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気付く真実

いい加減動けよ。

「こうなると服が間に合わなかったのが気になるな」

 意味不明な事を告げて、エルが纏っていた外套を脱ぐ。


 外套の下はどこにでもいそうな動きやすさを重視したような町人のような格好。

 軽装と言っていいその恰好はがりがりで痩せているが丸みを帯びていて………。


 というか。胸が若干膨らんでいて……。


「おっ。以前よりも大きくなったんじゃないか」

 揶揄う様なラシャの声。


「栄養をきちんと取っているから育ってきたか。まあ、まだがりがりだけどな」

「重たいし動きの邪魔になるからこれ以上大きくなってもらいたくないけど、小さいのも複雑だし……」

 目立ちたくないし。

 ラシャの言葉がセクハラ発言なのだがそれに関してはスルーして、自分の身体つきを他人事のように告げている。


「まあ、いいんじゃねえか。親無し家無しの子供だと危険だけど、今のお前に手を出せる奴はいねえだろう」

 それよりもっと食って太れ。


「運動量がすごすぎて間に合わないんだよ」

 まあ、もともと胃が小さいんだけどね。

 外套をラシャに差し出す。


「んっ? なんだこれは?」

「防御力高めの装備。ラシャの方が必要だろうし、あとで返してよ。シエルの分もあればよかったけど、今作ってもらっている途中で間に合わなかったんだよね」

 この外套そんな効果があったんだ。

 俺の分もあるんだ……知らなかった。


 というか。


「エルって………女性だったのか?」

 今まで男性だと思っていた。


「何言ってやがる?」

「男の振りしていたのは事実だね。その方が効果ある事もあるし、余計な危険も減らせたし」

 余計な危険というのは何のことか分からないが、言ってくれればよかったのに。

「あっ、だからリジエル」

 そう言えば可愛らしい名前だな。


「いまさら」

 ステラが呆れた目でこちらを見ている。

 修多羅の言葉と冷たい目にかなりショックを受けてしまう。


「ラシャ。あの技は今も使える?」

 そんなこちらに気付かずに……いや、相手するのが面倒なのだろうかエルとラシャが話をしている。


「……まあ、一応な」

 言いにくいのかそっぽ向いて外套を身にまとうラシャ。エルの体格とかを考えると小さい気がしたが外套はラシャにちょうど良い大きさに見える。


「なんだこれッ!? すっげえ着心地いいんだけど!!」

「材料が貴重だからね。僕専用にカスタマイズしてあるし、自己修復機能もある」

 自慢の一品だからきちんと返してよね。


「マジかよ。俺専用に作ってもらいたいが、高いんだろう。材料が貴重とか言っていたから」

「ステラの服と同じだよ」

「英雄や聖女。勇者専用の材料になっているからね」

 という事はその材料とやら今自分ように作られている服にも使われるという事か………。ノヴァとアリアさんも持っているんだろうな。


「ちなみに材料は何だ?」

「島守護蛾の繭」

「「ぶはっ!!」」

「繭から孵ってから貰ったんだけど、それでもかなり丈夫だし、かなり量はあるけど、聖騎士全員分の服はさすがに作れないけど」

 手に入らないね。

 淡々と告げるが。


「島守護蛾って……おとぎ話に出てくる精霊の島の守護神だろう」

 実際いるのかよ。

「いるよ」

 ラシャが戸惑っているのに全く気にせずに説明してくれる。


 というか、そんな貴重な物を貰えるんですよね……。冗談でしょう。


「無駄話は後回し」

 さっさと動く。


 催促されて、状況を思い出す。


 そうだ、今は自分のすべき事をするのだった。


 エルが走る。


 走ると同時にコカの実に手を伸ばしていた住民の目の前で枝を切り落とす。

 ただ切り落とすだけなら意味はないと思ったのだが、コカの実は斬り落とされた途端黒い靄のように細かくなり消えていく。


「星の武器は人を害するモノを消滅させる。か」

 ラシャが悔しそうに呟く。


 どんな感情があるのか。何を思っているのか理解できない。だけど。


「俺達は俺達の出来る事をしましょう」

 悔しいのはエルに指示されるまでどうすればいいのか思いつかなかった自分も同じなのだから。



 


島守護蛾………モ〇ラの事である。

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