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15歳から始まる悪女人生計画。  作者: 聖蓮
そして、舞台は始まった。
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教えて、教えて。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



彼は言っていた。

”巡る”と。それは一体どうゆうことなんでしょう。






ふと目が醒める、そんな感覚。

視界いっぱいに広がった景色はとても豪華なもの。

夜空とは相反した式場の明るさ、煌びやかさ。

二度目ですね、15歳の夜会。

私は黒いワンピースのようなフリルドレスに、青いバラのコサージュをさした服を着ています。

これ、悪女の彼女が大好きだったそうです。

妹はそれとは相反して、白いふんわりとしたドレスにピンクのお花の髪飾りをつけています。

天使のようにかわいいです、あ、ひいき目なしにですよ?

世界はまた、彩り鮮やかに、けれどせていくのです。

あ、今の中二病みたい。


私は会場の入り口に立っていました。

妹は誰か見つけたのか、会場に走っていきました。

突然、背筋が凍ったように冷えました。

背後から冷水を浴びせられたみたいです。

いえ、比喩でもありません、事実です。


「どうして!あなたなんかがこの夜会に参加しているのです!!」


振り返ればロールを巻いた赤い髪、情熱的な色を灯した瞳の少女は

私にそう怒鳴り散らしました。

彼女は依然、私が悪女であったころの被害者です。

妹に近づく男Aがいたとしましょう。

男Aが妹に無理やり粗相を犯そうとしたことがあったのです

ですが私(というよりは前の私?)が許すわけもなく、

彼を再起不能なまでに精神的にいじめてしまったようです。

その男Aの彼女であるのが目の前の少女、アンヌ・ローデリアです。

和名じゃない?ああ、失礼しました。

この世界では和名のほうが珍しいのですよ。

それも事情があるのですが、詳しくはまだいえません。

まぁ、よくあるじゃないですか。

主人公が特別なお家事情というものは。

そうゆうものですよ。

さて、思考の海から這い上がりましょょう。

現実逃避はしたいですが、逃がしてはくれませんからね。



「何をなさったか、ご理解しておりますか、アンヌお嬢様」



私は静かに、見据えるだけです。

彼女はあくまで私の顔しか知らない、と思います。

ここはあくまで静かに、穏便に済ませるべきです。

今後の私のためにも。


「どうして私の名を・・・」


アンヌさんは動揺しているようです。

それもそうでしょうとも、言い寄った男の彼女の名前なんて知るわけがない。

そう思っているでしょうね。

ですが、残念なことに私(前の私)はとことん調べつくすたちだったようです。

家系から身辺から何まで全部調べ上げていたみたいです。

ああ、自分が怖い。

それと知られていないようですが、主人公の家名はかなり名の知れた家柄です。

その名を出してしまえば簡単に済むのですが、ですが、駄目です。

家名にすがればゲームの中の姉と同じ行動になってしまいます。

そして、これ、後々のフラグなのですよ。死亡フラグのほうの。

私は近くを見渡して妹がいないことを確認します。

遠くで誰かと話をしているようですね。なら、こちらには当分来ないでしょう。


「私、知っているんです、あなたのお父様が―――」


耳元で囁くように告げる。まるで、世間話をする友達のように。

彼女は呆けたほうに口を開く、しばらくして顔がだんだんと青ざめていった。

といいつつ、内容なんてハッタリもいいところですけどね。

けれど青ざめるなんて、思うところでもあるのでしょうか。

真っ黒いお話も貴族ならたくさんお抱えなんですか。そうですね。

慌てたようにアンヌはその場から逃げ出します。

きっとお父様に確認しにいったのではないでしょうか。


ふと下を見れば濡れたドレス、だらしのない、恰好。


流石に私も一人の乙女です。

逃げるように私も会場から出ました。

すぐに帰りたいですが、帰りの馬車は夜会が終わるまで来ません。

お父様に頼もうにも、きっと今は挨拶めぐりをしているでしょう。

そんなところにこんな恰好ではでていけません。

の前に、お父様の前にこの格好ででていくの・・・?


「ないわー」


ため息しかでてこないです。

誰かがため息をつくと幸福がにげるよ、とか言ってましたね。

大丈夫です、逃げませんよ。

もともと幸福が都合よく来るわけがなのですから。

幸いそこまで、かぶってないですし、風に当たっていれば乾きます。

乾いてください。

このことがばれれば相手のお家はもちろんやばい。

つまりは恨みを買って私もやばい。

只でさえ15年間培った、もろもろがある身です。

穏便に、穏便に。


会場から少し離れたところ。

かわいらしいお庭にでました。

嬉しいことに誰もいません。

それに装飾もしっかり施された庭園はそれだけでまるで、芸術のようでした。

すこし、少しだけ。


「疲れた・・・」



近くにあった少し大きめのベンチ。

庭先には少し不釣り合いな白いソファのようなそれに腰をかけた。

ふと噴水の流れる水を見て思う。

そこには私が写っていた。

自分を見ていていつも、考える。

緊張の糸をはって生きていかなければ、この世界ではものの数分で死んでしまう。

それほどにこの世界は危うい。

前回で私は学びました。

妹すらも、死亡フラグにつながるということを。

家から出ればバットエンドを回避できると、誰かの小説は言っていました。

でも実際は違ったのです。

私は死にたくない。

彼に聞けばよかった、と後悔する。




どうすれば生きていられるの。

答えを知りたかった。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



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