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2 欲望
カランカラン……
一人のお客さんに少女――紗良――の目は釘付けになった
(…カッコいい)
整った顔立ち。長い睫毛。少し切れ長の目
いわゆる美形だ。
「……あっちっ?!」
突如、舌に猛烈な熱さを感じて悲鳴を上げた
どうやら、目線が向こうにいっていたので、コーヒーを飲もうとしたときにコップが変な方向にいったらしい。
舌を思いきり火傷した。
「……話しかけたいな」
紗良にそんな欲望が生まれた。
生まれてから初恋なんてしたことない。
普段から男子なんて友達感覚だ。
そんな紗良に、初めての感情が芽生えた。
恋なんてできないかも
そう思っていた紗良に、訪れたチャンス。
逃してはいけない
紗良はコップを置き、立ち上がった。
――せめて友達に――
そう決意して、少年の元へ歩み寄った。