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 08 脱獄

……。

意識はある。


ボクは目を覚ました。

すると、そこはあたりは石でできた壁に囲まれていて、唯一の明りは松明一本、端っこにうっすい毛布、端っこに水の入った謎のバケツ、あとはトイレ、3方向は石の壁、天井と床も石、一方向は鉄格子。だいたい4メートル四方のそんな空間だった。

そう、簡単かつ、端的に要約すれば、牢屋だった。


ボクが顔を横に向けると、ボクの横には瑞稀が倒れている。

ボクは、まだ少しだるい体を起こして、瑞稀へと歩いて近づき、腰を下ろして瑞稀の体を揺さぶる。

「お~い、瑞稀~?」

小声での反応はなし。

「お~い!瑞稀ぃ~?」

今度はその声が牢屋中に響き渡る。

そして、今度は反応あり!

瑞稀はまぶたを開き、体を起こさないまま、眠そうに、かつ、めんどくさそうにこっちを見て口を開いた。

「んー、ここどこぉ~?」

ボクは真剣に答える。

「牢屋だよ」

「……。」

少し間を開けて、瑞稀は目を見開いて辺りを見回し、ボクの方を向きなおして

「なっ!?何で私達こんなとこにいんのよ?!っていうか、起こし方軽いんだけど!」

そう言った。

ボクは立って、鉄格子の方へ歩きながら言う。

「さぁ。」

「さぁって……。」

「でも確かなことはあるよ。」

「何よ?」

「ムズリム、あいつは敵ってこと。」

ボクはそう言いながら、鉄格子の外を見回す。

しかし、見えるのは、石の壁で囲まれた通路だけ。看守さえ見当たらない。

どうしたものか……。


ボクは牢屋の奥へ戻って壁に寄り掛かって座る。

すると、瑞稀はとなりに座る。

「やることは分かってるのよね?」

瑞稀は当たり前のようにそう言った。

ボクは瑞稀の方を向いて小さな声で言う。もしも看守がいたら聞かれないように。

「脱獄、でしょ!」

「わかってるじゃない!」

瑞稀はそう小声で言うと、立ち上がって腰の剣を取った。

あ~、よく考えれば剣はあった!あいつ、武器を取らないなんて馬鹿だなぁ~。

ボクがそんなことを考えていると、瑞稀はその腰のある剣を抜き、思い切り、地面と水平に鉄格子に切りかかる。


カーーン


その瞬間、そんな透き通った音が響き、瑞稀の剣は跳ね返される。


「まぁ、簡単には無理だよねぇ。」

瑞稀はそう言って剣のあたった部分を指でこする。

「う~ん、少し傷はついてるけど……。こんな事ずっとやってたら、何年あっても足りない……。」

瑞稀がそう呟いたその時、鉄格子の外側には影が映った。

そして鉄格子の外の右側から、ムズリムが現れた。

「起きましたかな?聖女様方。」

ムズリムはひげをさすりながらそう言う。

「あんた……!」

瑞稀は鉄格子の外を見て、鉄格子をたたく。

ムズリムは二歩ほど、後ろへと下がり、目を細めて言う。

「お~怖い。まぁまぁ、殺すわけじゃあるまいし。」

「は?じゃあ、何のためにボク達をここに閉じ込めてるわけ?」

「それはですなぁ、一年前、ウーニル王国が聖女を呼び出すと、そういった日から決まっていたのですよ。国王は快く迎えるなどと言っていましたがぁ、いけませんなぁ。ここで聖女を抑え込んでしまわなければ、ウーニル王国の戦力は大幅に増強される。」

そしてムズリムは少し間を開け、言う。

「そうなれば攻めることも……。」

「な?!まさか、あんた、ウーニル王国に攻め入る気なの?!」

「ええ、そうですとも!国王さえ殺してしまえば、簡単な話だぁ!フハハハハハハハ!」

「あんた!!」

ボクがそう言って鉄格子の方へ近づいていくと、ムズリムは、にやけながら

「まぁ、精々ここでウーニル王国が滅びるのを待つんだな!!」

そう言ってそこから去っていった。


「……。」

ボクは黙ってしまう。

人によっては、さっきムズリムがこちらに近づいてきたときに、鉄格子の隙間からムズリムを斬ってしまえばいい。そう思い奴だっているだろう。

でも、ボクたちは、平和な世界から、異世界に召喚されただけの、ただの、高校生だ。

人を斬るなんてこと、簡単にはできない。


ボクがそうして下を向いていると、瑞稀はこちらに近づいてきて言う

「出る方法、さっさと見つけるよ。」


「そうだね。」

ボクは下を向いていた顔を上げ、言った。

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