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聖騎士試験の真実を知るもの

試験を受ける前

 大聖堂には多くの聖騎士があちらこちらで待機している。


「なんでこんなに聖騎士がいるんだろうな……」

「未来の後輩を見るためだろう」

 一人が疑問を口に出すと別の子供がそんな事も知らないのかよと馬鹿にしたように告げる。


「後輩を見るためね~」

 別の子供がそう言い切れるもんかなと観察をしながら口を開く。おそらく他の意見も聞きたいからだろう。


「それにしては探りを入れるような目だよな」

 大聖堂というから大事なものは多くありそうだしな。


「俺らが盗みを働くと思っているのかよっ!!」

 誰かの意見に憤慨している子供がいる中。シエルの後ろを歩くノヴァがどこかピリピリしているのを感じる。


「どうかしたか?」

 こういう場所では黙っているものかもしれないがみんな話をしているし、黙っている以前に一暴れしたのに注意をされなかったからしゃべってもいいのだろうと思って唯一顔と名前を覚えたノヴァに声を掛ける事にしたのだ。


「知らない奴じゃなかったのかよ」

 不機嫌にブスっとしたまま……いや、どこかに警戒しているような感じで答えてくれる。


(こいつ。結構いいやつみたいだな) 

 不機嫌なのにしっかり答えてくれるんだから。


『お兄ちゃん単純』

 とステラの声が聞こえた気がするがまあ気にせいだろう。


「名前を教えてもらったし教えたからもう友達でいいだろう」

 知らない奴じゃなくなったよ。

 そう笑って告げると。


「………友達か」

 前もそう言ったな。


「えッ?」

「なんでもねえ。で、何が気になったんだ」

 こっちを窺ってきて。


「いや、ノヴァがピリピリしているから何かあるのかと思って……」

 緊張しているだけかもしれないか。考えてみたら……。


「聖騎士が多いからな」

「あっ、ノヴァも気になったんだ。そうみたいだね」

 なんでここまで多いんだろうね。


「警戒しているんだろう」

「盗まれるかって?」

 盗まれるようなものがあるんだろうか。


「そういえば、大聖堂って入った事なかったけど……」

 きょろきょろと辺りを見渡す。


「たくさん甲冑が飾ってあるんだね」

 甲冑一つ一つ持っている物が違うし。あっ、この甲冑の持っている武器鞭だ。隣は見た事ない武器だな………鎖?


「妙だな」

「飾ってあるのが? そうだよね。教会にこんなのなかったし、聖騎士が所属しているからなのかね」

 まるで、見た事ないけどお城みたいだよね。


「鎌と楽器が偽物だ」

 偽物?


「どういう事?」

 飾ってある物に本物と偽物があるのだろうか。


「鎌はあいつだったし、楽器は確か……」

 とそこまで呟いて。


「さっき何か言っていたよな。聖騎士の多さとか」

「う、うん!! 盗まれる物を警戒しているのかなって……」

 でも、その話は終わったよな。


「――そうだな。盗む奴がいるだろうな」

 ある方向をノヴァが見る。警戒しているどころではなく、敵意を宿した鋭い眼差しで。


 視線の先を辿ってみると聖騎士の試験を受けに来た子供達がいる。


()()にとって、卵のうちに潰しておきたい者達だからな!!」

 その言葉に合わせるように視線の先に居た緊張しつた面持ちの子供が数人。


 ぐしゃりっ


 何かがつぶれる音がしたと思った矢先。その子供が化け物に変化する。


「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「助けてっ!!」

 混乱状態になり逃げ惑う子供達。


「まさか、本当に!!」

「保護を優先に!!」

 その化け物相手に向かっていく聖騎士達。


 子供達は逃げ惑う。


 その流れに一緒に行けばいいと思ったが、動けなかった。


 ノヴァが一目散に流れとは違う方向に向かって走っていたのだ。


「ノヴァ!!」

 危ないだろう。

 ノヴァの腕を掴もうとするがノヴァはするりと避けて、


「このままでいいと思ってねえだろう!!」

 ノヴァの目指す先には額縁に入れられた二枚の絵。


 太陽と月?の絵。


 太陽はしっかり描かれているのに月と思われるのはまるで月が抜け出たように輪郭しか残っていないのだ。


「力を貸せ!! いや、違うな」

 誰かに向かって叫ぶように。


「お前の望む者になってやる!! だから、()()

 その声に応えるように絵が輝きだす。


 しゅぅぅぅぅん

 何かが絵から抜け出す。


「久しぶり……じゃねえな。初めてだったな」

 ノヴァの声。光に包まれて姿が見えない。


「さっさと役目を果たすぞ!!」

 光が消えたと思ったらノヴァの両手には剣が握られている。


 一瞬だった。


 残像のように光が見えたと思ったら彼の姿は化け物……いや、魔物に切りかかっていた。

輪郭だけの月の絵。

太陽の絵から出てきた光。

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