28 悔いはなし!!
わたしは空間のゆがみを避けて氷を男の心臓に向けて放つ。
わたしの勝ちだね!
わたしがそう確信した瞬間、その男と、心臓へ向かう氷の間に目にも止まらない速さでイグザスが飛び込んできて、その氷を左手で叩き落した。
そしてそのままイグザスは右手でこぶしを握り、その右手でわたしを思い切り殴った。
いっ!
わたしにはその攻撃から身を守る術もなく、その攻撃が当り、そのまま2メートルくらい後ろに飛ばされる。
イグザスが生きてた?!てか、よく考えてみれば身を守るスキルなんてわたし、持ってなかった!やば!
飛ばされた痛みに耐えながらもわたしがイグザスの方を見ると、イグザスはもう一度右手でこぶしを握り、そのこぶしに魔力を込める。
そのこぶしには恐ろしい量の魔力がこもっている。
さすが高精霊。でもまずい……。あんなのが当たったらいくらわたしでも大ダメージなんだけど?!
けど、イグザスを一発で倒せる技なんて……。
ってあるじゃん!!
ものすごい量の魔力のこもるこぶしを握って近づいてくるイグザスに、わたしは
「いい戦いだったよ!!」
と言う。
そしてわたしは炎を収縮して『魔炎爆弾』を作り出し、もう、目と鼻の先ともいえるであろう近さのイグザスに向かってそれを放つ。
わたしから放たれたその小さな炎はイグザスの腹部のあたりにあたり、体の芯に響くような爆発音とともに、イグザスを消し去っていった。
先程よりも強い力を込めたものだった。イグザスを消し去ったその爆炎は、イグザスの契約者である男をも巻き込み、このあたり一帯の木々を吹き飛ばした。
ふぅ。初めて人を殺してしまった。これは本当に後悔しないのかな。
うんん、ここはもう前にいた世界とは違う。弱い人は刈り取られていくのが、当たり前なんだから。
……。
わたしの心にはまぎれもない罪悪感が残った。
いや、違う。
わたしはわたし自身の本当の目的に気が付いていなかったのかもしれない。
そう。
わたしは、何があろうとも、いや、どんなことをしてでも、月渚たちをこの世界から救い出さなければいけないんだ。
そのためだったら……なんだってする!
わたしは、もう、形も残っていないイグザスと、その契約者の男の魔力を吸収して、また歩みを進める。進める。進……。
やば、わたし、どっからきたっけ?
戦いに集中してて、全然忘れてた……。
わたしは来た方向のヒントがないかと周りを見るが、ここに来るまで森の方をずっと見ていたし、その森は自分でぶっ壊したために、もはや方向を表すものはここには何一つとしてありはしない。
あ、あは。どうしよう……。
取り合えず……こっちすすもっかな。
わたしが考えるのを放棄し、適当に進む方向を決めた、その時。
目の前に文字が出現した。
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