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アルルカンの聖騎士

欲望って悪いイメージだけど悪い事じゃないよね。

 サーカス団に来て、何か月か過ぎた。


「この人形を倒して見ろ」

 それがアルルカンの人形師に与えられた課題だった。


 あの夢の男の指示に従って、アルルカンの人形師のところに来て、みんなを……村のみんな。そして、ステラを助けるために力を付けようと思っていたのだが、ここにきてしているは。


 サーカス団のみんなとショ-になぜか出ている。


「まあ、表向きは娯楽のための場所だしね」

 ショーが終わると盾を持った女性。キャルと稽古を行う。


 任務があるからずっと教えれるわけではないがと言いつつも面倒見がいいのか一番付き合ってくれるのは彼女だ。


「あたしは盾。盾はすべてを守るもの。攻撃力がないとか肝心の時に役に立たないと陰口を叩く奴がいるけど勘違いをしないで欲しいわね」

 彼女はすべての攻撃を防いで、次の攻撃をしようと思っていたこちらの身体をまるで押し込むように反撃をする。


「壊す事よりも守る事の方がいかに大変か。盾の役目はいかに無傷で終わらせるかに掛かっているんだから!!」

 盾の役割に誇りを持っているから彼女は胸を張っている。


 彼女は告げる。聖騎士の役目を一番行えるのは盾だと。


「キャルが守る存在が無傷で居れば戦況が変化する。例えば、巨大な術を放てる魔法使いが居てもその魔法を放つのに時間が掛かったら? その間無防備になったら? その魔法使いがいれば敵をせん滅できる状態であって、敵はそれに気付いて襲い掛かる。それを守り切るのが盾の役目だ」

 次に繋がる一手。そして、そのためにあるのが盾。

 説明しながら次に稽古をしてくれるのはトール。


 彼は先を。一歩先を見ろと告げる。


「俺の武器はハンマーだ。大振りで使いづらい。逃げられやすい」

 だけどな。

 彼の攻撃を逃げた矢先に不敵に笑われた。


「先を読むというのはこういう事だぜっ!!」

 地面に叩きつけるハンマー。その振動で足元が揺れて攻撃態勢が崩れる。


「ハンマーは誰よりも先を読む者だ。相手に逃げられたらそのままの勢いで次の一手を潰す。潰している間に誰よりも先に動いて相手を確実に仕留める」

 攻撃態勢が崩れている間に間合いが詰められて、逃げ場を失う。


「今のは俺一人である場合の戦い方だけど。味方がいるのなら味方の攻撃に繋げる動きを心掛ける。自分だけの動きではだめだ。必ず味方の動きも把握しないと敗北する」

 分かったか。


 彼は身体でどこまでも戦い方を教えるのだった。


 で、

「……………」

 最後はマーカスだった。


 マーカスはどう教えればいいのか困ったようにただ黙って攻撃をする。


 彼の武器は鞭。

 まるで自分の手足のように巧みに操り、避けたと思った矢先に鞭は近くにあった道具に絡みついてそれを武器に変える。


 刃物はもちろん。 

 道具箱。

 胡椒などの調味料。


 衣装すらも彼の手に掛かれば武器に変わる。


「目で見るだけでは間に合わないだろう」

「気を付けてね~。空気の流れを聞いて、感じて考えるよりも先に動いて~」

 じっと見学というか応援をしている二人の声はマーカスが言わない分アドバイスをしているのだが、アドバイスがアドバイスになっていない。


 理解できないのだ。


 その三人に訓練を付けてもらい人形相手に勝負を挑むがいつも秒殺される。


「やみくもに突っ込むな」

 そう毎回言われて。


(し…死ぬ……)

 へとへとになって倒れるのが日課。


 これで、みんなを助けれるのだろうか……。


『ここに残って帰って来るのを待っているといい』

 目を閉じるとあの声が蘇る。


 大鎌を持っていたあの子を。


 そして、そんな事出来るわけないだろうと激しい怒りに似た何かを感じて立ち止まらないで進んでいくと決意を新たにする。


()()()()()()()()()|)

 待っていろとは言えない。待ってもらったら何かが零れ落ちるから。


 すべてを零さないように走る続ける後ろ姿が見える気がするのだ。


 だからこそ。


「何のために強くなる?」

 人形師が倒れている俺に向かって問い掛ける。


「何って……」

「……とある英雄が言った。”それは欲のためだ”と」

 欲……。


「”誰かの笑顔が見たい。誰かと幸せになりたい。だからこそ努力する。強くなる。()()()()()()()()()()()()()()()()()()。”ただ強くなりたいでは強くなれない」

 欲望なんて醜いものじゃ………。


「その者は何も失いたくないからこそ力が欲しいと言っていた。……お前の村に現れた鎌の英雄だ」

 ぴくっ


「お前はすべて残さずに助けたいのだろう、ならばこそ先を読んで動け」

 無謀に突っ込んでは助けれる者も助けれるわけないだろう。


 その一言で光が見えた。


 ああ。そうか。

 俺は今できる事をしようと攻撃をしていたから次に繋げなくて倒されたのだ。


 そう気づいたらふと一番効率のいい動きが出来るようになって。


 ばきっ


 目的だった…………いや、()()()()の人形を破壊できるようになったのだった。





修行シーンは苦手なので……というかあんま読んでても面白くないよね。そういうシーンって。

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