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なぞなぞ的短編

三人の親友のめったにない再会

作者: アオニシキ

三人組の正体を考えながら読んでもらえると幸いです。







 俺は仲野なかの、フリーのカメラマンだ。いろんな場所を撮影している。騒がしい酒場やにぎやかな海岸。大音を立てる荘厳な滝なんかを回っているのだ。


 そんな俺には最っ高の親友がいる。佐々木(ささき)佑太ゆうただ。俺らがまだ学生だったとき、趣味が合い三人でよくしゃべったし、帰り道は俺を真ん中に左に佐々木、右に佑太が並んで馬鹿な話をしながら笑いあっていた。三人でカラオケにもボーリングにも行った。俺ら三人とも世界を回ったりするのが好きで、三人で旅行なんかも行った。正直、背丈なんかも似通っていたから一人だとドッペルゲンガーか? と疑うほどだった。二人いたから世の中には同じ顔をした人が三人いるなんて逸話を思い出すことになったが。出会った時は三人とも同じようなことを考えていたそうだというのは、仲良くなってから聞いた完全なる蛇足である。


 好きな色は三人とも赤。好きな数字すら7でみんな同じだった。そんな三人だったから成人になって仕事をし始めても交流が続いている。仕事はバラバラになってしまったうえに、三人とも世界を駆け回る仕事を選んだためなかなか会う機会が取れない。たまに二人がそろうことはあるが、それすらまれで、三人がそろうなんてことは本当にめったに無いのだ。


 今俺は佑太と並んでバーで飲んでいるところだ。久しぶりに飲みに来たところ、後から佑太が入ってきたのだ。佑太も驚いたようにしながら、俺の右側に座って話を始めたのだ。今は珍しいこともあると思いながら、二人で世界のおもしろい話を繰り広げている。


「仲野、世界のおもしろ話はもうないのか? いろんな場所を巡って回っているんだろう?」


「それはお前もだろ、佑太。この新社長が」


「その言い方はやめろ。せっかく仲野と久々に話せるというのだから」


「そーだな」


 今の会話で分かると思うが、佑太はなんと世界を股に掛ける会社の社長になったのだ。上手くグローバル化の波に乗ったのかというとそうではなく、ただ佑太が会社の金で旅行したいという願望が行きついた結果だそうだ。才能とはかくも恐ろしい。


 そんなだから、佑太も世界を巡って回っており、とくに珍しい人々との交流という点で面白い話が聞ける。代わりに俺は珍しい場所や自然について語るのだが、自然については佐々木の方が面白かったりする。世界を回るためにフィールドワークをするという目的と手段が入れ替わった研究者をしているのだ。あの佐々バカは。


「それで、その写真の滝にはどんな話があるんだ?」


「ああ、これは……」


 俺は言いながら、ふと、左側の開いた席に目をやった。


「ん? どうした? 仲野」


「やっぱ自然なら佐々木の方が解説は上手いかと思ってな。また三人で飲みてーなと、ふと思っただけだ」


「おいーそれは俺も同じだっての。佐々木はいま南極にいるんだろ? 面白い話が聞けそーだって俺も思ってんだぞ」


「そーだな、佑太。佐々木がこの前話してた山岳地帯のオーロラの話は面白かった」


「ほー」


「俺も、その話の代わりにオーロラで戦う人たちの話をしたんだよな……」


「へー、って、なんだそれ! 俺聞いてねーぞ!」


「そうだったか?」


 こんな風に俺らの話は終わり、またバラバラに回りはじめた。






 そんなことがあって、しばらくたって、俺はまた同じバーに訪れた。のんびりしようと思ったのだ。そこにはめったに会えない奴が座っていた。佐々木が居たのだ。


「お? おおお!? 仲野じゃねーか! ウェーイ!」


「佐々木か! おう、久しぶりだな」


俺は佐々木に声をかけながらカウンターの佐々木の右隣に座った。


「南極はどうだったんだ?」


「なかなかよかったぞ、レポートがめんどうくさいけどなぁ」


「そっちが目的だろう? 手段が目的になってるじゃないか」


「うっせー」


 久しぶりに取り留めのない会話を楽しむ。やはりこいつは馬鹿だと思いつつこいつとの話も楽しい。やはり三人そろいたいなぁ、なんて思うのは短い間隔でバラバラに二人にあってしまったからなのだろうか。


「このバーのかけてる音はなかなかいいよな。世界を回ってもこんな盛り上がるような音をかけるのはここくらいだ」


「そうだな。佑太と会った時はもっと落ち着いた音楽だったんだけど」


「お、佑太と会ってたのか! あー、惜しかったな」


「やっぱお前がうるさいからこんな音楽なんじゃね?」


「ちげーし、俺が佑太と会った時は別のだったからな!」


 そんなバカ話をしていると、ちょうど話題に出ていた音楽がサビに入ったのかより盛り上がって、周りがざわざわとしてきた。周囲の注目が出入り口に向いているようだったので、俺らはなんとなくそちら側に目をやったら、そこから佑太が現れた。


 佑太も驚いたような顔をして、俺らのところにきて、俺の右隣に座った。


『J A C K P O T !』


 店内の音楽は最高潮を迎えていた。








  #$%&#$%&#$%&



 騒がしい店内BGMが流れている中で、いくつもの台が整然と置かれている。そのうちの一つに座っている男の目の前には三つのレーンがあり。その三つには赤い7が堂々と描かれている。そして『JACKPOT』の表示もあった。


男は目の前のスロットで大当たりを引き、驚きに硬直していたのだった。




新年初投稿がこんなんでええんか?

去年最後の投稿もこんなんやった!

ならええか



みたいな感じでゆるーく投稿しました。以下ネタバレ。



タグに書いてますが、この三人はスロットです。正確にはスロットの回転する部分に書いてある7です。いわゆるラッキーセブン。そりゃあなかなか出会えないだろうなぁ、と思っていただけたら幸いです。


一応、文章中にほのめかすような描写は書きましたが(バーの音楽とかもそれです)、今回は名前が最大のヒントかなぁ、と思います。

左から、佐々木(左)、仲野(中)、佑太(右)なので……


真ん中は中央の央の方が良いかなぁ、と思ったけれど分かりやすいし人偏にんべんがあるからいっか!


なんていうゆるふわなノリで投稿しました。


ここまで読んでくださりありがとうございます。

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