にわたしが付いたのは、聖堂の時計で5時59分の時だった。
わたしはそんな時間を指す時計を横目で見ながらも、礼拝中に国王様が出てくる3階へ、聖堂内の人ごみの中をかき分けて進んでいく。
わたしが3階に着くと、そこには周りとは一段上で女の人の像に手を合わせている豪華絢爛な服を着た、恰幅のいいおじさんと、その周りを一段下で取り囲んでいる、一段上の人までとはいかなくても、これまた豪華な服を着ている数人の人と、薄いピンクの、品のあるローブをしてそのフードをかぶっている二人組がみんなして手を合わせていた。
この感じからすると、一段上にいるのが国王で、周りにいるのは貴族とか護衛の人とかだろうなぁ。
なんて、わたしがフードの中と人ごみの隙間からその人たちの後姿を見ていると、ふと、横にいた人がこちらを向いた。
「あんた、頭下げんかい!」
そこにいたおばさんは、そう言ってわたしの頭の角度を下げた。
ああ、確かに!
わたしは頭を下げたまま目を閉じ、手を合わせた。
どんな見た目の人が、いつ襲うのか、それもわかんないから、正直不安なんだよねぇ。
ていうか、アテナ、似顔絵くらい持ってないのかな。
ま、そんなこと今更どうでもいいや。それより今は、誰がそのアテナの言っていた人なのか見つけるのが優先!
わたしは目を閉じたまま、辺りの魔力を感知した。
しかし、これと言って魔族っぽい魔力は周りの人の中には見当たらない。
ってことは、一階にいる?
いやいやいや、国王殺すっていうなら、三階にいないと、礼拝中に動いたらそれこそ怒られるどころじゃすまなそうだし、魔人自身、自分が狙われてることくらい知ってるだろうから、そんな目立つことはしないでしょ。
だから多分、この階に魔力を抑えて潜伏してる……!
わたしは、薄~く目を開けて辺りを見回した。
いや別に怪しい人とかいないけどなぁ。
そりゃそっか、だって怪しい人が怪しい格好してるとかあかんでしょ。
わたしは、取り合えず目を閉じ、顔を下げてもう一度拝むふりをし始めた。
そこであることに気が付いた。
あ、一人怪しい人いたわ。
いやまぁ、別に怪しいわけじゃないんだけど、怪しくなさ過ぎて逆に怪しいみたいなのがいた。
あの、薄いピンクのローブを着てる二人組。
あの二人、魔力が全く感知できなかった。
普通、魔物とかじゃなくても、生き物はほん少しでも魔力を持ってるはず。少なくとも、今まで見てきた人は全員魔力が体にあったし。魔力感知も進化したし、ほんの少しだろうが、ここの聖堂にあったシャンデリアに付いてた弱体化する球みたいに魔力があることを隠ぺいしてなければ見えるはず。なのにあの人達、魔力が全く見えない。
要は、意図的に隠してるんじゃないかな。
怪しい……。
そう思ったわたしは、少しの間、魔族をあぶりだす方法を考え、そしていい方法を見つけた。
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