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とある聖騎士の思い出

あくまでモブの視点

 ああ、あれからそろそろ7年が経つんだな。


 聖騎士に成りたい者……。様々な理由で聖騎士に成るために育てられた者。それらの子供が大聖堂に集められて、その長い長い行列に続いた。


 その中でその子供は異質だった。


 集められる子供は大体13~17くらい。時折それよりも大きい者がいるが、それでもその辺りであるのに対してその子供は誰よりも小さかった。


 外套で全体を包んで年齢を分かりにくくしている様だが、一回り二回り小さくて、誰もがその子供が異端であり、異質であると気付いた。


 間違えて入ってきたのではないかと親切な者が声を掛けていたが、

「間違っていない」

 大丈夫だと硬い………声変わりのしていない高い声で告げたのを聞いてますます周りが案じる。


 聖騎士に成る者でその子供はきっとならざる得ない経験をした者だろ。


 家族を魔獣に奪われたとか。大金が必要とかやむを得ない理由。


 そんな物はきっとこの行列で石を投げたらそんな境遇の者に当たると言われるほどの確立だ。珍しい事ではない。


 行列が進んでいく。


 大聖堂に来るのは初めてだが、故郷にある教会や大きな神殿を見た事あったので規模が違うがそんなものに近いだろうと思っていたが全く異なる姿。


 教会や神殿では考えられないほど飾られている甲冑とその甲冑が様々な武器を持っている様子。

 聖騎士の試験会場の扉の近くに飾られているのは太陽と月の絵。


 そんなのどこの教会にも神殿にもなかった。


「……………」

 ふと、その行列の中から外れる者が居た。


 外套を被った子供だとすぐに周りも気づく。


「今更、怖じ気づいたのか」

「そうかもな」

 ひそひそと話をして声が聞こえる。


 心配そうに見ている者も身の程を知ったかとどこか馬鹿にしている視線を受けながらもその子供は立ち止まってある方向を見詰める。


「……………こんにちは」

 ある一体の甲冑に声を掛ける。


 大きな鎌を手にした格好で固定されている甲冑。触れられないように紐で囲まれているが多分、その甲冑も鎌も実際に使われた事があるんだろうと思われるほどすり減っていた。


「君が僕を選んでくれるか分からない。僕ほど君に相応しい存在じゃないと言い切れる者はいないから」

 気が狂ったか。

 変な奴だな。


 誰もがそう思った。


 それだけ奇異だと言える動きだったのだ。


「でも、僕は君の力が必要なんだ」

 手を差し伸ばす。


「何一つ取り零さないために力を貸してほしい」

 懇願。

 希う声。


 それにまるで応えるように。


 きゅいんっ


 青と黒の光。

 不思議な音。


 そして――。


 その子供の手には甲冑が持っていたはずの鎌が手に収まっていた。


「ありがとう。――()()僕を選んでくれて」

 すっ

 子供が撫でるように触れると使い古されて古さが目立った鎌が新品同然の輝きを取り戻す。


 その鎌には星を想わせる紋様が浮かび上がり――。


「かっ、鎌の星の武器が選んだ……」

「この子供が鎌の英雄だ!!」

 騒ぎを聞きつけた者が叫び声をあげる。


 聖騎士の試験。

 それは表向きの事で。


 本来の目的は聖騎士の試験という名目で星の武器と聖なる武器による選定。

 勇者、聖女、英雄を見つけ出す事だった。


 それだけでも驚かされたのに。その後。


 ふわっ


 月の絵が淡く輝きだす。


「………えっ?」

 それはさすがに想定外だったのだろう驚きの声がその子供から漏れたと思ったら。


 すっ


 月の絵から光が出て、鎌の中に入っていった。


「……………聖女を助けに行け……?」

 ぼんやりと呟く声。


 ただ事ではない状況で大聖堂の司祭がその英雄をその場から連れ出して騒ぎを収束させようと関係者が動いている中。聖騎士の試験も何とかする事が出来て。


 無事に聖騎士に成れた。


 それで本日の任務は聖騎士の試験が行われる大聖堂の警備。

 初々しい聖騎士見習の子供達を見て自分達もあんなものだっただろうかと想いを馳せて恙なく終わると思われた。


 警備など形だけにすぎないと。


 それなのに、まさかその試験に受けに来た子供たちの中に魔人の尖兵がいるとは思わなかった。


 そして、そんな状況の中。




 かつて見た奇跡の再現が行われるとも――。

7年前に鎌の英雄が選ばれる。

その半年後楽器の英雄の元で事件が起きる。


その間空白。


一年前シエルの村が襲われて、ステラが鎌の英雄と共に村を去る。


シエル修行。

で、試験を受けに来た。←今ここ。

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