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掌編小説集8 (351話~400話)

知恵

作者: 蹴沢缶九郎

公園のベンチに座り、一人の少年が知恵の輪を解いている。かれこれ数十分程知恵の輪と格闘しているが、一向に解ける気配がない。

そこへ、たまたま通りかかり、少年の様子を伺っていた老人が、たまらずに声を掛けた。


「ああ、ダメダメ。そのやり方では、いくらやっても解けないよ」


突然の口出しに、少年はムッとしながらも言う。


「そんな事言うけど、これは凄く難しいんだよ。お爺さんだって解けないさ」


「どうかな、私なら簡単だよ」


「なら解いて見せてよ」


「いいとも」


老人は少年から知恵の輪を受けとると、ものの数秒で輪を解いて見せた。まさかの結果に、少年は驚きつつも老人に尊敬の眼差しを向ける。


「お爺さん凄いや!!」


「なあに、長く生きていると、知恵がつくからな」


老人は得意気に言うと、少年に知恵の輪を返し、その場を後にした。


時代遅れと誰かが言おうが、いつまでも知恵の輪は遊ばれ続ける物なのだと、自社の商品で遊ぶ少年を見て、老人は確信していた。

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