37 この人、何者?!
その瞬間、アテナの姿はもうわたしの視界にはない。
わたしは、焦って辺りを見回す。
その時、すでに後ろにはアテナの影。
やばっ!
わたしは振り返り、ガードしようとするも、すでに遅く、腹部を殴られ20メートルくらい後ろへと飛ばされる。
いったぁ……。
距離がある今のうちに作戦を……。
っ!
作戦なんて考えている暇がない。今度はわき腹を蹴られ、恐ろしいほどの衝撃と音と共に、50メートルくらいの距離を軽々しく飛ばされる。
わたしは、翼を開き、風の抵抗で後ろへと飛ばされる体の勢いを弱め、そのままアテナの方へ飛んで……。
いない?!
わたしはその場で止まり魔力を感知を発動する。
後ろ!!
わたしはとっさに『空間魔法』を発動し、背後に迫るアテナのこぶしを、空間のゆがみによって止める。
するとアテナは2メートルほどうしろへと下がりそこで立ち止まった。
それを魔力感知で悟ったわたしはそちらを振り向く。
と、そこにはアテナの姿はない。魔力感知では今も確かにそこにあるというのに。
どういう事……。
魔力感知では確かにあいつはそこにいる。なのに姿だけはない。
いや、姿だけはない。つまり透明化?
状況のつかめず、その魔力感知ではアテナがいる場所へ近づこうとしたその時。
背後に衝撃が走る。
今度はアテナの姿さえ見ることなく、また前へと飛ばされる。
わたしは、さっきと同様に翼を大きく広げて、風の抵抗で勢いを弱め、後ろを向く。
すると、今度は間違いなく本体のアテナが15メートルほど先いた。
「さっきあたしの殴りを止めたあれ!あれ何なの?空間がゆがんでるみたいに見えたけど~。」
アテナは余裕を持て余すような話し方で言う。
わたしは余裕はないものの、それに答え、質問する。
「そのままだよ。そんなんより、アテナこそさっき魔力はあそこにあるのに」
わたしはさっき、魔力があった場所を指す。
そして続ける。
「なんで後ろにいんの?」
「?ああ、そんなん簡単だよ~。あんたの言う通り、あそこに魔力があったってだけ。」
う~ん、まあ要はわかった。
さっきわたしが勘違いしたのは、アテナがわたしが魔力感知を使って反応してると予想して、魔力を全部置いてわたしの背後に回ってぶっ飛ばして、魔力を回収したってわけ?
だとすれば、この人、相当強い……!
わたしがそう思いながら、次の攻撃に備え、身構えていると、アテナは
「ワンパターンっていうのもつまらないよね~!」
そう言う。
その瞬間、アテナの背後には無数の鋭利な暗黒の石が生成され、それがその場で浮いている。
そしてアテナはこういう。
「go。」
その声と共に、背後の石たちはわたしめがけてひとつ残らず飛んでくる。
「まずっ!」
わたしは、亜空間から剣を取り出す。
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