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大聖堂

運命は繋がる

 聖騎士に成るために最終試験がある。


 ――人形を壊した俺に人形師が伝えた。


「月に一回。聖騎士候補の子供たちは大聖堂に集う。………シエルは魔法は使えるか?」

「使えません。適性検査もしたんですけど属性がないとの事で」

 魔法道具は便利だからあったが、村では誰一人使えなかった。


 魔法は、陽と月と闇と星。という空の四種。火、水、地、風という大地の四種。癒と従。繋がりの二種がある。

 大地の四種が一番なじみ深いもので。癒と従は治癒能力者と魔物使いという特殊な職業になれる。


 空の四種は一番分からない。


「魔法が使えれば聖騎士の試験がもっと楽になるのだがな……」

 無い物ねだりはしない方がよいか。


「勇者と聖女と英雄は知っているな」

「はいっ!!」

 絵本でよく読んだ。

 …………あの日も読んでいた。


「物語にある武器は。勇者は陽の属性。聖女は月の属性。英雄は星の属性と言われている」

 まあ、実際は不明だがな。


「そうなんですね!!」

 初めて知りました。ミーシャ達に教えてあげないとな。


 …………絶対教えてあげよう。

 

 こぶしを握る。

「あたしが一緒に行ってあげるね」

 ちょうど任務だし。


「行ってあげる……?」

 そう言えば試験はどこでやるんだろうか。


「――決まっている」

 マーカスが告げるが知らないので。


「大聖堂。あそこには聖武器と星武器があるからな」

「へぇ~~~」

 知らなかった。


 というか。


「実際あったんですね」

 鎌の英雄には会ったけど、ぴんと来なかった。


「……………それ大聖堂では言うなよ」

 敵を作るだけだからな。


 そう言われて、キャルと共に向かう事になったが。


「大聖堂での試験では必ず英雄が来るのよ」

「えッ? そうなんですかッ!?」

 英雄ってあちこち行かないといけないほど忙しいと思っていたけど、わざわざ来れるなんて………実は暇?


「なんか失礼なこと考えていない?」

 ぎくっ

 ジト目で見られてまさかその通りですと言えないし。


「まあ。驚くのは無理もないけど、顔見せもしたいという話よ」

 魔王とその部下が現れる時は英雄の指揮下に入るからね。

「そうなんですか……」

 そう言えば、聖騎士はあの鎌の英雄の指揮に従っていたな。


 そんな事を話しながら向かうとそこには大勢の子供たちがいる。


「じゃあ、あたしはここで」

「ありがとうございました!!」 

 大きな声で頭を下げてキャルと別れる。


 長い長い行列を並んで一息つくと。


 がしっ

「シェル!!」

 肩を掴まれて耳元で叫ばれる。


「シェルだろう!! 俺の事分かるかッ!?」

 綺麗な顔立ちの少年だった。


 金色の目が印象的な青い髪の少年は焦ったように嬉しそうに……泣きそうな顔でこちらを見ているのだ。


「人違いです」

 見たら一回で印象付くだろうに全く覚えていないし、第一。


「俺はシエルであってシェルではありません!!」

 音は似ているけど、全く違う。


「はぁ~。お前何を言っているんだ!!」

 とそこまで告げると目を大きく開いて。


「なあ………ステラはどうした?」

 どんっ

 気が付いたら壁にその少年の身体を押し付けていた。


「なんだ急に、痛いだろうがっ!!」

「んで知っている……」

 落ち着け。


「なんで、ステラを知っているんだ……?」

 お前誰だ。


「誰って……お前……」

 言い掛けて止まる。


「覚えていないのか……」

 嘘だろう。

 泣きそうになって肩を掴む。


「俺の事分かんねえのかよっ!! あいつの事も!! あいつを……リジィを!!」

「誰の事だ? それよりもなんで君はステラの名前を……」

 尋ねようとしたら。


「ははッ……」

 乾いた笑い声だった。


「ここにこれば会えると思ったのに……会えないのかよ……」

 なんだよ。これじゃあ意味が分かんねえだろう。


「君は……」

 こっちが聞きたいのだが、その雰囲気が悲壮感が漂っていた。


「ノヴァだ」

「えッ?」

 睨んでくるように強い眼差しを向けて。


「俺の名前はノヴァだ!! お前が星の事だと教えてくれた名前だ!! 今度は忘れるんじゃねえぞ!!」

 びしっ

 人を指さしてはいけませんと教えてもらわなかったのだろうか。


 そんなぶっ飛んだ事を思いながらそのノヴァと名乗った少年が列に並ぶのを眺めてしまう。


「あっ……」

 列を出てしまった。


 そんな事に気付いて並び直す。


 俺の前方でノヴァ君はいらいらとしながらいるのを眺めながら。












「………見える? ステラちゃん」

 大聖堂の三階の窓から聖騎士候補の子供が並んでいるのが見える。


 だが、二人の見ているのはそんな多くの子供ではない。


「シエルだよ」

「う、うん……」

 こくこくこく

 ステラが頷く。


「それに……」

(ノヴァ……)

 顔なじみ。だけど、あっちは覚えていないだろう。


 あそこに以前は自分もステラもいた。


 あそこにいないからもう以前のような関係になれない事が悲しいが、それを選んだのは自分だから後悔はしなかった。


 それに――。


「警戒をした方がいいからね」

 あの悲劇を繰り返してたまるか。 

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