魂・ムーヴメント〜魔王に恋して〜
恋愛ものなんだかファンタジーものなんだか、ゴチャ混ぜな作品となってしまいました。
短編小説ですので、すぐ読み終わると思います。
温い風が吹く、荒れ果てた城の最上階で、少年と少女が向かい合う
少女
「お願い………私を…………殺して」
少年
「それは…………出来ない」
少女
「でも、私は悪人なんでしょ?…………罪を犯してしまったのなら、いっそ殺されてもいい…………貴方の手で」
少年
「………でも、せっかく仲良くなれたのに、殺すことなんて出来やしないよ…………」
少女
「でも、私は魔王よ?モンスターなのよ?人間と一緒には暮らせないの……」
少年
「魔王だろうが何だろうが関係ない。………ただ、もう二度とこんな事をしないなら……俺達の所へ来ないか」
少女
「でも………無理なの。それに、私は沢山の人を殺してしまった………私の中にある罪悪感は消えない。一生それを背負って生きるよりは………私を殺してもらった方がいいと思ったの」
少年
「でも……やっぱり殺すなんて出来やしないよ!!」
少女
「………じゃあ……こうするしかないわね…………」
すると、少女は男に向かって抱きつく
剣が何かを貫いたような感触が腕に伝わる
少女
「好きだよ…………」
少年
「リン…………」
動かなくなった少女を、少年は強く抱き締めた
……………………
……………
……
「ふぅ……いい風だ」
広いビル街の中心部を
一人の少年が歩いている
その少年の名は
ハルト――――――
“魂・ムーヴメント”
ハルト
「………ここか」
たどり着いたのは、2年前のあの時の城跡。
ハルト
「おーい、誰か居るかーー!?」
?
「はーいっ、今行きまーす!」
ハルト
「!?」
(ま、まさか…リンじゃないよな……でも、声が似てるぞ…………)
現れたのは、銀髪でツインテールの髪型で、目の色は赤く、耳の先が尖っていて、ぶかぶかの白いコートに身を包み、眼鏡をかけている小さな少女だった。
?
「お待たせ………っ!?あんた、まさかハルト……じゃないよね………。アハハハ………」
ハルト
「そう。俺が間違いなくハルトだ……。そして君は、リン………かつての……大魔王リンなのか?」
?
「ふふ……正解〜」
そう言うと、少女は眼鏡を外し、ハルトの方へ歩み寄る。
?
「そう。いかにも私が、悪の大魔王リン様よ!!」
ハルト
「い…生きてたんだ………………ヒッ………ヒグッ」
リン
「なに泣いてんのよ、みっともないわねー」
ハルト
「ウッ…だって………ヒッ………あの時倒れて………動かなくなって……………エグッ」
リン
「あれ?演技よ演技。魔王である私が、あの程度でくたばる訳ないじゃない。勘違いしないでよねっ」
ハルト
「良かった……生きてて……………ウッ」リン
「もう、泣かないでよ!!ハンカチ貸したげるからコレで拭きなさい!!!!」
ハルト
「うん………ありがと」
リン
「……でね、あの後ハルトに抱き締められて、私すごく嬉しかったの」
ハルト
「そっか……あの時は本当に死んじゃったかと思ったよ。そして、何故か抱き締めたくなったんだ」
リン
「ふふっ………今となっては、いい思い出だわ」
ハルト
「へへ…………。それでさ、ちょっと話したい事があるんだ」
リン
「何?話したい事って。」
ハルト
「2年前、リンが死ぬフリをして抱きついてきた時、耳元でこっそりと『好きだよ』って声が聞こえたんだ」
リン
「…………聞いちゃった?」
顔を赤くして言うリン
ハルト
「俺も………リンの事が好きなんだ」
リン
「嬉しい………私も好きだった…………」
リン
「旅をしている貴方に逢ってから、すぐに好きになった。いわゆる『一目惚れ』ってやつね」
ハルト
「俺もだよ。あの時はまさか本当に魔王だとは思わなかったけど、可愛い娘だな〜、って。」
リン
「そ……そう?………って、いきなり何するっぐっ」
ハルトはいきなりリンを抱き上げ、そっと口づけをする
リン
「ん………くっ………じゅる………………はぁ」
そして静かに唇を離す
リン
「はぁ………びっくりしたぁ」
ハルト
「………ごめんっ!!いきなりこんな事しちゃって…………」
リン
「ううん、気持ち良かったよ…………ありがと」
ハルト
「そ、そっか。へへへ……………おや、もうこんな時間だ。それじゃあまた明日!!」
リン
「待って!!………私も一緒に………」
ハルト
「………うん。いいよ。家に泊まっていきなよ」
リン
「…………やったぁ」
リンは小さくガッツポーズをした
〜終〜
元々SFものを作る予定だったのですが、急に思い付いたストーリーを色々いじっていくうちにこうなりました。
最初は『暴走した警備システムを食い止めるべく、一人の男がホバーマシンで出撃する』というものになる予定でした。
しかし、次に『コンピューター世界で、ウイルスと戦うヒーローもの』と、いずれも某ゲームのパクリです。
で、試行錯誤の末に出来たのがコレ。
自分でもまだ納得のいかない点もあるので、これを生かして次回も作っていこうと思います。
次はやっぱりSFもの?