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聖女と勇者の英雄譚  作者: 天草 葉
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第一章・プロローグ

殺した…殺して、殺して、殺し尽くした。

10人救うために1人を…100人ために10人を…1000人を救うために100人…

1万人を救うために1000人…誰かに救いを求められては、大勢を救うために少数を殺した。


俺、シリウス・オルコットはかつて日本の油井薫(ゆいかおる)という名の28歳の会社員だった。

油井薫の最後は呆気なかった。

会社からの帰り車にはねられて、帰らぬ人となり28歳の若さでその人生の幕を閉じた。


そして目が覚めると、レギン王国の小さな村のセシリー・オルコットとアレス・オルコットという村人との間に多くの転生ボーナスのスキルを所持し生まれた。


15歳の成人になった頃、俺は教会で天啓を受けて魔王ルシファーを倒す勇者に見出され魔王の討伐に向かう事となった。


そして5年後、魔王ルシファーを討伐して故郷に帰って見たものは、領主の圧政と略奪で壊滅した村と両親の亡骸、愛する幼馴染の亡骸だった。

僅かな生き残りの村人と共に領主を倒した俺は圧政に苦しむ人に助けを求められては、同じように領主や地権者を殺していった。

そしてその状況を静観しているレギン王国ではなく、かつての仲間…英雄たちに捕縛され今に至る




「静粛に…静粛に…」と裁判官が声を上げる。

「判決を言い渡す…被告人シリウス・オルコットは領主含む7人の貴族を殺害及び反乱の首謀者とし、絞首刑を言い渡す。」


「お話が違います!彼をシリウスを捉えれば殺しはしないと国王陛下がお約束してくださいました!」とかつての仲間、魔導士ミラン・ミュールが叫ぶ。


「彼はシリウス・オルコットは確かに多くの貴族を殺しました。

だがその貴族たちは私利私欲にかられ、多くの王国民を圧政のもと殺し苦しめていたではないです!」とかつての仲間、剣士クラウド・オルフェンも叫ぶ。


「彼はシリウスは私たちと魔王ルシファーを倒し世界救ったではありませんか!」とかつての仲間、神官ヴァルフリート・ガロウズが大声を張り上げる。





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