エルフ・フェアリーの部
「さてじゃあウル、ドラゴンとかのことについて話してほしいんだけど」
「え……あ、はい」
ルイの圧力を感じる……
「えっと、誰について話せばいいのかな?」
「ドラゴン、竜、フェアリー……あとは?」
「この世界にいて、作者の世界にいないとされる者たちなら、あとはオークとエルフ、ヴァンパイアかな」
「あ、エルも呼ぼっか」
作者がそう言うと、目の前にエルが現れた。
「……びっくりした」
「いらっしゃーい。ウルの生き物講座でーす」
「……?」
「まぁ疑問はあるだろうけど……とりあえず、この世界の生き物たちについて講座してくれってことで……」
「なるほど」
「エルフのことはエルフに聞いた方が早いかなってことでお願いします!」
「えっと……何を話せば?」
「エルフの特徴は、細長い耳。高い魔力」
「あぁ、そういう……。わたしたちは、他の者には見えない結界を張って、その中で暮らしている。ウルーム海にある島がそう。みんな初めはバラバラだったんだけど、人に魔力が高いことがバレてからは奴隷として扱われることも増えたから今の王様が島を作って、集まることを呼びかけた。そしてエルフの国が出来上がったの。呪いには強い方だと思うけど、一般人と比べると、の程度だからその2人の呪術には適わない。身体能力は人より優れてると言っていいと思う。あとはフェアリーと話せるくらい?」
「フェアリーとはどうして話せるように?」
「『波長が合ったんだ!』って言われた」
「フェアリーの能力のひとつだね。フェアリーは信用できる種族としてエルフを頼ることにしたんだ。その種族らには姿を見せられるし話も出来る。そんな能力がある」
「ふーん……フェアリーの服の色とかって理由あるの?」
エルに聞かれるってことは、エルの国のフェアリーは色とりどりなのか。見たいなぁ。
俺は虹色のフェアリーにしか会ったことないから。
「服の色?えーっと、その地域に寄って、彼らの好きなように変えられるって聞いたかな。彼らもお洒落がしたいんだよ、きっと」
虹色のフェアリーに聞いた話だ。服は気に入ってるって言うから、色を変えて楽しみたいってのもあるんだと思うって。
「わたしの国にいるフェアリーは、確かに地域ごとで色が違うけど……それぞれの地域から動かないし、ずっと同じ色よ……?」
「そういう風に暮らそうって、決めたんじゃないかな。エルフに守ってもらえるから、僕らはこの島を守れるようにしようって。エルフの透明な結界も多分、フェアリーによって強化されていると思うし、エルフにだって姿を見せない透明色なフェアリーも居たと思うけど……確証はないや」
結界関連に強い、ほんとに姿を見せないフェアリーがいる。
虹色のフェアリーと一緒に暮らしていた時に1度だけ会った。
結界も守ってるかは不明だけど、存在は確かだ。
「なるほどね……確かに、今までずっと壊れてないのは、エルフの力だけじゃ無理かもしれない」
「フェアリーはエルフに次ぐくらい、魔力は多いんだよね。だからまぁ、魔法で出来ることは何でもできるよ。彼らは普段魔法を使おうとしないけど」
「エルフも魔力が高い割には魔法をあまり使おうとしないわよね」
シナが疑問を投げる。
「国外に出た時は人に合わせてるの。あとは……」
「エルフもフェアリーも、魔力が高い故に不器用なところがあってさ。上手く扱えなかったり、人から何か言われるのが嫌で使える魔力を抑えてるんだ。だよね?」
「うん、そう。人に合わせるように、制限してる」
「だから国外に出てるエルフは耳さえ変えられれば人と一緒なんだよ」
「エルは耳、変えれないの?」
「そっち系の魔法は不得意で……」
「エルフは全体的に戦闘系のが強いから生産系苦手なんだよ。力加減がわからないんだ。それでも変えられる子は変えられるけど。エルなんかは奴隷の期間も長いだろうから尚更生産系苦手なんだろうね」
エルは頷いてくれる。
「街中で耳変えられちゃったら、人と大差ないから分からないよ。俺でも見抜けるかわからないくらい」
「人に上手く溶け込むのね。なんで国があるのにそういうことしようとするの?」
「国外に出るエルフは……まぁそれぞれ色々な理由があるけど……人と暮らしてみたい、とか、力を付けるには人の戦闘訓練なんかに参加した方がいいから、そういうのが栄えてる国に行きたい、とかがあるね」
「へぇ。エルはどうして外へ?」
「その2つの理由だよ」
「そうなんだ。エルはもう充分強いと思うけど」
「国内にいるエルフに比べればそうかもしれないけどまだまだだよ」
少し照れくさそうに頭を掻きながら答えるエル。
そういう可愛い1面もあるんだなぁ。
「まぁ、フェアリーがいるし結界も張ってあるから、そうそう奇襲されることはなんだけど、それでも国を守れるように、平和を守れるようにって、国外に出るエルフは多いよ」
「訓練場なんかに行くとちらほら見たりするね。俺の国ではそうでもないけど」
「フェアリーは他にどんなところに住んでるの?」
「フェアリーはどこにでもいるようなものだよ。姿を見せないだけで、彼らが気に入ればどの地域にもいる。1番数が多いとまでされている」
「人よりも多いってか……凄いな……」
「フェアリーは簡単に産まれるからね。魔力と自然光があればどこでも新たなフェアリーも誕生させられる。それに番になってなきゃいけないって条件はあるけど、番であればいつでも産めるんだ。子供ってわけじゃないし、すぐにでも自分だけで生きていけるように産まれてくるから、家族で暮らすってのはないけどね。友達同士でコロニー作ってるのは見たことあるけど」
「ふーん……なんでウルはフェアリーにあったことあるの?」
「……ルイには辛い話だけど」
「あぁ、じゃあ一旦席を外す」
ルイとシナがその場から消えた。
「俺が元々いた国は、そういう人外たちを受け入れててさ。国王がそういうの好きだったからなんだけど。その中にドラゴンやエルフやフェアリーもいたんだ。半竜人とかもね。放浪者を誰でも歓迎してて、割と仲も良かったんだ。国王がそういう人だったから、人外に偏見のない人だけ、国内で争わない人だけって条件はあったけど」
「ふむ……じゃあまぁ、国1つくらい簡単に潰せるわけだね」
「まぁ、そうだね。みんな争いなんかは好きじゃなかったんだけど」
「この話はまた別の機会に話してもらうよ。どうして隣国を潰すことになったのか。ウルの故郷はどうして潰れたのか」
「……俺の故郷無くなったって話したっけ?」
「さぁ、どうだったかな」
作者が悪戯っ子のような顔をする。
まぁ、いいか。
「さて、じゃ2人を呼び戻して次はドラゴンとかのこと教えてよ」
ウルの生物講座です。これも全3部くらいかなと思います




