3/35
幕間:手を伸ばすほどに
触れたときに感じたのは、空の色。
どこまでも澄んでいて、手を入れたら身体がどこまでも沈んでいきそうなくらいに、深い色。
匂うのは少し大人の匂い。
汗臭くて、少しお酒臭い、そんな匂い。
ゴワゴワとしている手の感触が残ってる。
目を開いて覗きこめば、夢の中で、水面にあの人が映る。
大きな背中をした、あの人。
――意識が広がっていく
心がどんどんと膨らんでいくのがわかる。
手に触れたい、ギュッて手を握りたい。
会って話がしたい。
小さな事でいい。何でもいいからあの人と言葉を交わしたい。
会いたい――