01 日常の崩壊、その先に。
羽加奈、結華、澄玲、月渚、瑞稀、そしてわたし、白石真見。わたしたち6人は仲のいい、いわゆるいつ面と言うやつだ。と言ってもガヤガヤたむろして遊ぶっていうよりは、互いをわかってて話が合う仲間って感じ。まぁ、遊んだりもするけど。
今日も6人、高校からの帰りだ。
「昨日FMOの大会でさ……」
そんなことを話し、今日も何一つ代わり映えのない日を過ごしている。
その時だった。
わたしと月渚の間の地面に緑色の線が直径10㎝ほどの小さな円が見えた。
最近は徹夜でゲーム、朝はギリギリと言うまるでダメな生活を送っている。あ~、目が。そろそろちゃんと寝たほうがいいかも……。
「はぁ……。」
わたしは軽くため息をついて、その徹夜のせいであろう何かから目をそらそうとしたその瞬間。
その円は、一瞬にしてわたしたち6人が内側に入れるほどの大きさまで広がった。その円の内側はまるで魔法陣のようにたくさんの紋章が書かれていて、わたしと月渚はその上に立っている。こんなの、それこそRPGゲーくらいでしか見たことない・
わたしと月渚が動揺し、硬直状態でいると、他の四人も駆け寄り躊躇なく魔法陣の内側に入った。
「や、やばいよ、なんかわかんないけど、この上に立ってんのはやばいって!」
瑞稀の声がわたしの耳に届く。
「早く出るっス!」
澄玲の声も耳に届く。
それでも私の足は動かない。あまりの突然の出来事に、もう何をどうしたらいいのかがわからない。いわば混乱だ。
と、わたしの足が動かないのを見た月渚が手を握って言った。
「もし何かあっても、一緒だからね。」
それは確実にわたしの中で響いた。わたしはその瞬間その手をぎゅっと握り、魔法陣の外へ出ようと足を踏み出したと同時にあることを悟った。
『手遅れ』ということだ。
わたしが足を動かしたころにはもう周りは緑の光に包まれていた。
そしてそのまま、重力が強くなったかのような感覚があり、わたし、いやおそらくわたし以外のみんなももう体の自由が利かなくなってきたときだった。
「絶対に、また会おうね。」
そんな声がかすかに聞こた。わたしはもう返すことすらできなかった。そのまま、みんなのことすらも見えなくなってしまった。
ここは……
気が付くとわたしはほわほわとした光に包まれていた。
わたしたちの身に何があったかも、わたしが今どんな状況なのかもわからない。
ただ、今わかることは少しずつ意識が遠のいていっていることが自分でもわかる。
わたしは死ぬのかもしれない、月渚の言葉も……守れずに……。
いや……死ぬわけに……いかない……ううん……死んで……たま……るか……。