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『呪石』-番外編-  作者: 宮居
-茶番-
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誕生日短編

誕生日短編


「おはよう、ルイ」

「おー、シナ。おはよう」

「おはよう。みんな早いわね」

「アンジェ、おはよう」

「エルもおはよう」

「おはよう……」

エルはまだ眠そうだ。



「さて、ルイさん。今日は何の日でしょうか?」

シナが改まって聞いてくる。今日は7月25日。

……オレが生まれた日。

「ゲストも呼んでるの。行きましょ」

シナに手を引っ張られ、宿を出て歩く。

エルやアンジェも付いてくる。


ゲストって、嫌な予感がするなぁ……


暫く歩いたところに、パーティ会場としてホールを貸し出してるところがあって、そこの一室に通された。


「あ!ルイ、いらっしゃい!」


やっぱりな。


今日は"オレら"の誕生日。


「サプライズは無駄だろうからってことでなくなったわ。今日はお祝いしましょ」

「院長から良いお酒貰ってきたよ!」



大きなテーブルの真ん中には大きなケーキ(作者は食べれないと思うが)

その周りに誰が作ったんだか料理が並んでいる。

作者がテーブルに酒のビンを2本置いた。お前そんなに呑めないだろ……?


「やぁお待たせ。もう始まってる?」

後から声がして振り向くとウルがいた。こいつも来たのか。

「さて、2人まとめてで申し訳ないけど」

「オレは寧ろ嬉しいのでオールオッケー」

作者が言う。なぁ、今だけ一人称ややこしいから変えてくれないか……?

「そう思うならこいつ誘うなよ……」

「まぁ、一応、産みの親だし、放置は可哀想かなって?」

「なんで疑問系!?」

「まぁまぁ、いいから始めましょ。時間勿体無いわ。じゃあこれプレゼントね」

アンジュがそう言いながら箱を渡してくる。

作者にもなにかを渡していた。こっちの方が大きい箱だな。なんて思ったりする。

「やったー!うちの子から誕生日プレゼントー!」

「さらっとメタ発言混ぜて喋るな」

「いいから開けてみなさいよ」

言われずとも!と作者が箱を開けた。

「万年筆!!!」

「それでもっといい作品書きなさいよね」

「ぶっきらぼうだけど愛を感じる……」

「それはちょっと気持ち悪いんでやめてください」

「辛辣……ルイのはなに??」

作者に言われて箱を開ける。

「バングル?」

金色に紫の宝石が散りばめられた腕輪だ。

「魔力回復なんかが早くなるらしいわよ」

「へー。こんなのも作れるやついるんだなぁ」

埋まってる石は呪石ではない。強いて言うなら魔石?

あんまり聞いたことないがそういうのもあるんだろ。

「ありがとうな」

オレ自身あんまり魔法は使わないが、ありがたく受け取っとこう。

「じゃあ次はオレから」

そう言ってウルが1歩前に出る。

手には2つの小さな箱。

「女の子のプレゼントなんてわからないから、喜んでもらえるかわからないけど」

そう言って箱を開け、中のものを見せてきた。

「わ~可愛い!ルイどっち?やっぱり紫かな??」

紫色のアンクレット。片方は赤が強めの赤紫ってやつかな。

「お互いの色を持つんでもいいけど、ルイには紫が似合うかなぁ」

「だよね~!」

作者は早速、アンクレットを付けてる。

「ルイも付けよ~」

「はぁ……仕方ないな」

オレも左足首にアンクレットを付けた。

「似合う似合う。やっぱ紫だね!可愛いよ!」

なんだか恥ずかしいな。

ってかこれ作者とお揃いってやつ?色違い?それは嬉しくない。

まぁでも……ひとつくらいはあってもいいか。

これがウルからのプレゼントってのがなんか気に入らないけど。

「喜んでもらえて良かったよ」

「こっちにもこういうの売ってるんだね。作中にもっと出そうかなぁ。次の国はこういうの沢山作って売ってるとか」

「メタ発言やめてもらっていいっすか??」

この作者はすぐにメタ発言する。自分でやめろって言うくせに。

「ごめんごめん」

てへって顔で手を合わせて謝る作者。可愛くないぞー。

「あ、この料理は誰が?」

「それはアンジェが」

ほぉ?

「アンジェって料理出来たのか」

「出来たんだ……」

「失礼過ぎないあんたら?」

怒られてしまった。


作者の世界の話や、こちらの世界の話をしなから、アンジェの作った料理を食べる。

……数年前の誕生日も、誰かが作ってくれた料理を食べた気がする。

かわいい系の男の子だったはずだ。懐かしいな。


料理を食べ終わって、作者はケーキ食べれないからってどこからか取り出したプリンを食べ始めた。それなりの量だがほんとどこから出したんだ。

ちなみにケーキもアンジェが作ったものらしい。意外に色々作れるんだな。


「わたしも、作ったの。受け取ってくれる……?」

エルから袋を渡される。

なんだろう?布?

開けてみれば紫色のパーカー。

綺麗な色。薄目の生地だ。少し透けてるような気がしないでもない。

作者も同じもののようだ。色はやはり赤が強めの紫。

「へ~可愛い!」

作者は早速着てみてる。ふーん。似合うんじゃないか?言ってやらんけど。

「ルイも着ようよ」

……こいつとお揃いになるのがなんとも言えんが……袖を通す。

「似合う~!うちの子可愛い……うちの子優秀……」

抱きつこうとするのでそれは全力で拒否する。

「ちょっとだけ双子みたい」

それは嫌かな。



「さてじゃあ私からもプレゼント」

真正面に座っていたシナが立ち上がり箱を渡してくる。

今までで1番のサイズだ。抱えるサイズの少し大きい箱。

今回は作者の箱の方が大きい。

「なっにかなー」

丁寧に梱包を解いていく。

出てきたのは、ぬいぐるみだった。

「わーい!ペンギン好きだって教えてたっけ??」

「まぁそこはそれ。喜んでもらえて何よりだわ」

情報提供源のことは伏せるシナ。オレが教えたって言ったらとんでもないからな。

オレの方は作者のより少し小さい梟のぬいぐるみ。これも昔を思いだす、懐かしいものだ。

手紙が添えられている。

『最近連れてないけど元気?』

昔仲の良かった梟の事を思いだす。今も仲は悪いわけじゃないけどな。

「元気だよ」

他の奴には聞こえないように答える。

シナには伝わったのか少し笑顔を見せてくれた。


プレゼントはこれで全員から貰ったなって思ったら作者から耳元で

「最後残ってね」

と言われた。他には聞こえてないようだ。

……まぁ、今日くらいいいか。

これも渡せるしな。みんなの手前出しにくいし。

その後はアンジェが追加でクッキーと紅茶を用意してくれたのでそれを食べながら話した。

今だけは、これからの事を忘れて。久々に楽しい時間だった。



「お疲れ様〜今日はありがとう~!」

と作者がみんなを見送って、2人切りになる。

「今日は楽しかったよ、とっても」

「それは良かったな。……オレも楽しめたよ」

「良かったぁ。ルイいっつも迷惑そうにするから、楽しんで貰えなかったらどうしようかと」

「まぁなぁ……」

あんまり大人数でわちゃわちゃできないタイプなんだよ。作者も同じだったと思ったけど、オレらが相手だと違うのかな。

「じゃあはい。プレゼント」

作者から箱を渡される。

「……おい、待てこれ呪石だろ?どこで手に入れた?」

呪石と言っても、他のとは違って、呪いが発動するやつじゃなくて、おまじないの術式が組まれているものだ。

要はお守りの強化版ってとこ。

「教えませーん」

作者はニヤニヤとそう答える。こいつじゃ作れないしな……。

「倖せになってね」

「それはお前次第じゃないか?」

ざっと術式を読み解くと「幸」や「幸運」という文字が出てきた。こんなのに頼るなよ。

「どうなるかなんてわからないでしょ?」

少し寂しそうな顔でいう作者。

……まぁ、そうだな……

「じゃあこれやるよ」

小さな箱を手渡す。

「ルイからプレゼント貰えるなんて……」

「わざわざ作ったんだから大事にしろよな」

「しかも手作りなんて……」

まぁこいつの為って言うか、練習用をプレゼントにしてしまえって感じだけど、それは言わなくていいだろ。練習用でも上手くいったわけだし。

「へぇ……まさかルイからブレスレットを貰うなんて」

白とピンクの2色の石を使ったブレスレット。

こいつには読み解けないだろうから呪石であることは伏せとくか。それに見えないくらい綺麗な石だしな。

普通の呪石は術式の所為で濁るのにこいつは濁らない、特殊な石。

「ありがとう……」

「まぁ……こちらこそ、ありがとう。あと、誕生日おめでとさん」

今日くらい、ちょっとだけ素直に。

作者が泣きそうになってる。

「ありがとう~~!ルイも誕生日おめでとう!!」

抱きつかれた。すぐに剥がす。

そこまではちょっと。

「いいじゃんケチ~!」

流石に暑いしな?



ホールの退出手続きをして、2人で夜道を歩く。

アンジェたちがいるであろう宿に着いたら、今日はこれでお別れ。


「楽しかった……思い出にする」

「あぁ、そうしてくれ。来年は祝えるかわからないしな」

「まぁねぇ……。じゃ、今日はありがとう」

「おう。良い夢を」

そう言って、返事を聞かず宿に入った。


濃い1日だったなぁ……。

明日からまた、日常だ。

非日常(きょう)のことは忘れないようにしまって、また、旅を始めよう。

遅れました!!忘れたアホです。

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